経済見通し(Economic Outlook)は韓国の経済見通しについて四半期ごと(1月、4月、7月、10月)に提供される資料で、当該内容は韓国銀行が発行する資料に基づいて作成されました。
要約
- 最近の国内外の環境変化などを考慮すると、経済成長率は今年と来年にそれぞれ2.6%、2.1%の水準になる見通しです。
- 就職者数は今年と来年にそれぞれ74万人、14万人増加する見通しです。
- 消費者物価上昇率は今年と来年にそれぞれ5.2%、3.7%になる見通しです。
- 経常収支の黒字規模は今年と来年にそれぞれ370億ドル、340億ドルになる見通しです。
マクロ経済見通し
経済成長
民間消費見通し
(前年同期比、%)
民間消費は今年4.0%増加する見通しで、2023年には2.6%の増加が予想されます。今後、民間消費は、所得環境の改善や日常生活の回復が続き緩やかに回復されますが、高インフレ、利上げ及び景気の不確実性の拡大が消費回復の制約要因として働くものと見られます。
設備投資見通し
(前年同期比、%)
設備投資は今年3.8%の減少が見込まれますが、2023年には0.9%増加することが予想されます。第2四半期の設備投資は、世界的な供給不足及び景気の不確実性の拡大により減少しており、今後、世界的な景気鈍化、借り入れコストの上昇などで回復が遅れるものとみられます。非IT部門の投資は、緩やかな減少傾向が続くと思われますが、IT部門の投資は下半期中に一時的に改善した後、調整されると予想されます。
知的財産生産物投資見通し
(前年同期比、%)
知的財産生産物投資は今年4.0%増加する見通しで、2023年には3.5%増加することが予想されます。R&D投資は新成長部問を中心に、政府の政策的支援の増加もあって拡大が見込まれます。その他知的生産物投資はデジタル転換が加速化し、関連ソフトウェア投資が増加する見通しです。
建設投資見通し
(前年同期比、%)
建設投資は今年1.5%減少する見通しで、2023年には2.2%増加することが予想されます。第2四半期の建設投資は、土木建設が増えたことにより多少持ち直され、建設資材価格の上昇傾向の鈍化、分譲数量の増加で緩やかな回復が続く見通しです。
商品輸出見通し*
(前年同期比、%)
* GDP中の実質財貨輸出
商品輸出は今年3.2%増加する見通しで、2023年には1.6%増加することが予想されます。最近、商品輸出は中国を中心に世界的に輸入需要が減って増加傾向が鈍化し、今後、主要国の景気鈍化の否定的な影響が拡大され、増加傾向はより弱まるものと予想されます。
経済成長見通し
(前年同期比、%)
経済成長率は今年2.6%、2023年に2.1%の水準になる見通しです。国内経済は消費が素早く改善され、回復基調が続きますたが、下半期以降、ウクライナ危機の長期化、主要国の利上げなどの下方リスクが存在しており、今後の成長見通しは不確実性が高い状況です。
雇用
第2四半期以降の就職者数(前年同期比)はサービス業を中心に大幅な増加をみせており、今後も増加傾向は続く見通しです。製造業の就職者数は輸出の増加傾向の鈍化などの影響で増加幅が減少すると見られます。建設業の就職者数は工事数の拡大などの影響で増加傾向は続くものの、その幅は徐々に鈍化する見通しです。
物価
今年の消費者物価は、ソーシャルディスタンスの解除により需要圧力が続き、農産物価格が上昇することもあって5月見通しの水準をかなり上回る見通しです。ただ、短期的な物価の流れは、最近、変動性が高くなった国際原油価格と農産物価格に相当影響されるものと予想されます。根源物価指数の上昇率(食料品・エネルギーを除く)は今年と来年にそれぞれ3.6%、3.1%になることが予想されます。
経常収支
今年の経常収支は商品収支及びサービス収支を中心に昨年に比べて黒字規模が縮小する見通しです。グローバルな景気鈍化及び内国人の海外証券投資の縮小により投資収益が減少し、黒字幅が縮小すると思われます。運輸サービスの好調にもかかわらず、防疫措置の緩和により内国人の海外旅行需要が増え、赤字幅が拡大すると予想されます。