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韓国進出の成功事例

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駐韓オーストラリア商工会議所会頭:ロース・グレゴリー会頭インタビュー
作成日
2023.05.12
Ross Gregory, Chair, Australian Chamber of Commerce in Korea (AustCham Korea)
2022年4月、ロース・グレゴリー会頭は駐韓オーストラリア商工会議所の理事会で全会一致で会頭に選ばれました。以後、グレゴリー会頭はオーストラリアと韓国のビジネス界でオーストラリア商工会議所の会員企業を代表してより強力で多様性のあるビジネスコミュニティを育成することに努力してきました。韓国語が堪能なグレゴリー氏はメルボルン大学で理学士、法学修士号を、メルボルン経営大学院でMBAを取得しており、延世大学の韓国語学堂を卒業しました。

商法専門の弁護士としてバンキング及び企業取引分野で幅広い経験を持っているグレゴリー会頭はマッコーリーグループの専務取締役と韓国マッコーリー証券のCEOを歴任しました。また消費者向けの中小企業とともに働き、中小企業部門の重要性を強調してきました。今はリチウムイオンバッテリー及び重要鉱物産業分野において韓国とオーストラリア企業間の新しいサプライチェーンの開発に力を入れています。

本誌はグレゴリー会頭をインタビューし、オーストラリアと韓国の特別な関係やそれによるビジネスチャンスに関する考えをお聞きしました。
Ross Gregory, Chair, Australian Chamber of Commerce in Korea (AustCham Korea)
自己紹介をお願いします。韓国で働くようになったきっかけは何ですか?

もともとオーストラリアと香港の国際法律事務所の企業弁護士として働いていました。早くから韓国を旅行していて韓国に大きな関心を持つようになったところ、オーストラリア政府の語学奨学金を受けて延世大学で韓国語の勉強をする機会がありました。その後、マッコーリーグループの社員として韓国に再び来ることになりました。ウリ銀行との業務提携をはじめとして韓国マッコーリー証券の設立に参加し、代表取締役として数年間デリバティブ商品事業を運営しました。それから食飲料、ビール醸造、フィットネス分野の中小企業とともに働き、再生可能エネルギーとESS分野でマッコーリーのコンサルティング業務を担当しました。今は特にエネルギー転換に関心を持っており、駐韓オーストラリア商工会議所で韓国-オーストラリア間の関係増進に力を入れています。

駐韓オーストラリア商工会議所の紹介と韓国での歴史についてお話しください。韓国のビジネス環境におけるオーストラリア商工会議所の主な任務/ビジネスは何ですか?

約20年前に設立された駐韓オーストラリア商工会議所は韓国でオーストラリア企業の利害を代弁する代表的な団体です。様々な分野の約100の企業を代表するオーストラリア商工会議所は、ビジネス開発、情報の共有、ネットワーキングを通じて二国のビジネスコミュニティを活性化することを任務としています。

オーストラリア商工会議所は企業を代弁し、市場進出と情報提供に力を入れており、月例ビジネスフォーラム、ラウンドテーブル懇談会、マーケティングプロモーション、長官級レセプション、ネットワーキングイベント、CSPプログラムなど年間約50件のイベントと活動を開催しています。

駐韓オーストラリア大使館やAustrade、州政府及び地方政府事務所、韓国-オーストラリア経済協力委員会と緊密に協力して一つのチーム・オーストラリアとして現場で働いています。
Ross Gregory, Chair, Australian Chamber of Commerce in Korea (AustCham Korea)
韓国がオーストラリア企業にとって重要な市場である理由は何ですか?

韓国はオーストラリアにとって3番目に大きい輸出市場であり、主にエネルギー、資源、農業分野でオーストラリアに依存しています。韓国はオーストラリアの4番目に大きい二国間貿易のパートナーです。最近オーストラリア政府は、戦略的な利害関係の共有、相互補完的な経済構造、活発な人的交流に基づいて強力な二国間関係を結んでいる韓国を、包括的・戦略的パートナー関係に格上げしました。

オーストラリアと韓国は2014年自由貿易協定(FTA)を締結しました。それによって貿易障壁が低くなり二国間貿易及び投資が活性化されました。

また、豊富なアップストリーム資源と再生可能エネルギーを保有したオーストラリアと最先端製造力量を備えている韓国は理想的なパートナーです。エネルギー転換及び電化の過程で中間工程における協力に向けたジョイントベンチャーを推進するなど積極的にビジネス活動を図る可能性も大きいです。

韓国でのビジネスにはどのような利点がありますか?

