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韓国進出の成功事例

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ソルベイ(Solvay)
作成日
2020.10.14
 


豊かな未来に向かって

アンドレ・ノートン、ソルベイアジア太平洋総括似に会う

 
KOTRA Expressは、ソルベイアジア太平洋総括のアンドレ・ノートンとのインタビューを通じ、韓国内の企業活動とともに韓国における化学産業に関する談論を共有する。

 

 
 

ソルベイはベルギーに本社を置く化学企業として、日常生活で多様に適用される技術を開発している。1863年にエルネスト・ソルベイ(Ernest Solvay)が設立し、現在は64カ国の115支社と約24,000人の職員が勤務している巨大企業として成長し、世界3大化学企業の一つに挙げられている。「革新を再創造するための人、アイデア、そして各要素の結合」というスローガンの下に、消費者の日常生活のみならず様々な産業分野において、より安全かつクリーンで持続可能なソリューションを提供するために貢献している。

「気候変動からの環境保護」、「資源保存」、そして「豊かな暮らしの追求」という3つの目標を中心に「ソルベイ・ワン・プラネット(Solvay One Planet)」というイニシアチブを発表し、これにより全ての構成員が共有する持続可能な価値を目指す。

アンドレ·ノトンは、ベルギーから韓国に移住し、長い期間を韓国で暮らした。外交官の両親の影響を受けて、日本、中国、タイなどアジアの様々な国に滞在し、幼い頃から他の文化(特に、アジア圏)を受け入れ、多様性を尊重する方法を学んだ。

大学卒業の後、兵役義務を終えてソルベイに合流し、韓国支社に発令を受けることになる。ソルベイ・コリアで多くの役職を経て、ついに社長の地位まで上がることになり、現在はソルベイアジア太平洋総括職を歴任し、タイに居住している。

KOTRA Expressは、ソルベイアジア太平洋総括のアンドレ・ノートンとのインタビューを通じ、韓国内の企業活動とともに韓国における化学産業に関する談論を共有する。

 

韓国に関心を持つようになったきっかけを教えてください。

1989年ソルベイに入社した当時、新入社員だった私はどうしてもアピールしたくてたまらなかったんです。韓国行きを選ぶと言ったら、周りの同僚たちが「考え直して」と止めました。実は、韓国という国についてよく知らない状態で志願したので、簡単ではないと思いました。しかし、キャンセルするにはすでに遅すぎたし、以前にアジア地域に滞在した経験もあるからと思い、なるようにならないかと軽く思いました。

1991年の初め、スーツケース一つを持ってソウルに到着し、真冬の天気で体が凍りつきました。数ヵ月後、韓国で合流することにした家族が到着するまで、スーツケースの中の荷物で生活しなければならなかったので、極限の生存記でした。最初は苦労しましたが、その後、韓国が高度成長期を経て生活水準が全般的に向上し、私にとっては韓国での生活がヨーロッパよりも楽になってしまいました。

韓国に滞在してから21年目になりますから、私の人生のほとんどを韓国で過ごしました。
 
ソルベイの韓国支社設立の背景について紹介してください。

ヨーロッパとアメリカに進出した後、1960~70年代にソルベイ製品の主要輸出地としてアジア市場が注目を集めました。当時、日本、台湾、韓国、インド、東南アジア諸国が主な顧客層でしたが、市場の成長により、物流コストの削減に向けた現地化(localization)に対する議論が本格的に始めました。

そうして1975年にソルベイの初生産施設が韓国に設立されました。1970年代までは韓国戦争の復旧事業の真っ最中だったので、こうした外国企業の投資は時代を先取りした選択だったと思います。ソルベイの資本で仁川に設立された工場では、靴のゴム底に主に使われていた沈降シリカを生産しました。その後、タイヤ製造などシリカの活用範囲が次第に拡大し、先端化学技術もともに発展していきます。

ソルベイは、仁川に工場を設立した後、温山と群山に順次生産ラインを開始しました。特に、群山工場竣工のため、韓国の産業通商資源部が積極的に支援してくれました。

対韓投資についてもう一つ説明すると、当社は梨花女子大学で「梨花・ソルベイ研究センター」を開所したりもしました。私は梨花女子大学にオフィスを移転した最初のチームの職員でもありましたが、キャンパスにソルベイの特殊化学事業本部が設置され、約80人の研究者を収容し、営業部署だけでなく本社の特殊化学事業部グローバルビジネスユニット(GBU)まで加わり、電子、自動車、重工業、リチウムバッテリーなど各種の産業に活用可能な技術を生産・開発するR&D拠点に変化しました。

韓国でのビジネス活動について詳しく紹介することは難しいですが、ソルベイの事業は基礎原材料の生産から今日の最先端科学技術開発に至るまで、韓国の産業発展の歴史と進化過程がそのまま投影されています。競争力を高めるため、新興市場の需要に合わせて絶えず適応しなければならず、それと同時に韓国現地化事業も成功させるため努力しました。これこそ、市場が求める変化を正確に感知し、受け入れることができる唯一の方法だと信じました。

韓国で企業活動をしながら享受できるメリットはどのようなものがありますか。

まず、アジア市場への投資を悩んでいる方々には、韓国に注目することをおすすめします。東北アジア諸国の様々な姿をすべて映し出している韓国こそ、新製品のテストベッドとして最適であり、域内の事業拡大のための跳躍の足掛かりとなるでしょう。

のみならず、ここでは距離的な制約を受けずに世界中のほとんどの国に製品とサービスを容易に供給することができます。ソルベイも韓国だけの長所を十分に活用し、1970~80年代に合弁投資会社の形態で韓国市場に進出して以来、OCI、サムスン、ハンファなどの大企業を含め、専門技術を保有する様々な中小企業とも長い間パートナーシップを構築してきています。

