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韓国進出の成功事例

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バイヤスドルフ・コリア(Beiersdorf Korea)
作成日
2020.07.20


KOTRA Expressは、バイヤスドルフコリアのエンドリック・ハセマン韓国支社長とバイヤスドルフコリアのヤツェク・ブロズダベンチャー新事業開発マネージャーとのインタビューを通じて、韓国での企業活動とともにビューティー産業に関する談論を共有する。


ドイツのバイヤスドルフ(Beiersdorf AG)は、創立以来、生活消費財‐個人用ケア製品分野で約135年の歴史を誇る長寿企業で、革新的かつ優秀なクオリティーのスキンケア製品を発売してきた。

雇用人数だけでも全世界で約2万人に達し、主要製品群としてはニベア(NIVEA)、ユーセリン(Eucerin)、ラ・プレリー(La Prairie)、アクアフォー(Aquaphor)、アトリックス(Atrix)などがある。

バイヤスドルフコリアは1997年、ニベア・ソウル㈱という現地法人を設立して韓国市場に進出した。単一ブランドとしては製品群が大人気を集め、2012年にはDermacosmeticsブランドのユーセリン(Eucerin)を韓国で発売する。

2018年現在、バイヤスドルフが発売したリップケアシリーズ、デオドラント、ボディサンケア製品はシェア1位を占めるなど、韓国のスキンケア産業をリードしている。バイヤスドルフコリアは、次世代K-ビューティー・スタートアップを発掘し、戦略的パートナーシップを締結するため、2019年に「ニベア・アクセラレーター(Nivea Accelerator:NX)」というスタートアップ・アクセラレーター・プログラムを導入する。これにより、ビューティー・スタートアップの「ライクル(LYCL Inc)」が選定され、韓国初のバイヤスドルフからのベンチャー投資を誘致することになった。

KOTRA Expressは、韓国内の企業活動とともに、スキンケア産業に関するバイヤスドルフコリア関係者の意見を共有する。

自己紹介をお願いします。

エンドリック・ハセマン:初めまして。私はバイヤスドルフコリアの韓国支社長を務めており、ニベア・アクセラレーター(以下「NXプログラム」)の共同設立者であり、同プログラムを通じて発掘された最初のベンチャー投資企業であるライクルの社外取締役職も兼任しています。私は韓国のビューティー産業をよりよく深く理解し、発展に貢献することでバイヤスドルフが革新、新しい事業モデル、投資機会を創出することを期待しております。

韓国支社長に任命される前、アフリカとヨーロッパ、そして本社があるドイツでマーケティングおよび営業関連の様々な業務を担当しました。バイヤスドルフグループに合流する前は、ユニリーバ(Unilever)でキャリアを積んでいました。私はスタートアップや新事業のような新しい分野への挑戦にも非常に関心が高いため、ドイツでマーケティング/広告関連スタートアップを共同設立しました。

ヤツェク・ブロズダ:初めまして。お会いできて嬉しいです。私はバイヤスドルフコリアの新事業開発マネージャーであり、韓国NXプログラムの共同創立者でもあります。成長機会を模索し、新しいビジネスを創出するため、2年前に韓国支社に来ました。

私は2015年にバイヤスドルフに入社しました。電子商取引チームで各種の業務を担当し、デジタルマーケティング、ブランドマネジメント、そして社内コンサルティングまで様々な職務を担当しました。

それまではイギリスの生活用品メーカーであるレキットベンキーザーグループ(Reckitt Benckiser)、そしてP&G(P&G)およびネスレ(Nestlé)のデジタルマーケティングコンサルタントとして勤務しました。そういえば、私は一生、日用消費財(FMCG:Fast Moving Consumer Goods)業界にだけ携わっていますね。

韓国に関心を持つようになったきっかけを教えてください。

エンドリック・ハッセマン:韓国はアジアで最も巨大なビューティー市場の一つです。また、スキンケアブランドの革新とデジタル化の前哨基地の役割を果たしています。私は、Kビューティーが国内市場を越えて全世界に及ぼす力を実感し、興味を持つようになりました。現在、世界の最新トレンドとビューティー産業の革新は、韓国からスタートされており、これを最初に体験できる点に魅了されました。

