経済見通し(Economic Outlook)は韓国の経済見通しについて四半期ごと(1月、4月、7月、10月)に提供される資料で、当該内容は韓国銀行が発行する資料に基づいて作成されました。
要約
- 最近の国内外の環境変化などを考慮すると、経済成長率は2023年と2024年にそれぞれ1.7%、2.3%の水準になる見通しです。
- 就職者数は2023年と2024年にそれぞれ9万人、 15万人増加する見通しです。
- 消費者物価上昇率は2023年と2024年にそれぞれ3.6%、2.5%になる見通しです。
- 経常収支の黒字規模は2023年と2024年にそれぞれ280億ドル、480億ドルになる見通しです。
マクロ経済見通し
経済成長
民間消費見通し
(前年同期比、%)
民間消費は2022年と2023年にそれぞれ4.7%2.7%増加する見通しで、2024年には2.2%増加することが予想されます。抑え込まれた需要が一気に回復するペントアップ需要で今後、民間消費は回復傾向が続くと思われます。しかし、実質購買力の低下、金利上昇などで回復のスピードは徐々に鈍化する見通しです。
設備投資見通し
(前年同期比、%)
設備投資は2022年と2023年にそれぞれ2.0%、3.1%減少する見通しですが、2024年には3.6%増加することが予想されます。2022年第3四半期の設備投資は、グローバルサプライチェーンの不安が緩和され、半導体装備と自動車投資を中心に改善されました。しかし、世界的な需要の鈍化、借入コストの上昇で投資が萎縮する見通しです。IT部門の投資が半導体を中心に減少し、非IT部門も減少傾向が続く見通しです。
知的財産生産物投資見通し
(前年同期比、%)
知的財産生産物投資は2022年と2023年にそれぞれ4.7%、3.6%増加する見通しで、2024年には3.6%増加することが予想されます。R&D投資は世界的な需要不振による企業実績の悪化で民間部門投資の増加傾向は鈍化するものと予想されます。一方、その他知的財産生産物投資はデジタルシフトの加速化で関連ソフトウェアへの投資が拡大する見通しです。
建設投資見通し
(前年同期比、%)
建設投資は2022年と2023年にそれぞれ2.4%、0.2%減少する見通しで、2024年には0.7%増加することが予想されます。2022年第3四半期の建設投資は、新規分譲及び社会資本予算の執行遅延によって不振が続いています。今後、住宅需要の鈍化と政府の社会資本予算の減少により、同様の流れが続くものと見込まれます。
商品輸出見通し*
(前年同期比、%)
* GDP中の実質財貨輸出
商品輸出は2022年、2023年にそれぞれ3.4%、0.7%増加する見通しで、2024年には3.3%増加することが予想されます。最近、商品輸出は、中国とIT品目を中心に輸入需要が弱まり、増加傾向が鈍化しました。また、今後、世界三大経済圏(米国、日本、中国)の景気鈍化やIT景気の萎縮など、否定的な影響が拡大し、増加傾向は鈍化するものと予想されます。
経済成長見通し
(前年同期比、%)
経済成長率は2022年、2023年にそれぞれ2.6%、1.7%、そして2024年は2.3%の水準になる見通しです。今後、主要国の景気不振で潜在水準を下回る成長が続く見通しで、2023年下半期以降、対外の不確実性が解消され、徐々に緩和されるものと予想されます。
雇用
2022年第3四半期以降の就職者数(前年同期比)は75.4万人増加し、高い増加傾向を保っています。そのうち、サービス業は、コロナ禍以前の日常を取り戻していることから増加傾向が続いており、製造業も12ヵ月連続で増加し、就職者数の増加をけん引しています。しかし、2023年には2022年の経済活動の再開効果が消え、景気鈍化が深刻化することによって、サービス業、製造業、建設業の全分野で小幅な増加に止まる見通しです。雇用率は2023年と2024年にそれぞれ62.0%、62.1%と予想されます。
物価
2022年11月の消費者物価は、基底効果が大きく働く中で農産物価格が下落し、今年8月の見通し(5.2%)を小幅に下回る5.1%の上昇になるものと予想されます。消費者物価上昇率は2023年と2024年にそれぞれ3.6%、2.5%になる見通しです。また、根源物価指数の上昇率(食料品・エネルギーを除く)は、2023年と2024年にそれぞれ2.9%、2.0%になることが予想されます。
経常収支
2022年の経常収支は黒字規模が縮小しますが、2023年の経常収支はサービス収支の悪化にもかかわらず、商品収支を中心に徐々に改善される見通しです。2022年には原材料輸入の急増で商品収支の黒字幅が縮小しましたが、2023年下半期以降、輸出不振の緩和や輸入減により黒字幅が拡大すると見られます。しかし、旅行・輸送収支を中心にパンデミックによる好調要因が弱まり、サービス収支の赤字幅が拡大するものと予想されます。