韓国とオーストラリアが戦略的な貿易易関係を強固にしなければならない理由はいろいろあります。

人口構造: 韓国はアジア・太平洋地域でのビジネスを拡大しようとするオーストラリア企業にとって重要な戦略的な玄関口です。オーストラリア企業は、高度に発達した産業経済を備えてGDPの成長を成し遂げた韓国を通じ、先端製造方式、高い生活水準、持続的な都市化、高学歴人材を基に成長中の大規模な市場にアクセスすることができます。

革新: 韓国は情報通信技術、生命工学、半導体、電子、再生可能エネルギーなど多様な分野の優秀な研究開発力で有名です。オーストラリアも生命工学、エネルギー技術などの分野で大学に優秀なビジネスインキュベーターを保有していますが、スタートアップの場合、大企業ユーザーの支援が十分でない場合が多いです。これは市場間のコラボレーションと開発された技術の商用化のための良い機会を提供します。

文化的類似性: オーストラリアと韓国には職業倫理意識が強く、ビジネス取引において信頼を重視するという共通点があります。二国とも法治主義が確立された民主主義国家でカントリーリスクが低いです。戦略的には強い友好関係を結んでいる同盟国です。

政府支援: 韓国政府は外国人投資を積極的に奨励し、韓国で活動する外国企業向けの多様なインセンティブと支援プログラムを提供しています。同じくオーストラリア政府も韓国への投資に積極的であり、オーストラリアには多くの韓国移住者が居住しています。

韓国とオーストラリアの共通点は何ですか?二国が協力を通じて相互利益を得る共通した関心事や成長のチャンスがある分野がありますか?

経済的関係:

韓国とオーストラリアの二国間貿易規模は350億ドルを超えています。オーストラリアは主に石炭、鉄鉱石、液化天然ガス(LNG)を韓国に輸出し、自動車や電子製品のような工業製品を輸入します。

韓国のオーストラリアへの外国人直接投資(FDI)は持続的に増加し、2011年128億豪ドルから2021年298億豪ドルに成長しました。

2021年に韓国とオーストラリアは、重要鉱物のサプライチェーン、カーボンニュートラル技術、クリーン水素経済分野の協力のための了解覚書(MOU)を締結しました。

オーストラリアは世界最大のリチウム生産国であり、ニッケルとコバルトのようなバッテリー原材料の埋蔵量も多く持っています。世界2位のレアアース生産国でもあります。特に、最近米国のインフレ削減法が発効され、原材料の調達先を多角化する必要性が増している状況で、オーストラリアは韓国の正極材、負極材、燃料電池、電気自動車(EV)OEM会社の高い原材料需要に対応することができます。水素生産環境にも優れているオーストラリアは排出量を削減しなければならない韓国のガス及び石炭発電所に必要なアンモニアとその他の水素誘導体を供給することができます。

国防及び戦略的関係:

2021年9月には韓国とオーストラリア間の外交・国防長官2+2会談が開催されました。オーストラリアが2+2会談を行ったのは米国を除いては韓国が初めてです。二国の外交長官と国防長官はソウルで合い、当時のモリソン首相と文在寅(ムン・ジェイン)大統領が二国関係を包括的・戦略的パートナー関係に格上げすることで合意したことを再確認し、国防協力の強化に向けた新しい制度的基盤を作っていくことで合意しました。

最近、ハンファはオーストラリアから「AS9」自走砲と「AS10」防護弾薬運搬装甲車の生産契約を受注し、それを受けてオーストラリアのジーロング(Geelong)に大規模な投資を行う予定です。

米国との同盟関係:

二国とも米国の同盟国でFTA締結国です。その事実だけでも二国は何の足かせもない自由な貿易ができます。

民間分野、特に重要鉱物とエネルギー部門で豊かな経験をお持ちですが、グローバルなカーボンニュートラル目標、ESGと持続可能性と関連して新しく導入された政策は韓国に進出したオーストラリア企業にどのような機会を提供すると思われますか?

