経済見通し(Economic Outlook)は韓国の経済見通しについて四半期ごと(1月、4月、7月、10月)に提供される資料で、当該内容は韓国銀行が発行する資料に基づいて作成されました。
要約
- 最近の国内外の環境変化などを考慮する場合、経済成長率は今年と来年にそれぞれ2.7%、2.4%水準になる見通しです。
- 就職者数は今年と来年にそれぞれ58万人、12万人増加する見通しです。
- 消費者物価上昇率は今年と来年にそれぞれ4.5%、2.9%になる見通しです。
- 経常収支の黒字規模は今年と来年にそれぞれ500億ドル、540億ドルになる見通しです。
マクロ経済見通し
経済成長
民間消費見通し
民間消費は今年3.7%増加する見通しで、2023年には2.7%の増加が予想されます。これまで防疫措置に大きく影響されていた対面型サービス消費や海外消費が急速に回復し、外部活動関連品目や乗用車を中心とした財貨消費も増加が続くと見込まれます。
設備投資見通し
設備投資は今年1.5%の減少が見込まれますが、2023年には2.1%増加することが予想されます。第1四半期の設備投資は世界的な供給不足の影響などで調整が続くものの、今後、半導体産業を中心に緩やかな回復傾向を示すものとみられます。非IT部門の投資は、原材料価格の上昇、中国での需要鈍化などで概ね振るわないものと見込まれますが、IT部門の投資は改善が予想されます。
知的財産生産物投資見通し
知的財産生産物投資は今年4.0%増加する見通しで、2023年には3.7%増加することが予想されます。R&D投資は企業の良好な業績が続き、政府支援の増加もあって拡大が見込まれます。その他知的生産物投資はデジタル転換の持続でソフトウェア関連投資が増加する見通しです。
建設投資見通し
建設投資は今年0.5%減少する見通しで、2023年には2.6%増加することが予想されます。第1四半期の建設投資は世界的な供給不足による原材料価格の上昇の影響などでかなり鈍化しますが、住居用建物の建設はこれまで繰り延べられていた新規分譲が下半期以降徐々に実行され、工事量が増える見通しです。
商品輸出見通し*
商品輸出は今年3.3%増加する見通しで、2023年には2.1%増加することが予想されます。最近、商品輸出は中国のシャットダウンによる輸入需要の萎縮などにより増加傾向が多少鈍い状況です。但し、IT部門に対する構造的な需要の拡大は輸出鈍化の流れを一部相殺するものと予想されます。
経済成長見通し
経済成長率は今年2.7%、2023年に2.4%の水準になる見通しです。消費の強い回復基調、新成長部門投資の拡大、中国の景気テコ入れ策の拡大などの上方リスクとともに、中国のシャットダウンの持続、ウクライナ危機の長期化、グローバル金融環境の悪化などの下方リスクも存在しており、今後の成長見通しは不確実性が高い状況です。
雇用
第1四半期以降の就職者数(前年同期比)はサービス業を中心に大幅な増加をみせており、 今後も増加傾向は続く見通しです。製造業の就職者数は輸出の増加傾向の鈍化などの影響で増加幅が減少すると見込まれます。建設業の就職者数は建設資材の供給不足などの影響で昨年に比べて増加傾向が鈍化する見通しです。
物価
今年の消費者物価の上昇率は上げ幅が大きく拡大するものとみられます。但し、原材料(原油、穀物、天然ガスなど)価格高騰の持続、サプライチェーン不安の深刻化、ソーシャルディスタンスの解除による強い消費回復傾向、ドル高の持続などのような上方リスクと、国内外の景気回復基調の鈍化、原材料の需給環境の改善、公共料金引き上げの抑制などのような下方リスクにより、物価見通しは不確実性が高い状況です。
経常収支
今年の経常収支は商品収支及びサービス収支を中心に昨年に比べて黒字規模が縮小する見通しです。原材料価格の高騰で輸入が増え、グローバル景気回復基調の鈍化による投資収益の減少で黒字幅が縮小すると見込まれます。運輸サービスの好調は続くものの、防疫措置の緩和により内国人の海外旅行の回復が本格化し、赤字幅が拡大すると予想されます。