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韓国進出の成功事例

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アーコニック・コリア(Arconic Korea)
作成日
2017.01.26


革新的技術と徹底した品質管理で金属産業の規範となりつつあるアーコニック・コリア


慶尚南道昌原の閑散とした郊外に位置する「アーコニック・コリア(Arconic Korea)」の外観は普通の会社とあまり変わらない。しかし、この会社が作り出している製品は決して普通ではない。同社は100年以上、世界の産業全般のイノベーションとクリエーションを支えている。米国に本社を置く同社は昨年、未来都市をテーマにしたSFアニメ「宇宙家族ジェットソン(The Jetsons)」を実写化し大きな話題を呼んだ。CM用に製作されたこの映像では、アーコニックの技術で実現された飛行自動車と宇宙船が高層ビルの間を飛び回る。60秒余りのこの映像はアーコニックが作り上げていく未来像を我々に示した。同社の韓国支社であるアーコニック・コリアもそうした未来像に向けて共にチャレンジしたいと考えている。

2002年、韓国の「Dooray Air Metal Company」の買収と共に設立されたアーコニック・コリアは航空、防衛産業、自動車、産業用アルミの押出・鍛造分野のリーディングカンパニーだ。同社の徹底した品質管理とサービスは大韓航空、ロッキード・マーティン、ボーイングなど国内外の主な航空機製作メーカに定評がある。同社は韓国で高めたプレゼンスと本社のグローバルな資源を利活用し、顧客に様々な製品に対する先端技術と専門知識はもとより、統合ソリューションを提供している。

アーコニック・コリアの成長を牽引してきたソン・チャンモ代表によると「生産の全段階を直接管理し、高品質の製品を供給することができた」と言う。ソン代表は製品設計から押出、パッケージングまでの全過程を自社で管理しているとし、「顧客に最高のサービスを提供し、会社と顧客が共に成長することが弊社の目標」と話す。

世界最大の金属メーカが何故韓国に進出したのだろうか。ソン代表は「能力の高い人材と充実したインフラ、そして新興市場の進出において有利な立場にあるという点が韓国を選んだ最大の理由だ」と説明する。アジアの経済・技術のハーブとも言える韓国にはアジア域内の需要増加に対応するための最適なビジネス環境が整っている。このような強みのおかげで同社はグローバルな景気低迷にも関わらず、581億ウォンの売上の達成に成功した。

アーコニック・コリアは先端技術の立国である韓国で研究開発にも拍車をかけている。同社は社内に製品開発チームを設けており、合金と調質のベストな組み合わせを研究し、最低の設置コストで生産できる方法を探っている。また、研究チームは顧客のニーズに合った製品を製作できる合金も開発している。同社は2020年まで売上1千億ウォンを達成することを目指している。

ところが、アーコニック・コリアも普通の海外進出企業と同様に当初はそれなりに苦労をした。ソン代表は「最初の数年間は韓国市場に対する情報が十分ではなかったため大変だった」と振り返る。韓国のDooray Air Metal Companyを買収した際には文化の違いによる問題も多かった。

しかし、何といっても韓国人の海外企業に対する認識を変えることに最も苦労したという。ソン代表は「海外の企業は収益創出にしか興味がないとの偏見があるが、そうではない」とし、収益創出以外にも雇用創出と韓国企業の成長にも多くの関心を寄せていると話した。また、アーコニックは大勢の中小企業と協力関係を築き、緊密なコラボレーションを通して共同成長を遂げることができたとも話した。

ソン代表は韓国が魅力溢れる投資先となるためには海外企業が安心して事業を展開できるよう労働法の改定が必要であり、インフラを充実させるための法施行も求められていると説明した。

グローバルな景気低迷が続く中、アーコニック・コリアの成長は止まらないだろう。同社は不可能と言われたことの製品化で成功を収め、韓国唯一ではなくアジア唯一のアルミ押出メーカになった。金属産業界で強い企業になることが目標だと語るアーコニック・コリア。航空・自動車・建築分野においてイノベーションを巻き起こしているアーコニック・コリアはその目標に向かって着実に進んでいるようだ。


By Esther Oh (estheroh@kotra.or.kr)
Executive Consultant/Invest Korea



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