Invest KOREA

KOTRA Expressが韓国3Mの代表取締役社長のジム・ファルティーセク氏に会い、3Mの韓国ビジネス、そして韓国で働く中で感じたことについてお聞きしました。

3Mのアジア海外協力総括副社長のファルティーセク氏はアジアで企業ブランド及びコミュニケーション、対政府ビジネス、コンプライアンス活動、ESG活動、リスク管理など様々な業務を総括しています。また、韓国3Mの代表取締役社長を兼任し、当該分野業務の実質的な履行の責任を担っています。

アジア3M海外協力総括副社長に着任する前には米ミネソタ州セントポールにある3M本社で消費者事業部商用化部門の総括グローバル副社長を歴任しました。ファルティーセク氏は35年前、エンジニアとして3Mに入社し、R&D、営業、マーケティング、経営など様々な分野でキャリアを積んできました。2000年代初めにギリシャ3Mの代表取締役を務めたファルティーセク氏は3Mで積んだ豊富な海外経験を基に、複雑な多民族・多文化関連問題にも上手に対応します。

ファルティーセク氏は3Mのダイバーシティ、イクオリティ、インクルージョン関連活動を積極的に率いており、長い間、「Men as Advocates」をはじめとする3M女性リーダーシップフォーラムを持続的に支援しています。なお、STEM教育でダイバーシティを拡大するための努力を積極的に支持しています。韓国3Mはファルティーセク氏のリーダーシップの下でSTEMにおいて女性を支援するための多様な活動を展開しました。最近は3M社員がジェンダーアイデンティティーや性的指向に関係なく仕事に集中するようにサポートする「3M PRIDE社員ネットワーク」の最高グローバルスポンサーになりました。

まず、自己紹介をお願いします。韓国で働くようになったきっかけは何ですか。

アジアで生活しながら働くことは私には夢のようなチャンスでした。今は3Mの海外事業総括、技術及び商業化総括、マーケティングなどの分野で働いた30年間の経験を基に海外協力総括副社長として、社員や外部のステークホルダー(政府、顧客、地域社会、消費者)と緊密にコミュニケーションを図りながら3Mのビジネスと地域社会のための持続可能な未来を作っています。

3Mの中核産業と顧客がある韓国でアジア全体を総括することは理に適ったことでしたし、パンデミック以前には世界のどこからも韓国に簡単に来れました。

パンデミックが始まった2020年1月に韓国に着任しましたが、韓国はパンデミック状況の中でも国民の健康を守りながらうまくビジネス活動ができるように管理する国なので、ここ2年間韓国で働くことができたのは本当に良かったと思っています。

韓国に来てハイキングの楽しさに気づき、よく出かけています。羅州工場の社員とともにキムチを作って支援が必要な方々にキムチを差し上げるイベントも行いました。また、韓国が他のどの国よりもゴルフを楽しみやすい国であることも知りました。韓国でいろいろな新しい経験ができて大変嬉しいです。

3Mのビジネスとヒストリーを紹介してください。

3Mは1902年、米国ミネソタ州トゥーハーバーで研磨材メーカーとしてスタートしました。小さな研磨材メーカーが世界で最も信頼され、尊敬されるグローバル企業に成長したのです。

3Mは人類のより良い生活のために貢献する科学技術企業です。3Mの9万6千人の社員みんなは顧客のニーズをしっかり理解すべく科学と探求に邁進しています。3Mは今日の人類が直面している問題を解決し、未来に備え、顧客に価値をもたらす革新的なソリューションを見出し、科学を通じてより良い世界を作るために努力しています。3Mの事業部門は以下の通りです。

- 安全及び商業用ソリューション：成果、安全、信頼性を確保することで人類を保護し、業務方法を革新します。
- 交通輸送及び電子：顧客とともに今日の進歩と明日の発展に向けた革新的なソリューションを開発します。
- ヘルスケア：より発展した、マートで安全なヘルスケアを実現します。
- 消費者市場：人々が毎日新しい可能性を見つけて実現できるようにサポートします。

