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[ICT] 韓国版デジタルニューディールの中心軸 - D(Data)·N(Network)·A(AI)
作成日
2021.03.26



▶データ(Data)、デジタル時代における核心資源



多様なデジタルサービスが私たちの日常生活と産業を変化させている。同時に、デジタルサービスの競争力の一つであるAIサービスの向上のため、オープンデータと大容量高品質データの構築・活用が不可欠な要素として注目されている。DX(デジタルトランスフォーメーション)部門の代表的な企業は、他の企業よりはるかに多くのデータを保有し、持続的に市場を掌握しており、この格差はこれからも急激に広がるものと予想している。

韓国のデータ分野で60大優秀企業に選ばれた企業を基準に韓国データ産業を見てみると、2019年の企業総売上は前年比7.9%増の7,791億6,200万ウォンだった。特に、データ分野での売上高は前年比9.0%増の4,219億700万ウォンとなった。

データ企業の投資誘致に関しては、国内代表的な60社のデータ企業のうち、48.3%にあたる29社が投資誘致の経験がある。データ企業の投資は、政府支援の誘致が54.1%と最も高く、ベンチャーキャピタルへからの投資誘致は40.5%水準であることが分かった。金額では約1,978億ウォン規模の投資誘致が行われ、平均33億ウォンが企業別に誘致された。


データ関連特許の場合、平均11.4件の特許を登録中であり、半分が5件未満であることが分かった。分析ソリューションの数は、平均的に2.7 個のビッグデータ関連分析ソリューションを保有し、半分以上の企業(56.7%)がほとんど3 個未満の分析ソリューションを保有していた。




▶データ産業の活性化およびAI学習用データ構築のための政策推進



2019年国内ビッグデータ及び分析市場は前年比10.9%増の1兆6,744億ウォンとなった。今後2023年までデータ市場は年平均成長率11.2%を記録し、約2兆5,692億ウォンに達すると見込まれる。この期間中に市場全体でIT及びビジネスサービスが年平均16.3%成長し、最も大きな割合を占めるものと予想される。





韓国は2018年からデータ分野活性化政策に本格的に取り組み始めた。2018年6月「データ産業活性化戦略」を発表し、同年8月に開かれた経済関係長官会議でデータ・人工知能(AI)経済をプラットフォーム経済の実現のための3大革新成長戦略投資分野として選定した。大統領は、同年8月31日にデータ経済活性化規制革新現場で、「データ経済への転換」を宣言し、データ経済活性化のための産業育成とデータ活用関連規制の革新計画を発表した。

また、2020年7月には「デジタルニューディール」政策により国民生活と密接な分野のデータ構築・オープン・活用を目指して関連国家事業を進めている。データ全周期の生態系を強化し、データ・コントロールタワーを設置し、公共データ14万2千件を全面開放、製造・医療・バイオなどの分野別のデータ取得・活用の拡大、分野別ビッグデータプラットフォームの構築、データ購入・加工のバウチャー、人工知能(AI)学習用データの追加構築、人工知能学習用データ加工バウチャー事業を進めている。




▶ 5G、世界初を超え世界最高に向けての準備



韓国は2019年4月、米国との激しい競争De世界初の5G商用化のタイトルを獲得して、5G分野でグローバル先導国として位置づけ、国内の5G市場は持続的に拡大している。特にB2C(スマートフォン利用者)については、2021年1月末時点で全体移動通信利用者の18%である1,300万人が5Gを活用していることが分かり、2021年内に5Gインフラの拡大により1,800万人まで5G利用者が増加すると予測している。また、全国規模ネットワークの構築完了時点は当初2025年であったが、グローバル先導国の地位を維持し、グローバル競争力を早期に確保するため、政府と通信会社3社の協力で2022年に早期完了することを目指している。

