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韓国進出の成功事例

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オーチスエレベータ・コリア(Otis Elevator Korea)
作成日
2011.01.20
success stories

さらなる発展を目指して

オーチスエレベータ・コリアのトマス・バイニング(Thomas Vining)代表取締役兼社長をインタビューし、同社の成功戦略について聞いた。現地市場に適応しながら、世界市場に通用できる競争力のあるソリューションを提供するのが戦略の中核。

年をとるにつれ、誕生日があまり嬉しくなくなる。しかし、競争の激しい世界市場で長く生き残ることは確かにおめでたいことだろう。オーチスエレベータが韓国で始動したのは1911年のこと。オーチスエレベータは2011年、韓国進出100周年という記念の年を迎えた。同社は米国に基盤を置く世界最大のエレベーター会社。100年前に韓国でエレベーター事業を開始し、その後着実に事業領域の拡大を図り、1999年にはLG産電のビル設備事業を買収した。

オーチスエレベータ・コリアはこのように韓国で長い歴史を誇る外資系企業だが、トマス・バイニング代表取締役兼社長は韓国に赴任してまだ間もない。同氏はこれまで北米地域で多数の上級管理職を務めた後、最近は香港と台湾で社長職を歴任した。しかし、トマス社長は韓国に赴任する前も韓国事業に深い印象を受けたという。

バイニング社長は、「オーチスエレベータ・コリアはグループ企業の中でも名声が高いです」と話した。同氏はその理由について、「その背景にはよく知られている韓国人の熱情や勤勉さだけでなく、技術的専門知識、革新、そして様々なグローバル計画を迅速に進める推進力があります。オーチスエレベータ・コリアは、私の期待を裏切らなかったです」と明らかにした。

長い歴史を誇るオーチス・エレベーターは現在、韓国を含めて200ヶ国・地域以上に事務所を持っている。同社の歴史は1800年代に遡る。オーチス・エレベーターの創業者はエレベーターの落下防止装置を発明したエリシャ・オーチス(Elisha Otis)。全世界に6万1000人の従業員を抱え、うち5万人以上が米国本土以外の地域で働いている。また、2009年度の収益約120億ドルのうちの81%が米国外での収益である。同社のエレベータはフランス・パリのエッフェル塔、ロシアのクレムリン、米国のワシントン記念碑、スペイン王宮、ドバイの ブルジュ・ハリファ など 世界中の重要なランドマークに取り付けられている。

オーチスエレベータ・コリアは韓国に約20支店を置き、約3500人の従業員を抱えている。同社が最も重視する事業は韓国の顧客にソリューションを提供すること。オーチスエレベータ・コリアは現在、業界トップの位置付けにある。特に、2005年には仁川国際空港の第2次拡張工事で2300万ドルに達する169台のエレベータ、エスカレーター、動く歩道、中央監視システム供給設置契約を受注し、大きな関心を集めた。最近は、ソウル・汝矣島に設立される予定のソウル国際金融センターや韓国一の超高層ビルとなる仁川・松島国際都市の東北アジアトレードタワーのエレベータ事業を受注した。

バイニング社長は、韓国の建設産業が相対的に低迷しているものの、未来の成長潜在力は十分にあると見ている。同氏はこれについて、「アパート部門は不況が続いており、しかもさらなる景気悪化が懸念されています。しかし、その以外の分野は依然として成長が見込められ、なかでもサービスや現代化部門の先行きは明るいと思います」という。

韓国はオーチス社にとってただの市場というより、重要な事業基盤として位置付けられるようになった。オーチスエレベータ・コリアは韓国企業との協力関係を構築するために努力しており、そのおかげで、アフリカや中東など有望な新興市場のインフラ構築市場で韓国の建設企業がシェアを伸ばしている。

バイニング社長はこれに関し、「韓国が活発な事業展開を行っている市場で、韓国の建設企業と協力関係を築くことができました。オーチスの技術と専門知識、事業管理ノウハウなどを違和感なく受け入れるからです」と説明した。

現地事業の重要性

オーチスエレベータ・コリアはまた、本社の主要事業においても重要な役割を果たしている。そのうち一つが遠隔操作技術により、顧客のニーズに迅速に対応する「エリート・サービス(elite service)」。世界各地の拠点で適用される同サービスは遠隔でエレベータを監視し、異常や故障箇所を発見した場合は、速やかに修理、復旧作業を行うなど、サービス上の問題を迅速に解決するもの。バイニング社長は、「オーチスエレベータ・コリアは、エリート・サービス(elite service)のソリューション構築から実行まで主導しました」と話した。

なお、環境問題が建設や企業経営でますます重要さを増すにつれて、グリーン技術が同社にとっても重要な課題となってきた。オーチスの革新的な「Gen2エレベータシステム」は、ポリウレタンベルトの採用によりモーターのエネルギー効率を向上させた。さらに、同社の回生ドライブシステム「ReGenドライブ」は従来のエレベータでは作動時に熱となって失われていた熱を補足し、それをエネルギー源として利用できるようにする。バイニング社長はこれについて、「「ReGenドライブ」の開発においても韓国の役割が大きかったです。韓国の技術陣はドライブ技術を開発しようとする全社挙げての取り組みに大きく貢献しています」と話した。

バイニング社長は、貿易環境が柔軟で、規制緩和が進んでいる香港でも社長を務めたが、韓国の経営環境に深い印象を受けたという。同氏はこれについて、「規制緩和が進んでいるのは香港の強みです。しかし、韓国は大韓貿易投資振興公社など関連機関を設立し、規制による問題を克服するために努力してきました。また、外国企業が問題や隘路を抱えているとき、政府との意思疎通の場を提供するのもその努力の一環でしょう。外国企業の韓国進出を歓迎する姿勢を強く打ち出しています」と述べた。

さらに、バイニング社長は韓国で事業展開を開始したり、契約を受注するためには、韓国企業との協力が欠かせないとアドバイスした。

「(顧客が負担する)費用はただ商品製造に必要な費用だけを意味するのではありません。それよりも事業を進める過程で、商品をいかに順調に生産し、どういうソリューションを提供できるかを判断する根拠となります。我々は新製品とサービス部門において強いパートナーシップを構築しています。顧客はソリューション全体に対する信頼性を重視しますが、我々はその信頼を提供しています。

オーチスエレベータ・コリアが韓国で生産された製品を75ヶ国に輸出するなど世界を舞台に活躍しながら、韓国の人材を発掘・誘致し、韓国企業との協力関係を築いたのもそのおかげだ。バイニング社長は、オーチスの「粘り強さ」と市場における主導的な地位も一翼を担ったと考えている。

バイニング社長は最後にこう付け加えた。「現地化を果たし、現地顧客と密接な関係を築く同時に、グローバルソリューションと工程、手続きを適用できる能力こそ、オーチスエレベータの成功要因でしょう。我々は、現地事業の強みを活用することにより、世界市場におけるプレゼンスをより一層強化するために努力しています。」

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