3M韓国支社の設立の経緯をお話ください。

3Mは消費者でありながら生産者でもある韓国の高い成長潜在力に注目し、1977年に韓国に進出しました。 韓国が高速成長を遂げつつ技術開発に集中していた時期でした。韓国には教育を受けた真面目な労働者がいるので、3Mは彼らを通じて3Mの技術プラットフォームをより発展させ、韓国の顧客が自分の問題を正確に理解するようにサポートしています。

3Mは韓国で持続的に投資を拡大してきました。京畿道東灘に技術研究所を設立し、全羅南道羅州と京畿道華城には製造施設を建てました。平澤と梁山には物流センターがあります。

3Mが韓国市場に参入して45年近くなりました。韓国の技術、産業、グローバルリーディングカンパニー、消費者はいつにもまして、科学を通じて人類のより良い生活を追求する3Mのビジョンに合致しています。 韓国は携帯電話とテレビ用ディスプレイ、半導体、バイオ医薬、電気自動車、水素電地、LNG船舶などの分野で世界をリードしています。韓国が未来の成長エンジンとして重点を置いているこのような主力産業は、3Mと韓国3Mの中核分野でもあります。3Mはこのような分野のR&D及び製造に投資する計画です。

初めて参入した時から韓国は3Mの中核市場でしたし、3Mは韓国で1977年当時の予想よりはるかに大きな成果を上げています。

韓国の化学、消費者、R&D産業の強みは何ですか。韓国市場を攻めるために3Mが建てた戦略はありますか。

韓国市場の強みは韓国の多くのグローバル企業のR&D力量が非常に高く、「世界トップ」を目指して変わらぬ努力をしていることにあります。特に韓国企業は電気自動車バッテリー、水素燃料電池、LNG船舶、ディスプレイ、5G、半導体、電気自動車市場などの先端分野でグローバル市場をリードする技術力を保有しています。

先ほど言及した韓国産業の特徴でもっとも明確なのはこれらの企業が韓国で活動しており、産業間で互いに協力し合い、より早く、より大きく成長することができるということです。一部の産業分野で先頭に立つ国は多いですが、韓国のように膨大な規模の最先端産業を保有する国は多くありません。製造能力を備えている国は多いですが韓国のようなレベルの革新と技術発展を遂げることは難しいです。

このような産業のメリットは関連業界のリーディングカンパニーが韓国に本社を置いて活動していることです。 それによって互いに協力しより良い世界を作るために革新することで重大な課題を解決していくチャンスが生まれるわけです。

3Mは韓国産業に合わせたビジネス、R&D、製造施設を備え、顧客のそばで顧客のニーズをより詳しく把握することに力を入れています。問題をきちんと理解し、韓国が必要とする能力を備えていれば、韓国でソリューションを開発してそれを弊社のグローバル技術資産として利用することができるだけでなく、顧客の市場での成功のためにソリューションを提供することもできます。そのために3Mは持続的に成長する強力なビジネス基盤を築いています。

韓国での企業活動の利点は?

第一に、韓国にはスマートな消費者がいます。韓国の消費者は製品技術とマーケティングの変化に非常に敏感なので、その変化に即時に反応します。時には韓国の消費者の反応がグローバル市場のトレンドより一歩早いこともあります。技術力主導の韓国3Mの立場からすれば、韓国市場と消費者の性向は3Ｍに莫大な収益をもたらす要素です。

第二に、韓国企業のダイナミズムです。 韓国企業は成功のために非常に情熱的に働き、国内外で成功するチャンスを情熱的に模索します。韓国企業は規模と関係なく、明確な成長ビジョンを持っています。このような企業と一緒に働いてこそ、3Ｍは彼らと共に韓国市場で成功することができ、世界市場で成功することもできます。

第三に、優秀な人的資源です。韓国の社員は他国の社員に比べて勤続期間が長く、生産性も高いです。韓国でチームの成果が高い理由は「自分」よりは「私たち」を重視する韓国の企業文化にあると思います。