また、韓国は豊かな人的資源を持っている国です。実際、両国の文化やビジネススタイルなどが厳然と異なるため、これを理解し尊重するには相当な時間が必要ですが、誠実で教育水準の高い韓国の人材は誰もが認めざるを得ません。

梨花女子大学にセンターを設立した背景も、2000年代初めにここでLCDやディスプレイ工程用プラズマなどの技術を開発する過程で、革新的なスタートアップや大学、研究機関などとコラボレーションを成功させた当時の経験が相当部分作用したと思われます。

最後に、韓国の優れたインフラについてお話ししたいと思います。かつては、ソウル-釜山間を行き来するのに、セマウル号列車で8時間もかかりました。今はKTXで2時間半しかかかりません!ソウルにクモの巣のように設置された地下鉄は、隅々まで開通して20年も経っていないそうです。全国に構築されている高速道路や橋梁、昼のように明るく照らすトンネルなどを見ていると驚きです。

このように、韓国の高度に発達したインフラのおかげで、私も家族と週末には江原道や巨済島などに旅行したりしています。

 

韓国およびアジア太平洋地域の市場を攻略するソルベイならではの戦略があるとしたら、それを共有してください。

韓国に進出した初期は、欧州での生産方式を参考し、原材料を主に納入しました。その時期は大半の韓国企業の間で需要も高く、当時のソルベイの技術だけでも維持することができました。しかし、1997年のアジア通貨危機により、多くの韓国企業が打撃を受けることになり、2000年代初めに中国が急激に成長し、ソルベイの相当数の顧客も中国に移転しました。

しかし、中国に当社の製品を輸出することは実は意味がありませんでした。韓国企業が新事業分野に参入したことで、市場の需要も急速に変化しているためです。その一例として、ソルベイ蔚山工場でブラウン管テレビのディスプレイ資材をこれまで生産してきたのですが、LCDテレビが現れ始め、当社の製品は3年足らずで無用の長物となってしまいました。

言葉通り、危機に直面した当社は、急いで新しいディスプレイの開発に取り組んでいた中小企業を訪ね、協業を提案しました。起死回生となった当時の経験をもとに、R&Dおよび製品の多様化の重要性を悟るようになり、欧州の本社でも韓国市場の研究能力およびビジネス比重の拡大を決定するようになりました。

これまでの経験をもとに韓国でビジネスチャンスを模索する企業や投資家の方々にアドバイスをお願いします。

韓国への投資を決めたら、韓国のスタートアップやベンチャー投資企業に関心を持ち、事業性のある製品やサービスを発掘する必要があります。これらの企業と積極的にコミュニケーションし、市場性を確保できるようにする一方、商品性のある製品やサービスの発売の頃には、小規模で現地のビジネスネットワークを構築し、リアルタイムでフィードバックを確認します。それと同時に、韓国市場で信頼を得るため、積極的に乗り出すことも重要です。該当分野において経歴がある韓国人社員を雇用する事も一つの方法だと思います。英語や外国語が少しできる職員を選べというのではありません。韓国市場の顧客をつかむことができる覇気と推進力のある人材を確保することが最も重要でしょう。

ソルベイのような海外企業に理想的な事業環境を提供するための支援策があるとしたら何だと思いますか。


大規模の投資家だけでなく、様々なビジネス生態系のために重要な役割を果たす中小・中堅企業も同様だと思います。すべての構成員の要求を満足させる創意性や融通性を発揮し、究極的には社会の安寧と一人ひとりの幸せを追求できればと思います。

また、様々な環境問題に対する合理的かつ科学的な研究を幅広く支援することで、ソルベイのような企業が実質的な行動を取り、問題を解決することができることを期待しています。

 

コロナパンデミックの影響による企業活動の変化についてお話お願いします。


コロナ禍で移動制限措置が実施され、韓国への出入りが難しくなりましたが、それにもかかわらずソルベイの事業は継続的に進行中です。同僚たちと私は、現在タイに滞在中ですが、韓国支社とのオンライン会議で問題なくビジネスプロジェクトを進めています。

韓国だけでなく、アジア地域の関係者らともオンラインで業務を進めていますが、実際、韓国のようにインフラが発達したところはないと思います。早く状況が改善して、ソウルに帰りたいです。アンタクト時代とはいえ、やはり直接顔を見てコミュニケーションするのが一番ですからね。

韓国市場での今後の事業計画を紹介してください。

 

1975年から変化してきた目覚しい成長期を直接目撃し、当社は韓国こそ最優先の投資先だという認識を常に持ってきました。特に、ソルベイがサプライチェーンにおいて重要な地位を確立し、各企業と緊密に協力することになったことから、韓国市場の重要性はさらに拡大したと思います。

韓国市場に対する期待値も高いです。エネルギー分野から需要が急増している環境事業に至るまで、現在、梨花・ソルベイ研究センターは領域をさらに拡大し、活発に活動しています。また、農・水産業をはじめとする他の産業分野にも適用できる技術を開発中です。韓国の新しい生産施設を拡充するという形態ではないでしょうが、今後このような技術を基に内需および海外市場にまでビジネスを拡大する方式で投資を導いていきます。工場増設より、このように万人の暮らしを豊かにする技術を追求することが、ソルベイの使命により合致するのではないかと思います。



By Grace Park
Executive Consultant
Investment Public Relations Team / Invest Korea
Korea Trade-Investment Promotion Agency (KOTRA)


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