ヤチェク・ブローズダ:韓国はビジネスの側面だけでなく、文化的な面でも非常に面白い市場です。私はドイツでスキンケアスタートアップに関するグローバル市場調査プロジェクトに参加したことがあります。当時、ビューティーテック(beauty tech)やオン・デマンド(on-demand)のような顧客中心型サービスなどのトレンドを注意深く観察し、韓国市場を発見しました。韓国が革新的なビューティースタートアップの先兵の役割を果たしていることを知り、韓国と現地市場ならではのユニークな産業構造に好奇心が刺激されました。

バイヤスドルフと貴社の歴史について紹介してください。

エンドリック・ハッセーマン:バイヤスドルフは1882年にドイツのハンブルク(Hamburg)に設立されました。1911年にはニベア(Nivea)クリームが誕生しました。「ニベア」というブランド名はラテン語由来の「雪のように白い純白」を意味する単語です。この真っ白なクリームは、世界中で販売され、スキンケア製品のクラシックになりました。「このように、長い間消費者から愛されながら信頼を構築する一方、需要に対応して革新的な製品を開発するため、今も絶え間なく努力しています。

バイヤスドルフが韓国支社を設立した背景は何ですか。

エンドリック・ハッセマン:バイヤスドルフは、1997年に韓国に現地法人を設立しました。当時は市場進出を決定する時、長期的な戦略を立てることが非常に重要でした。とにかく支店開設以来、リップ&ハンドケア商品、デオドラントなど、様々な商品群販売で善戦し、成長を続けることができてやりがいを感じます。

その後、市場シェアを基に、ユーセリン(Eucerin)、ハンザプラスト(Hansaplast)、アトリックス(Atrix)、エイトフォー(8x4)などのブランドを次々と公開し、製品ラインを拡大してきました。

昨年、ニベア・アクセラレーター(NX)プログラムを韓国に初めて導入しました。スタートアップ支援プログラムを運営するようになった理由ついて教えてください。

ヤチェク・ブロズダ:ビューティー産業は、過去100年間の変化とは比べものにならないほど、今後10年間、巨大な地殻変動が予想されます。未来に優位を築くため、当社は「C.A.R.E.+」戦略を構築しました。オープンイノベーションとベンチャー精神こそがC.A.R.E.+戦略の中核であり、巨大なベンチャーシステムの一環であると考えます。

そのため、ビューティー、そしてデジタルテクノロジーのトップランナーである韓国こそ、NXプログラムの候補地として適していると判断しました。当社は、次世代ビューティー産業の揺りかごであるこの場所をご一緒いたします。 韓国は世界で類を見ないほど先進的なスタートアップ環境、ビューティー生態系、そして先端技術が調和を成した市場です。これを通じて、新しいトレンドを生み出す発祥の地として認められ、NXプログラムの理想的な投資先になることができました。

韓国のスキンケア製品(化粧品)産業が他の市場と差別化されている点があったら、説明してください。

エンドリック・ハセマン:革新の速度、世界的な規模の市場性、そして洗練された顧客層が他の市場と区別される違いだと思います。企業の立場では、韓国の消費者は驚くほど興味深い対象です。10段階にわたる基礎ケアルーチンとか、新製品や管理方法に果敢に挑戦する積極性など、韓国の消費者ほど肌に投資し、スキンケア商品を選ぶ顧客も珍しいです。

このような韓国固有の需要を基盤に、従来のKビューティー市場のブランドショップが構築した極度に精巧なサービス、ビューティースタートアップの出現、そして高品質の受託者開発生産(ODM)などが発達しました。逆に、このような産業システムは、高いレベルのデジタル技術のおかげで実現できたと思われます。IT技術を通じて、全世界のミレニアム世代、そしてZ世代が熱狂する画期的なアイデアと新しいトレンドが生まれるからです。

