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[航空宇宙] 急変する航空産業とニュースペース時代
作成日
2020.12.30

 航空宇宙産業は、航空機、宇宙飛行体、関連周辺機器および素材類を生産する航空分野と宇宙分野を包括する生産活動を意味する。航空宇宙産業は航空、物理、数学、機械・素材、航空電子、通信、ソフトウェアなど多様な分野の協力が必要な技術集約産業であり、自動車、電気、医療産業など他の産業の発展に及ぼす波及効果が大きい特徴を持っている。このような航空宇宙産業は、これまで技術発展を中心としていたが、最近のコロナ禍やグリーンニューディール、第4次産業革命などのグローバルイシューの影響を受け、急変する産業構造と新市場の登場など、大きな地殻変動が起きている。韓国もこのような変化に対応するため、様々な努力をしている。

韓国の航空宇宙産業


韓国の航空産業は、2015年に売上規模が28.3%増の急成長を見せ、2017年には停滞したものの、2018年に再び増加傾向を見せた。宇宙産業は、2013年以降、売上高の着実な成長を示していたが、2018年は停滞している。航空宇宙産業の貿易規模は、2019年に60億ドルで前年比7%増の伸び率を示している。これは航空宇宙先進国に比べて小さいが、技術力確保に重点的に投資し、技術格差を減らすために努力している。米国の技術水準(100%)に比べ、韓国は60.9%水準となり、貿易規模の格差(米国の3.2%水準)に比べ、比較的低い格差を見せている。


【航空宇宙産業主要国の分野別技術水準比較(2018、%)】
 
(出所:KISTEP 2018年 技術レベル評価)


これにより、国内の民間企業が研究開発分野に集中的に投資していることが分かるが、航空産業の場合、2018年に研究開発分野へ36%、施設設備分野へ32%の投資を行っている。宇宙産業の場合、2016年以降80%以上(2016年81%、2017年89%、2018年84%)を研究開発分野へ投資している。また、韓国政府の研究所である韓国航空宇宙研究院では、地球および宇宙気象、海洋・環境の観測が可能な静止軌道複合衛星の開発成功(2018年、2019年)と国内独自技術基盤試験発射体(75トン級の液体ロケット)の打ち上げ成功を通じて、宇宙関連インフラの活用を拡大している。航空分野の場合、UAM(Urban Air Mobility)市場の爆発的な拡大見通しにより、韓国航空宇宙研究院で開発した個人航空機関連技術を現代自動車に技術移転して、韓国の自動車企業が航空産業に進出できる足場となった。これにより、航空産業の企業参加拡大とその波及効果への期待が高まっている。


主な外部環境の変化と航空宇宙産業への影響


  2019年末に全世界に新型コロナウイルスによるパンデミックが発生した。これにより、生産と消費が萎縮し、グローバルサプライチェーンの崩壊など景気低迷をもたらした。これは航空運航需要の急激な減少をもたらし、アンタクト(Un-tact)文化の拡大とデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速化による影響が航空宇宙産業に拡大していると見られる。特に、航空運航需要の急激な減少により、世界の航空産業規模が前年年比36%減少した。
  このようなコロナ禍と共にエコロジーの重要性が浮上している中、各国はグリーンニューディール関連政策を策定し、排出ガスおよび有害物質の低減に向けた様々な努力を行っている。ヨーロッパのグリーンニューディールは、EU加盟国の経済構造の改編により、2050年まで純炭素排出をゼロにする目標を提示している。韓国もグリーンニューディール政策を通じて雇用創出とエコ経済への転換を共に図る複合的な政策目標を立て、グリーンインフラへの転換、エコエネルギーの拡大、グリーン産業の育成などの政策を提示した。これを受け、各国の企業やスタートアップは、電気推進方式やハイブリッドなど、エコ航空機の開発に集中している。


UAM(Urban Air Mobility)時代


  コロナ禍とともにグリーン政策のグリーンニューディールが主要イシューとして浮上し、エコ未来モビリティが注目されている。特にエコ非対面交通手段であるeVTOL(electric Vertical Take-off & Landing)ベースのUAMが航空産業の大きな注目を集め、多様な企業が市場に進出するために開発に集中している。韓国政府は、K-UAMロードマップで未来モビリティのUAMを通じて交通革新と未来の食料産業として実現させるための政策を推進している。安全のための合理的な制度設定、民間の力量確保・強化のための環境づくり、公正・持続可能で健全な産業生態系づくりのための細部課題を策定し提示している。


ニュースペース時代の登場


  これまでの宇宙は、従来の国と巨大企業中心の開発が主流であったが、ニュースペース時代により、宇宙開発と宇宙空間の商業化に向けた民間企業の参入が拡大している。このため、宇宙産業の生態系が急激に変化している。宇宙産業の構造変化とともに、小規模の民間企業が投資パートナーと企業家活動(entrepreneurial activity)モデルをベースに産業を主導する方式に変化した。


 韓国の場合、モバイル衛星通信アンテナを製作・販売する企業と超小型衛星製作および打ち上げサービスを企画しているスタートアップやハイブリッド発射体を活用した打ち上げ商用サービス提供のためのベンチャー企業などがある。実際、韓国政府は「大韓民国宇宙産業戦略」により、宇宙開発の推進システムを政府・出捐研究所から民間が主導する方式に転換し、国内外の市場拡大と宇宙分野における企業競争力強化のための計画を提示している。このように航空宇宙産業は、グローバル環境の変化や市場構造の変化など、非常に重要な時期と言える。韓国は新たな市場に進出するため、政府主導で多くの研究所と企業が様々な努力を傾けている。このような変化に合わせ、航空宇宙産業での地位を高める機会となることを期待する。
 


パク・ジュンウ研究員(ark2445@kari.re.kr)
韓国航空宇宙研究院(KARI)


< 本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、必ずしもKOTRAが所属する組織の見解ではありません。 >


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