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韓国進出の成功事例

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ウィーワークコリア(WeWork Korea)
作成日
2018.07.03


ウィーワーク・コリアの Matt Shampine社長は、彼の個人的な話や会社のビジョン
そして韓国の変化する事業環境について意見を述べた。


昨年の8月、ウィーワークは固有の業務文化や空間及び共同体を拡散させるために韓国に支社を設立した。現在、ウィーワークコリアはソウルに8つの支店を構えているが、これを今年9月までに10支店までに拡大させる計画であり、来年には、弘大支店がオープンする予定である。同社は、幅広い会員間でのネットワーク構築をサポートし、「生計の手段としてではなく、仕事をする本当の意味を見出す人生」を目標としている。

Matt Shampine社長は、ウィーワークコリアの支社長として、運営、共同体そして営業を担当している。彼は韓国で生まれ、幼い時、アメリカに養子として迎え入れられたが、2007年ソウルで生みの親と出会い、今は生みの親と育ての親、ともに交流しているという。社長は、2011年に初期段階のスタートアップ企業を支援するインキュベーターであるウィーワーク・ラボ(WeWork Labs)を共同で設立し、数千人のスタートアップ企業家への支援を行った。また、彼は韓国とアメリカで成功を収めた数多くのスタートアップ企業のエンジェル投資家でありながら、顧問の役割も担っている。

KOTRA Expressは、約2800人が働いているアジア最大規模を誇るウィーワーク乙支路支店で社長と会い、韓国事業の展開に対する経験やビジョンについて尋ねてみた。

ウィーワークとその歴史について教えてください。ウィーワークは、顧客にどのようなサービスを提供していますか。

最初からお話しすることにいたしましょう。かなり面白い話ですが、2010年にウィーワークの共同創設者であるアダム・ニューマン氏(Adam Neumann)とミゲル・マッケルビー氏(Miguel McKelvey)は、設立当時、マンハッタンにある今よりはるかに小さいスペースで、500人もいない会員と共にウィーワークを立ち上げました。彼らはその当時、はやっていた「個人」とは反対の概念で、共に取り組めばみんなが良くなるという信念を持って始めました。

私は当時、自動車メーカーのメルセデスベンツでプログラムエンジニアとして働いていましたが、大手企業の文化に不満を持っていた同僚たち数人とともに私たちならではの会社を立ち上げることを決めました。その後、私たちは会社をすぐに辞め、ニュージャージー州にある友人のマンションで会社を設けました。当時、会社がニューヨークにあると、もっとお金が儲かるのではと思いました。それで、グレイグズリスト( Craigslist:住宅や求人などを提供するアメリカのオンラインクラシファイド)サイトを通じてチェルシーにあるオフィスを借りることにしましたが、コンピュータープログラマー3人とデザイナー1人で構成された私たちに会社運営は無理でした。他の方法を探しているうちにネットで設立されたばかりのウィーワークを見つけました。私たちはウィーワークを訪れその場で契約を結び、初期会員としてウィーワークビルの2階に入居しました。

当時は会員があまりいなかったため、 アダム・ニューマン氏(Adam Neumann)とミゲル・マッケルビー氏 (Miguel McKelvey)を身近で接することができました。当時、ウィーワークは成長期に差しかかっており、サンフランシスコ、シアトル、ロスアンゼルス、ワシントンおよびボストンへと事業を展開していました。会社としても変化を呼び起こす絶好のチャンスでありましたが、私たちは共同体という概念を忘れませんでした。これは今の韓国の状況に非常に適切であると思います。

私たちは成功という概念を見直しました。正社員と生計を立てるための高い年収だけが成功を意味するのではありません。実は、成功には二つの定義があると思います。まず第1は、毎日自分の仕事を楽しみながら働いてこそ、その仕事は社会に影響を与え、変化をもたらしてくれると思います。第2は、最初の第1がうまくできれば、自然に事業も成功できるということです。

仕事を楽しむことが重要である理由の一つは、楽しんでこそ私たちがより幸せになれるからです。ウィーワークで働くとランチを一緒に楽しんだり、ディナーにビール一本を一緒に飲んだりする友だちができることで、仕事がうまくいくのです。なぜなら、毎日、楽しんで働いているからです。ウィーワークでは、今、約3千人が働いています。ここで、2千人の友だちと付き合うと考えてみましょう。お互いに助け合ったり、励まし合ったり、ビジネスに必要な人を紹介し合ったりすることで、互いの事業が成功に向かいます。このようにネットワークを広げることから真の価値が生み出され、事業が現実なものとなります。

