韓国進出の成功事例
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DJI クリエーティブの限りを超えてドローン産業の再編を図る
グローバルな無人航空機製造メーカーであるDJIを創業した最高経営者(CEO)Frank Wangの始まりは小さかった。香港科学技術大学内にある猫の額ほどの学生寮で20人余りがスタートさせた同社は世界中から8千人以上の社員を雇う業界リーディングカンパニーに様変わりした。現在、中国深セン市に本社を構えるDJIは、わずか10年でアメリカのサンフランシスコ、日本の東京、ドイツのフランクフルトや韓国のソウルなど、世界17の都市に支社を置くまで成長した。
昨年には一般大衆にドローン文化を伝えるための取り組みとして自社初の海外旗艦店と世界初の室内ドローン飛行場であるDJIアリーナを韓国に建設し、そのタイミングは実にベストだった。2017年、産業通商資源部は「12大新産業」を発表し、中でもドローン産業育成のために2019年までなんと5千億ウォン(約4億3千万ドル)を投資するなど、全面支援に乗り出すと公言した。
DJIコリアのムン・テヒョン法人長はKOTRA EXPRESSとのインタビューで、自社初の海外旗艦店と世界初のDJIアリーナを韓国に建設した理由と、ドローン産業をリードするためにどのような努力をしているのかについて説明した。
DJIが多くの競合会社を追い抜いて先頭に立つことができた理由は何でしょうか。
ここ11年間、弊社ならではの差別化要素は、ドローンの飛行体験をより身近なものにしたことでした。弊社がPhantom、Inspire、Matriceの3大主力製品を揃え商品開発に全精力を尽くす究極の目的は、より大衆的で信頼性の高い、実用化レベルのドローン技術を普及するためです。
現在、DJIは単なるドローン製造メーカーではなく、他の追随を許さない専門技術でジンバル(gimbal)市場を開拓した主役です。弊社のRoninとOsmoシリーズは、ブレない映像技術を実装し、ユーザが様々な方法で想像力を発揮できるよう選択肢を増やしました。
DJIは韓国進出を何故決めたのでしょうか?
DJIは2016年3月、韓国に初の海外旗艦店をオープンしました。
韓国はデジタルとモバイル優先市場(mobile-first-market)が高度化し、K-pop、ドラマ、コンテンツなどに支えられ成長を遂げています。また、今や映像コンテンツの消費が主にモバイル機器を通して行われ、写真家やコンテンツ製作者の数も増え続けているので、DJIにとって韓国は成長可能性の高い国となりました。実際に韓国は現在、モバイルインターネット普及率が88%と、国民の半数以上がネットを通して映像を見ています。毎秒、400人以上の韓国人がスマホで映像を見ているのです。
韓国でドローンが大変話題となっていますが、その理由は何だとお考えでしょうか。
大きく2つあると思います。一つはドローンがより使いやすくなっているということ、もう一つは様々な産業にドローンの技術を融合することができるということです。
世界の流れからも分かるように、我々が韓国に建てた旗艦店を通して気づいたことは老若男女を問わず、幅広い階層がドローンに興味を持っているということでした。趣味活動をしたり、無人飛行技術を用いて新しいビジネスを始めようとする人にドローンはとても魅力的な商品なのです。
現段階で技術発展と定着のためには、一般大衆への教育が伴わなければなりません。無人航空機業界をリードする会社としてDJIは、自社のホームページ(http://www.dji.com/flysafe)や様々なSNS、製品のパッケージに安全指針、お勧めの使い方、使い方の説明動画を載せるなどして情報を提供し、消費者教育に特に注意を払っています。現在、DJIアリーナと韓国旗艦店ではNPE(New Pilot Experience、新しい操縦体験)と名づけられたグローバル教育・安全プログラムを通して初めてドローンを操縦する方に事前に必要な技術教育、模擬訓練及び模範例などのサービスを提供しています。なお、産業用アプリケーション、製品、アプリの使い方などについて学びたい方のために、韓国で体験型講座も開催する予定です。
DJIはこれからも無人航空機技術を発展させ、それによって発生し得る弊害をあらかじめ防ぐために各国の航空当局と緊密に協力しています。日本の国土交通省の無人航空機政策委員会、アメリカの連邦航空局とはすでに協力体制を構築し、模範例や政策結果によるお勧めの使い方を提供するなど、政策樹立に積極的に関わっています。韓国で弊社の存在感を高める間、コンテンツ協力会社や他のブランド、公共機関などと戦略的パートナシップを模索し、弊社の航空技術がどのような可能性を秘めているのかについて共に探ってみる機会となればいいと思います。
韓国で事業を拡大しながら、何か大変なことはありませんでしたか?
ハードウェアとソフトウェアを合わせて、無人航空機開発は新しいニッチ市場でしたので前例がありませんでした。特に、ここに向いている人材探しに一苦労しました。我々が求める人材とは、常に何に対しても批判的な目で他人とは異なる考え方を持った、思考の枠を思い切って拡張できるような人であったからです。
しかし、乗り越えなければならない問題より発展の余地が大きいことから、今日のドローン産業は大勢の人が興味を持つ産業の一つになりました。我々はすでに多くの人が世界を見る目を変えていることに気づき、航空技術を活かすことで創出できる商業的利益も大きく増えると期待しています。
捜索や救助、土地測量や地図作成、不動産や建築、点検や視察、農業、スポーツイベントや放送など、韓国で商用目的で活用された分野は経済・社会分野にプラスの影響を与えるでしょう。
DJIが韓国で目指していることやビジョンについて紹介して下さい。
弊社は飛行方法について学びたい人々に良い経験をしてもらうため、旗艦店やDJIアリーナを注目しています。製作者から業界の専門家まで、様々な訪問客に弊社が提供する空間をクリエーティブに利用して頂けるよう、両方で体験型講座を開催しています。
今後も「DJIソフトウェア開発者キット」(SDK、Software Developer‘s Kit)プログラムや航空マッピングアプリ「GS Pro(Ground Station Pro)」の利用拡大のように、様々な産業で弊社の技術を利活用できる新しい対策作りに向けて取り組んでいきたいと考えています。
「GS Pro」はDJIが作ったドローンの自律飛行を計画・制御できるように専門の操縦士が開発したiPad向けのアプリケーションです。簡潔で直感的なシステムなので、数回タッチするだけでドローンが複雑な飛行ミッションをクリアするように設定できます。特に、航空地図作成、建築、精密農業や電気点検など諸産業において作業の流れをスムーズにし、効率を最大限にアップさせるために開発されました。
弊社はSDKを通して世界各地で新たなビジネスチャンスを創出し、韓国でも同じ効果を得ることができると期待しています。一例として、南アフリカ共和国のある物流会社はDJIで生産している開発者ドローン「Matrice100」が入力された経路に従い物流倉庫の中を飛行しながら自律で製品をスキャンさせることにSDKプログラムを活用しています。これは時短のみならず、コスト削減にも抜群の効果をもたらしています。
SDKプラットフォームを通してドローンはよりスマートに進化し、操縦も一層簡単になりました。無人航空機の環境構築に中枢的な役割を担っていると言っても過言ではないでしょう。
By Esther Oh (estheroh@kotra.or.kr)
Executive Consultant/Invest Korea