5Gは、日常生活でよく接するスマートフォンを通じた移動通信市場にだけ影響を及ぼすのではなく、バーティカル産業への影響が核心だ。特にスマート工場、スマートシティ、自動運転車、体験型コンテンツ(AR・VR)、ヘルスケアなど全産業への拡大と各産業の成長インフラの役割を果たすと見込まれる。公共分野は呼び水の役割を果たすため、5Gベースの製造ロボット、自動運転車などを検証し、民間投資を誘導している。民間の場合、通信会社3社で5Gベースの体験型コンテンツを独自に開発・サービスしているものの、独自の開発が難しいバーティカル産業については、各産業との協業を通じてサービスを開発している。代表的には、各通信会社と病院とが協力する5Gベースのスマート病院などがある。このように5Gは、初期の段階でスマートフォン中心のB2Cの領域から徐々に産業に適用されるB2Bの領域へ5Gの役割が拡大している。




▶ B2Bにおける早期成果確保のための政策推進



現段階で5Gの成功のために市場が求めるのは、公共需要の創出、28Ghz帯スタンドアロン(SA)での5Gインフラの高度化の2つである。
政府は、ポストコロナに向けて公共部門で先導的に5Gの成功ケースを創出するデジタルニューディール政策を推進している。そのうち、有線LANベースの政府業務ネットワークを5Gネットワークに置き換え、利便性とセキュリティを改善した5G国家ネットワーク事業を準備している。事業は、2024年までに4つの政府庁舎の導入を計画しており、その後、市・道などの自治体に拡大する戦略だ。




スマートフォンを中心に構築されているB2Cとは違って、B2Bを準備している産業界は、5Gインフラの高度化やアクセス向上を期待している。B2C(スマートフォン)の場合、5Gの電波は3.5Ghz周波数中心に活用しており、これは広い通信範囲を確保するため、5G電波のうち比較的に低い周波数帯域を活用するものである。しかし、B2Bで目標とするサービスを開発するためには、超連結、超低遅延、超高速など5Gの優秀な性能が必要だ。そのためには、28GhzのmmWave 5Gを活用できるようにサポートされなければならない。

このような民間のニーズを満たし、5GのB2B産業の競争力を強化するため、政府は5G特化網政策(21.1)を発表した。これまで移動通信ネットワークの運営主体は通信3社だったものの、今回の5G特化網政策後は工場主、建築主などが5G特化網の運営主体になることができる。つまり、5Gサービス開発のために通信3社のネットワークを活用しなくても、民間は自ら5G特化ネットワークを構築し、5Gサービスの開発が可能となった。政府はネットワーク運営主体に関する規制改善を通じてグローバル5G産業の競争力を早期に確保できるよう積極的に支援している。




▶ 未来の核心技術として産業全般で注目されている人工知能(AI)


2016年3月、GoogleのAI「アルファ碁(AlphaGo)」とイ・セドル9段との対決を通じて、AIという技術に関心を持って以来、AIは医療、金融、交通、流通、法律などの様々な産業分野に適用されるだけでなく、美術、作文などの芸術領域にまで適用されている。また、日常生活でもAIが適用されたデバイスとサービスを簡単に確認できるほど、AIは次第に日常生活で可視化されている。

韓国のAI市場規模は、2018年の1兆ウォンから2019年には1兆5千億ウォンへと年平均39.9%増加し、その後2025年まで年平均38.4%の成長し、10兆5千億ウォン規模に達すると見込まれる。特に、医療分野はAIが最も活発に適用される分野の一つであり、国内医療分野のAI市場の規模は2015年の17.9億ウォンから2020年には256.4億ウォンまで増加する予測だ。AIは大規模な医療イメージと医学ケースを分析して医師の検査を補助し(AI医療SW「ドクターアンサー」を活用)、個人のカスタマイズ型治療案を導き出すのに使われており、最近ではコロナ禍で新薬候補物質の開発・テストにかかる時間を大幅に短縮した。

また、金融分野も大規模の顧客データと反復的取引が持続的に発生するサービスの特性上、AIを適用したデジタルトランスフォーメーション(DX)が活発な分野である。AIベースの投資ポートフォリオの構築、顔認証によるモバイル決済、信用評価モデルの開発などフロント・ミドルオフィスにAIが適用されるだけでなく、AIベースのRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の導入により年間125万時間の業務時間を短縮するなど金融分野においてAIが活性化している。