ウィーワーク・コリアを設立した理由は何でしょうか。

3年前、 アダム(Adam)は私たちを家に招待してくれました。中国から帰って来たばかりの彼は私たちにこういう話をしました。「おめでとう。君たちは2週間後に中国へと引っ越しし、ウィーワーク・アジアを設立することになるだろう」と。私たちは少し慌てましたが、すぐにアジアのハブ都市はどこに位置し、どの都市を優先にするかについて話し合いました。ソウルは上海、北京、香港そしてシドニーと並んでアジア進出の優先都市として位置づけられていました。

さらに、私は24歳の時、生みの親と韓国で初めて出会い、6か月ごとに韓国を訪れていました。そのため、自然に韓国の友だちができ、彼らのほとんどはウィーワーク・ニューヨークへビジネスのために訪れるスタートアップ企業の起業家たちでした。実は、私は、長年の間 Adamにウィーワークコリアを立ち上げることを提案していました。ついに、私たちは望ましい時期にウィーワークコリアを立ち上げることとなり、私は嬉しくてウィーワークコリア設立のために多くの時間を費やしました。

私たちは、いつもソウルがグローバル企業のハブ都市であることを実感していましたが、長い目で見ると、ソウルは、先ほどお話ししたように変化の時期を経験しています。当時、韓国政府は、創造経済と次世代産業革命の推進に積極的に取り組んでいました。現在、第4次産業革命と言われる次世代産業革命は、韓国を未来へと導く企業が必ずしも大手企業ではないという認識を促してくれました。私たちは、ソウル市と協力して、いくつかの了解覚書(MOU)を締結し、ニューヨークで縁があったKOTRAとも協力しながら、今が韓国で事業を立ち上げるのに最適な時期であると判断しました。

韓国市場と他国との違いは、何でしょうか。

最近、韓国では、大きな規模の会社で、仕事、人材確保、人材保有、リストラ、従業員の福利厚生を高めようとする努力が見られます。通勤時間、勤務時間、行事参加や持続的な教育などの要素は、特に韓国において非常に重要です。これは、増え続けるウィーワークの会員数を見ても分かりますが、ほとんどのウィーワークコリアの会員は外国人ではなく、このような変化に気づいた韓国人です。私たちの目的は、韓国のいたるところにウィーワーク支社を立ち上げるのではなく、本当の意味のウィーワーク・コリアを作り上げることです。そのために、私たちは市場に合わせた戦略を立て、現地で優秀な人材を採用し、特定市場で起こり得ることを前もって予想することで、意思決定が正しく下せるよう訓練し、権限を付与します。韓国の現地チームは、東京や上海チームよりも韓国の会員の皆様がどんなイベントを好むかについてよく知っています。

ウィーワークが韓国の顧客向けに展開したマーケティングには、どのようなものがありますか。

韓国の不動産市場は他の国と違うので、ウィーワークは適切なオフィスとスペースを規模の小さい企業に安価で提供することができます。ウィーワークのオフィスは月ごとに契約することができるため、高い保証金を払う必要がありません。私たちは企業に最も適合したスペースを提供することが最も重要だと思います。

中小企業だけでなく、多国籍企業もウィーワークを通じて企業文化を見直し、従業員らがより幸せになれるよう後押ししています。さらに、ウィーワークの会員様であれば、全世界のウィーワークサービスを利用できる点が特にメリットです。ほとんどの韓国企業は国内市場に限らず、世界市場を舞台に事業を展開しているため、出張が多くあります。特に、スタートアップ企業は、世界市場への進出について早期に考慮する必要があります。江南での打ち合わせを終えて、汝矣島へ移動しようとする場合、アプリを通じて会議室を予約したり、共同スペースを利用することができます。ソウルは漢江を往復しながら移動することがよくあるため、このような環境にあるソウルにとっては非常に有益となるサービスです。

その他にも、韓国支社のあらゆるところで従業員が選んで参加できるヨガ、ピラティス、特別講義やハッピーアワーなどのイベントも設けています。韓国内でウィーワークネットワークが大きくなればなるほど、皆様にとってよりよいサービスとなるでしょう。

韓国で事業を展開しながら直面した難題には、どんなことがありましたか。

特にありません。韓国は私たちを歓迎してくれ、さらには、事業を立ち上げやすい環境をも提供してくれました。私たちは「現地人から学んで、人材を採用したい」という開かれた姿勢を持って、韓国で行われるすべての会議に参加しただけでなく、韓国にある国内外企業の成功を後押しするために韓国に来ました。私たちはウィーワークがどうすれば新しい創造経済に貢献できるかについてソウル市とKOTRAに相談しました。韓国で私たちは雇用創出を支援し、好きなことを仕事にしていけるようサポートしながら社会的企業や非営利団体を支援しました。さらに、国内企業が望む有利な方向で外国人直接投資が簡単に行われる韓国スタートアップ生態系の発展に貢献しながら、成功に向かって進んでまいりたいと思います。