グローバルESGトレンドや韓国のグリーンニューディール、デジタルニューディールなどの新しく導入された政策は3Ｍにどのようなチャンスを与えると思いますか。

3Ｍはグリーンニューディールと優秀なESG政策に見合った持続的な未来を築くために最善を尽くしています。

3Ｍは人類共通のニーズに応える3つの中核分野に集中すべく、「戦略的な持続可能フレームワーク(Strategic Sustainability Framework)」を作りました。

循環のための科学： 2019年から3Ｍはすべての製品が持続可能性の確保に役立つようにするというポリシーを履行しています。3Ｍは素材使用を減らすソリューションを開発しています。2021年には化石燃料で製造した新しいプラスチックの使用量を2025年まで5700万kg減らす計画を発表しました。

気候のための科学：3Ｍは現在の炭素排出と水使用の傾向を引き返すために研究し、対策を立てています。3Ｍは2030年まで炭素排出を50％、2040年まで80％減らし、2050年には100％のカーボンニュートラルを達成する計画です。3Mは2030年まで事業場内の水使用量を25％減らし、製造施設で使った水をよりきれいに浄化して環境へ戻すという目標を広く発信しています。

コミュニティーのための科学：3Mは科学を通じてより良い世界を作り、次世代の科学者をインスパイアするために努力しています。それを通じて未来世代が直面する新しい問題解決の先頭に立つ多様な世代の科学者に肯定的な影響を与えたいと思います。3Mはここ17年間、1700人の中学生を対象に3Mサイエンスキャンプを開催しています。今年は新しく革新的な方法で非対面型オンラインサイエンスキャンプを行っており、参加者の53％は女子中学生でした。3Mgivesの後援で2021年6月から11月まで科学分野に関心のある低所得家庭の中学生を対象にしたサイエンスキャンプを行いました。昨年は大学で科学を専門とする女子大学生を財政的に支援するために「3M Women in STEM奨学金」を導入しました。

このような努力は、みんなのための持続可能な未来を建設するために策定された韓国のグリーンニューディールの目標と目的に合致するものであると思います。

3Ｍのビジネスパートナーシップを強化するために協力している韓国企業/機関はどこですか。

3Mは在韓米国商工会議所、FORCA、FKI、KBCSD、アジア・リーダーシップ・コンファレンス(Asian Leadership Conference)など様々なフォーラムに参加しています。

また、ESGへの理解を拡大するために在韓米国商工会議所のESG委員会の設立に参加しました。

3Mが保有する持続可能性分野の知識を韓国企業と共有し、すべての企業が持続可能な未来を建設する能力を強化するようサポートしています。

韓国及びアジアにおける3Ｍの今後の目標は?

人、アイディア、科学の力に目覚めさせて可能性を新しく想像することです。

3Ｍはダイバーシティのある人材養成に力を入れています。3Ｍはより良い、より便利な、より完全な生活のために科学を利用します。私たちは科学を通じてより良い世界を築いており、私たちの努力に他の人々も参加できるよう勇気づけたいと思います。

科学技術基盤企業の3Mにとって革新は最優先課題です。革新を通じてビジネスを強化し、情熱的に人類の生活を改善します。このように未来人材のダイバーシティを拡大するために、3Mの数多くの地域社会活動はSTEM分野の人材養成、特に女性STEM人材養成に重点を置いています。より良い世界のための変化。3Mは平等(イクオリティ)で包容性(インクルージョン)のある世界を夢見て、長らく続く変化を構想し、発展させ、実践します。私たちは未来のためにより持続可能な世界を築くために最善を尽くしています。

「顧客中心」は3M企業文化の根幹です。これはつまり顧客と良い関係を築くための努力を意味します。 私たちは顧客が直面しているあらゆる問題や機会を正確に理解してこそ私たちも成功することができると信じています。3Mが持っているグローバル力量を最大限利用すれば、顧客が直面している問題の解決に貢献し、顧客が重要市場で成功するようサポートすることができます。

By Grace Park
Executive Consultant
Investment Public Relations Team / Invest Korea
Korea Trade-Investment Promotion Agency (KOTRA)