▶ AI後発国から先導国に生まれ変わるための世界的な政策支援推進



韓国IDCによると、国内AI市場は今後5年間で年平均17.8%成長し、2023年には6千4百億ウォン以上の規模になると見通した。韓国はAI技術、人材確保などにおいて後発国であるが、高度なICTインフラと教育水準などを考慮すると、公共や企業の果敢な投資とチャレンジでより急成長することが期待できる。




韓国はAIを国の成長エンジンと認識し、AI先導国に生まれ変わるために果敢な政策を推進している。2017年に発表した「第4次産業革命対応計画」でAIをはじめとする知能情報技術を適用した国家発展のビジョンを提示し、全省庁が参加した「AI国家戦略」(2019年12月)を通じてAI生態系の構築、AI活用の全面拡大、AI人材の養成などを中心に100件以上のプロジェクトを推進している。加えて、「韓国版(デジタル)ニューディール」(2020年7月)で知能情報技術を活用し、コロナ禍による景気低迷の克服のみならず、国家デジタルトランスフォーメーションを図っている。

また、単にAI活用のみならず、安全かつ信頼できるAIサービス・製品への関心が高まり、AIを透明で価値中立的に開発・活用できるように「AI倫理基準」を作成(2020年12月)し、AIの産業・社会的活用拡大に体系的に対応するために「AI関連法・制度整備ロードマップ」を策定(2020年12月)するなど、研究・産業界を積極的にサポートしている。


韓国政府は2018年12月に発表した「中小企業スマート製造革新戦略」を通じて、中小企業のスマート製造革新による製造強国としての地位を維持するという政策のビジョンを持っている。2022年までに中小企業3万社のスマート化を達成するため、設備投資資金2兆ウォンと3,000億ウォン規模のファンドを造成した。具体的には、(1)スマート産業団地企画団を構成し、2022年までに10のスマート産業団地を造成し、従業員の生活の質の向上と新産業動力の確保を図っており、(2)既存の産業団地内の製造革新のための産学研ネットワークを構築し、(3)地域に合わせた労働者にやさしい空間の造成と(4)規制ネガティブゾーンの導入、新再生エネルギーインフラの構築などにより、スマート産業団地の定着を図っている。


出所:1.NIA、「2020超連結知能化時代におけるD.N.A分野の革新企業」(2021.1) 2.IDC、「韓国ビッグデータ及び分析2019-2023市場展望」(2020.1) 3.科学技術情報通信部、「無線通信サービス加入者統計」(1月末時点) 4.科学技術情報通信部、5G特化網政策案 (2021.2) 5.韓国信用情報院、「AI技術市場動向:核心技術、市場規模、事業リスクを中心に」(2020.12.22) 6. 韓国科学技術研究院 融合研究政策センター、「融合Focus」 (2019年6月24日) 7. IT朝鮮、「シンテカバイオの新型コロナウイルスワクチン「レムデシビルより高い治療効果を確認」(2020.9.3)8. 韓国金融、「KB国民銀行、RPAを適用して125万時間業務量自動化を実現」 (2020.5.11) 9. 韓国IDC、「韓国人工知能2019-2023市場展望」(2020年4月2日)




チャン・ジュンヒ(junhee@nia.or.kr)、ウ・サングン(sangkeun.woo@nia.or.kr)、ファン・ヒョンジュ(hyunju731@nia.or.kr)韓国知能情報社会振興院(NIA)政策本部AI・未来戦略センター
Junhee Jang(junhee@nia.or.kr), Sangkeun Woo(sangkeun.woo@nia.or.kr), Hyunju Hwang(hyunju731@nia.or.kr) National Information Society Agency(NIA), Department of ICT Policy, AI Future Strategy Center

 

<本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、必ずしもKOTRAの見解ではありません。>


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