韓国がウィーワークのような外資系企業に対してより理想的なビジネス環境を提供するためには、どうすることが必要だと思いますか。

韓国政府は私たちを歓迎してくれ、積極的に多くの支援をしてくれました。それだけでなく、多くの政府機関と協力し多大な関心を持って支援してくれましたので、これからは私たちがどのようにすれば外資系企業の誘致を拡大し、韓国政府に恩返しできるかと悩んでいます。ポイントは人だと思います。海外から韓国を訪れた人々が韓国で楽しい時間を過ごせるようにすることが大切です。韓国進出に失敗した企業家たちは、母国に帰って韓国について良い評価をしないはずです。共同体との連携を通じてもっと楽にビジネスができるようにすべきです。私たちは韓国政府のビジネスパートナーとなり、このような環境づくりを後押しすることで、外資系企業の成功を支援したいと思っています。

ビジネスパートナーシップの強化に向けて、今、どんな韓国企業と連携を結んでいますか。

ウィーワークの協力会社は、ほとんど韓国人企業家です。インターネットサービスであれ、掃除サービスであれ、私たちは現地市場の中小企業を支援するために努力しています。コーヒーはカフェアントラサイト( Anthracite)から、ビールは国内手作りビール会社から供給してもらっています。スケジュラーと帽子も国内企業に発注しました。私たちは企業と企業家いずれもクリエーターだと思って支援を行っています。

今年、ソウルを含め、いくつかの都市で「第2回ウィーワーククリエーターアワード(WeWork Creator Awards)」が開かれます。ウィーワークは10億ウォンを超える金額を非営利団体に寄付し、公演芸術家に助成金を、そしてスタートアップにとって最高の 投資手段である将来株式取得契約スキーム(SAFE: Simple Agreement for Future Equity, 将来の株式のための簡単な同意書)について伝える予定です。この行事を通じて、私たちはクリエーターに経済的なサポートのみならず広報と就職についても支援するつもりです。

ウィーワークは他の企業と差別化を図るためにどのような努力をしていますか。

まず、常に改善策を模索し、最終的にウィーワークの会員様が価値を創出できる方向で考えています。決してこの信念を忘れてはなりません。どのようにイベントを改善するのか、会員間の連携を強化するためにどうするのか、そして彼らの経験を個人レベルを超えて、ビジネスレベルで持続的に活用できるかについて考えることが重要です。

一方で、ウィーワークのすべての従業員と会員様は、地域社会の一部であることを忘れてはなりません。私たちは会員様にボランティアや趣味活動を通じて、彼らの地域社会へ貢献できるチャンスを提供しています。動物の権利、高齢者、教育など領域はさまざまです。韓国人はいつも忙しいですが、社会の発展に貢献しようとする考えを持っています。クリエイティブで簡単な方法を探せばいいのです。ソウルのウィーワーク支社には1500人を超える従業員らが働いており、彼らはみんな自分の地域社会に大きな影響を与えることができると思います。

これからウィーワークが韓国をはじめ、アジア地域で推進する戦略があれば教えてください。

ウィーワークは世界のすべての人々をつなげることに重点を置いています。今後、韓国により多くの支社を設立し、会員間で様々な事業を連携するよう引き続き投資する計画です。私の目標は、来年、少なくとも1つ以上の都市にウィーワークのネットワークを拡大させることです。しかし、ソウルは都市が大きすぎるため、ここで引き続きネットワークを構築していくことも重要だと思います。

他の国においては、ウィーワークの We Liveのような他の事業部門を拡大していく計画です。韓国では、ウィーワーク内で共通の関心事を持つ人々同士が集まりを開くmeetup.comのベターテストも行っています。

ウィーワークはどのようにして韓国人の働き方を改革していますか。

まず最初に、ウィーワークは社会支援とコラボレーションのための最適なスペースを提供するために、スペースそのものの革新に力を入れています。共同体を無理に作ることはできませんが、これを支える雰囲気や手段を提供することはできます。

また一方、ウィーワーク会員様の20%が、GE、SK株式会社、アモーレパシフィックTFTおよびハナ金融TIなどの大手企業の従業員で構成されており、私たちは彼らの企業を次世代新事業を推進する革新的でクリエイティブな企業家たちと連携する方法を模索しています。企業家は、 FinTech、バイオ、健康、会計および法律などの業種に関係なく、それぞれの分野でのクリエーターです。大手企業は、彼らとのパートナシップを結び、彼らの企業に投資を行うことで事業活動を促し、互いの成功に貢献できるあらゆる努力をなすことができます。


By Grace Park (gracepark@kotra.or.kr)
English Editor / Invest Korea



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