現在、韓国はグローバル市場でスキンケア製品の最大輸出国の一つに成長しました。

韓国で企業活動を展開するメリットは何でしょうか。

エンドリック・ハーセマン:前述したように、世界中のバイヤスドルフ法人のうち、韓国はデジタル技術の影響力を極大化した市場です。

バイヤスドルフの主な事業目的およびC.A.R.E.+戦略の核心は、デジタル革新を通じてブランドリーダーとして生まれ変わることです。当社は、NXプログラムを通して未来の市場のゲームチェンジャーとなるスタートアップとの協業の可能性を見出しました。これは「スキンケアソリューションの革新、新しいビジネスモデルの発掘、持続可能な成功のための投資」という目標で長期的なパートナーシップを図る絶好の機会と考えます。韓国で多くの人々と交流し、魅力的な文化を知っていくこの過程が個人的にとても光栄です。

スキンケアとビューティー分野で韓国のスタートアップ生態だけの強みといえば何だと思いますか。

ヤチェク・ブロズダ:韓国はグローバルスタートアップの主要ハブの一つです。長い時間をかけて体系的にスタートアップ生態全般を構築することは、注目に値する成果と言えるでしょう。昨年の場合、韓国のベンチャー投資額は、4兆ウォン(約30億ユーロ)以上でした。2年前の実績と比べると、約2倍の規模であり、今後も十分に成長できると予想されます。

しかも、ビューティースタートアップは、韓国のベンチャー事業の中核分野です。グローバル市場で、他の市場と比較できない韓国独自の文化が定着しています。有名だというスタートアップハブであるアメリカのサンフランシスコ、イスラエルのテルアビブ、そしてドイツのベルリンもビューティー産業に限っては、韓国のように高度な市場は形成されていません。自社保有のデータベースによると、韓国に約500社のビューティースタートアップがあるそうですが、実際はより多くのスタートアップが活動していると予測されます。

ニベアのNXプログラムを通じて、どのような方法で韓国内のビジネスパートナーシップを構築する計画なのか、共有してください。

ヤチェク・ブロズダ:NXプログラムを通じて、バイアスドルフは韓国だけでなく、グローバル市場でビジネスパートナーシップをさらに強化する計画です。インキュベーターとして、これまで蓄積してきたスキンケア分野のノウハウを共有し、ドイツ本社とともに相互ビジネスプロジェクトを推進しようとしています。

NXプログラムは、厳しい審査を経て候補を選別します。200社以上のの申請企業のうち、5社のスタートアップだけが選ばれます。審査基準は、量よりクォリティーにフォーカスを当てて企業の実務量を評価します。同プログラムは、1年単位でバイアスドルフとの協業を通じ、スタートアップのポテンシャルを最大値を引き出すよう支援するビジネス養成過程です。  今回、韓国で初めてプログラムを公開しましたが、これからはアジア太平洋地域で類似のプログラムを導入する計画です。

今回、韓国で初めてプログラムを公開しましたが、これからはアジア太平洋地域で類似のプログラムを導入する計画です。

NXプログラムを通して韓国市場での今後の事業計画についてお話しください。

エンドリック・ハーセマン:NXプログラムの目標は、究極的にビューティスタートアップ企業とバイアスドルフが共存できるウィンウィンパートナーシップを構築することです。韓国のビューティースタートアップ企業は、能力は優れるが潜在力を引き出す機会が相対的に不足しています。これらの企業がさらに一段階跳躍できるよう、NXプログラムを通じてグローバル事業機会を発掘し、バイアスドルフも共に成長できるように努力していきたいです。



By Grace Park
Executive Consultant
Investment Public Relations Team / Invest Korea
Korea Trade-Investment Promotion Agency (KOTRA)




1) C.A.R.E.+ 戦略:Courage (勇気)+ Aspiration (熱望) + Responsibility (責任)+ Empathy (共感)
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