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韓国進出の成功事例

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中国工商銀行(ICBC)
作成日
2020.03.02


KOTRA Expressは、中国工商銀行(ICBC)ソウル支店代表および駐韓中国商会会長の牛建軍とのインタビューを通じて、韓国内の企業活動とともに金融産業に関する談論を紹介する。


中国工商銀行(ICBC、以下「工商銀行」)は、中華人民共和国の中央銀行である中国人民銀行(PBOC)から分離し、資金預金預入業務および企業の資金調達などの機能を行う中国国営商業銀行である。1984年に発足した工商銀行は資産、貸出 、預金、利益、銀行の自己資本比率などで最高の規模を誇る世界で最も大きい金融機関だ。世界48ヶ国に400カ所以上のグローバルネットワークを形成しており、職員数も44万5千人に達する。このメガバンクは非常に安定した資産ポートフォリオを土台に、最近400億ドル以上の収益を上げた。国有商業銀行だが、個人金融(小売金融)や企業金融(卸売金融)の業務をすべて包括して資産管理、グローバル現金運用、受託/委任業務、投資金融、プロジェクト融資のためのコンソーシアム構成、そして従来の伝統的商業銀行の業務のみならず、最近はフィンテック分野においても頭角を現している。

牛建軍支店長は、北京大学で航空エンジニアリング学/修士課程修了、米ノースウェスタン工科大学(Northwestern Polytechnic University)で講師や助教授として約5年間在職した後、1995年に工商銀行に入社した。10年以上の海外勤務経歴とともに、中国工商銀行のベトナム・ハノイ支店およびカンボジア・プノンペン支店を設立した。現在は、在韓中国商会の会長職も歴任している。

韓国に関心を持つようになったきっかけは何ですか。

ほとんどの中国人は韓国の映画、家電製品、化粧品、ファッションなどを通じて韓国に対する親しみを感じています。特に、韓中両国は類似した伝統文化や価値を共有しています。そのため、3年前に中国工商銀行ソウル支店長としてソウルに来ましたが、故郷の西安市と食べ物や環境が似ていて、楽しく過ごしています。

工商銀行が韓国に支店を設立した理由は何ですか。

1992年の韓中国交正常化後、工商銀行は翌年太平路に事務所を設立しました。IMF通貨危機があった1997年には個人金融および企業金融サービスを専門的に提供する商業銀行として法人設立を公式に認可されました。

工商銀行ソウル支店の目標は、「韓中貿易と投資を活性化し、両国の架け橋の役割を果たして、お客様に最善のサービスを提供する」ことです。設立22周年を迎える今年、中国工商銀行ソウル支店は38社以上の外資系金融会社のうち最高の資産と規模を誇っており、ソウルと釜山などに4の支店を設立し156人の職員を雇用するほど成長しました。

韓国で企業活動を展開しながら得られるメリットは何でしょうか。

韓国は1人当たりの国内総生産が3万ドルに迫る、アジアにおいて四番目に大きな経済規模を誇っています。成熟した金融市場、堅固な司法制度、豊かな人的資源、政治的安定、そして海外企業が各自の方法で事業を拡張できるように成長をけん引する競争力のあるグローバル企業まで、韓国は無限の可能性を持っている国です。また、中国は韓国の最大の貿易相手国であり、今後、中国の銀行やクライアントに大きな可能性をもたらす主要海外投資対象国でもあります。

中国の企業家が最も関心を持っている事業や分野は何ですか。

数多くの中国企業が金融、保険、証券、航空、船積み、貿易など各分野にわたってすでに韓国で活動しております。一部の韓国ゲーム会社の場合、中国市場への攻略に向けて韓中合作合併・買収を進めています。

また、他の例を挙げてみましょう。今はうやむやになりましたが、中国の緑地グループの子会社グリーンランド(Green Land Group)は、済州島に不動産投資を行い、複合リゾートおよび病院施設の設立を進めたことがあります。