温室効果ガスの削減に向けて二国が協力できる最も代表的な分野は電気自動車の水素分野です。オーストラリアの川上産業と韓国の川下産業が一緒にオーストラリアの原料供給先の近い場所に中間工程のジョイントベンチャーを設立して不要な廃棄物の移動を減らし、オーストラリアの製造技術力を高める一方、韓国はよりよい価格で供給を確保することができればと思います。韓国はエネルギー集約的なリチウムイオン電池製造分野において世界をリードしており、オーストラリアはそれに必要な素材を供給することができます。韓国は米国とヨーロッパのギガファクトリーに大量に納入しているのでオーストラリアのような国の原材料を抽出、調達するインセンティブは十分にあると思います。

温室効果ガスの排出に関するオーストラリアのセーフガードメカニズム改正案と韓国の排出基準及び水素取引規定を考慮すれば、オーストラリアが韓国の主な購入者及びEPC企業から大規模な投資を受けて水素やアンモニアを大量に輸出する方策は非常に魅力的なものです。
Ross Gregory, Chair, Australian Chamber of Commerce in Korea (AustCham Korea)
ビジネスパートナーシップを強化するために協力している韓国の企業/機関はどこですか?

駐韓オーストラリア商工会議所は多くの韓国及び多国籍企業を会員企業にしており、その多くはオーストラリアと韓国のビジネス界を代表する企業です。

代表的な例には、単体企業としてはオーストラリア最大の顧客であるポスコホールディングスとオーストラリア商工会議所の関係を挙げることができます。ポスコとオーストラリアは長い間、緊密な関係を保ってきました。ポスコは世界最高の鉄鋼事業のためにオーストラリアのサプライヤーから鉄鉱石と石炭を購入する主要バイヤーです。ポスコはオーストラリアの鉄鉱石及びニッケル事業に積極的に投資してきており、現在、大規模な再生可能エネルギー源で生産したクリーン水素でHBIを生産するクリーン鉄鋼製造プロジェクトに参加しています。このためにポスコは2040年までにオーストラリアに400億ドルを投資する計画であり、リチウムの調達のためにピルバラ・ミネラルズとダウンストリームジョイントベンチャーを運営しています。

駐韓オーストラリア 商工会議所は会員企業を代弁して産業通商資源部、KOTRA、外国人投資オンブズマンなどの韓国の政府機関と緊密に協力しています。

先ほど申し上げた通り、オーストラリア商工会議所はオーストラリアの機関とも緊密に協力し、会員企業を一貫性を持って代表するよう努力しています。

貿易及び投資分野で韓国-オーストラリア間の協力計画や目標は何ですか?

資源だけでなく農業、生命工学、金融サービス、 教育、国防産業全般に渡って貿易と投資が拡大するものと期待しています。

二国とも野心的な削減目標の達成に力を入れているため、主な成長分野は重要鉱物、再生可能エネルギー、水素生産になると思います。

韓国は2019年に水素経済活性化ロードマップと水素経済の育成及び水素安全管理に関する法律を制定し、新しい水素経済を構築するための土台を作りました。オーストラリアは豊富な再生可能エネルギー資源と構築されたエネルギー輸出インフラを活用してクリーンエネルギー大国に生まれ変わろうとしています。これによって韓国企業は水素だけでなくアンモニアや鉄鋼中間財のような新しいクリーン製品のためにオーストラリアに目を向けています。これを通じて韓国の温室効果ガス排出削減が難しい産業分野では脱炭素化を達成し、オーストラリアでは新しい製造業の雇用が創出されることを期待します。

これと同時にオーストラリアは燃料電池のような世界最高水準の技術とプロジェクト開発資本を確保するために韓国と協力しようとしています。韓国とオーストラリアの企業と政府は石炭、鉄鉱石、精油、液化天然ガス(LNG)分野で既に構築された強固なパートナーシップに基づいて二国の経済の相互補完性を利用し、水素及び再生可能エネルギー部門でも似たような協力を推進しています。

By Grace Park
Executive Consultant
Investment Public Relations Team / Invest Korea
Korea Trade-Investment Promotion Agency (KOTRA)

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