製造および建設分野で、韓中間の競争が消えつつあり、もはや両国の企業が過去のような競争構図は解決策ではありません。これからは共生と相互補完が必要です。

韓国でビジネス機会を模索している中国企業や投資家にアドバイスをお願いします。

SWOT分析(Strength強み、Weakness弱み、Opportunity機会、Threat脅威)に踏まえてアドバイスすると、おそらく旅行産業がこれから良い投資先になるのではないかと予想します。大多数の韓国人は中国の豊かな観光資源についてよく知らないです。韓国人の知人を見ても、大都市のいくつかを除いてほとんどの人は聞き慣れない都市が多いです。しかし、私の故郷の西安市を例に挙げると、一般には知られていないですが、西安市は一時は古代中国の首都であるほど興隆した都市でした。そして現在は美しい山と草原が広がっている絶景で外国人観光客が最も多く訪れる観光地3ヵ所の一つになりました。

ビジネスコンサルティングも有望な分野です。中国は、外国人投資ネガティブリストを発表し、金融市場のみならず産業全般にわたってかなり前向きな態度で、中国への投資接近性を拡大しています。もし、韓国企業が中国市場への進出を模索すると、現地市場に関する情報をコンサルティング会社を通じて確保できるでしょう。

また、定期健康診断を受けようとする中国人顧客の確保に向けて、韓国の病院と合弁投資を行うことも良いでしょう。その他にも、IT、化粧品、ファッション、国際学校および中国市場と連携した核心ビジネス供給網など、数多くの分野への投資機会があると思います。KOTRAでも、潜在投資家のための投資活動ガイドラインなど、関連情報を提供していると聞きました。

韓国が工商銀行のような海外企業により理想的なビジネス環境を提供するために必要なものは何だと思いますか。

韓国金融監督院(FSS)、韓国金融情報分析院(KoFIU)、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が全面的に支援してくださったおかげで、工商銀行は不良債権もなく、現在年間約7千万ドル以上の収益を記録しております。それにもかかわらず、総資産利益率(ROA)や自己資本利益率(ROE)の低調な業績は依然として課題といえます。同じ理由で、多くの外資系企業が規制緩和や減税措置などを言及するのではないかと思います。

ビジネスパートナーシップを強化するため、一緒に協業中の韓国の企業/公共機関を紹介してください。

工商銀行は、韓国で幅広い顧客層を確保しています。30大大手企業と子会社、業界トップの証券および保険会社、商業銀行、カード会社そして、政策性銀行は韓国での潜在的顧客です。預金や融資規模の面で工商銀行は、外資系銀行のうちトップであり、韓国の実体経済のてこ入れにも積極的な役割を果たしております。すでに韓国の銀行と与信サービス協約を締結し、中国の子会社との業務協約を通じて、必要な時に資金流動性を確保するための装置も用意しています。

今後の工商銀行の韓国およびアジア市場での活動計画を教えてください。

中国は、無限の潜在力を持っている韓国企業にとって非常に重要な市場です。工商銀行は、これらの企業家が中国に進出し、事業を拡大できるよう支援することを目指しています。さらに、工商銀行のグローバルネットワークを基盤に海外市場で活動中の企業が、両替、資金調達など当行のサービスを活用して成長することを期待しています。今後、韓中両国の企業が第3国に進出する過程に貢献できると思います。

韓・中関係についてのご意見をお願いします。

歴史的に韓・中両国はまるで兄弟のように数百年間共にしてきました。また、文化的類似性や思想の共有を通じて、長い間絆を構築してきました。今では多くの韓国人が、そして中国人がお互いの言語で話し、コミュニケーションをとる時代になりました。韓・中両国は相互依存的で互恵的な関係です。貿易と投資の割合がそれを如実に示す事例でしょう。今後、韓・中FTAが締結されれば、ビジネスにやさしい環境が作られることが期待されます。昨年、文在寅大統領の中国国賓訪問を機に、両国はさらに強固な信頼関係を構築することができました。また、中国の改革開放こそ、韓国企業が中国市場でより活発にビジネスを展開できる絶好のチャンスです。だからこそ、私は韓・中両国の明るい未来がやってくると確信します。



By Grace Park (gracepark@kotra.or.kr)
Executive Consultant
Investment Public Relations Team / Invest Korea
Korea Trade-Investment Promotion Agency (KOTRA)



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