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韓国進出の成功事例

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富士ゼロックスコリア(Fuji Xerox Korea)
作成日
2011.10.10
success stories

信頼を基に成長する富士ゼロックスコリア(Fuji Xerox Korea)

富士ゼロックスコリア、変化する消費者環境に合わせたサービスとソリューションを提供

先月、富士ゼロックスコリア・上野靖明社長のレッドのネクタイを見たある職員が「おしゃれなネクタイだ」と褒めた。しかし、そのネクタイは上野社長のものではなかった。そのネクタイはある若い職員のもので、上野社長が飲み会で自分のクレーのネクタイとそれを交換したのであった。上野社長は「もし、彼にとって大きな意味があるネクタイを奪ってしまったのではないか」と心配をしたという。しかし、彼は普段からこのような方法で職員たちと友好関係を深めている。

職員たちが集まってタバコを吸っているところでも彼は一緒にタバコを吸う。さらに、他の支店を非公式的に訪問して職員たちの意見に耳を傾けたりもする。

彼は「これはすべて、信頼を築くため」だと話す。なぜならば、企業は信頼を売っているからだ。顧客満足はまず職員が満足してから生まれてくるものであり、財政健全性だけでなく職員の幸せを重視する企業こそ健全な企業だ。これが富士ゼロックスの哲学だ。

「会社が健全でなければ、誰からもわが社のソリューションとコンサルタントを信頼してもらえない」と彼は話す。

こうした哲学の基、富士ゼロックスコリアは1974年の創立以来から成長を続けてきた。事務機器の製造、販売から現在はソリューションとサービスの提供まで行っている。事務用品事業、デジタルプリンティングを通じてプリントオンデマンド(POD)サービスの提供及びグラフィックアート市場を狙う生産サービス事業、コンサルティング及びアウトソーシングサービスを通じて企業のコスト削減及び効率向上を図るグローバルサービス事業が主に推進している3つの事業だ。

富士ゼロックスコリアは140億ウォンの資本金と全国にわたる販売支店を保有いており、約1千人の韓国人職員が働いている。日本を除くと、韓国は富士ゼロックスが進出しているアジア太平洋地域の12ヵ国のひとつだ。

40年前の韓国には事務機器という分野が存在しなかったことを考えると、富士ゼロックスコリアの現在の成長はものすごいことだ。当時、複写機は輸入禁止品に指定されており、数少なかった複写機は感光紙を使っていた。しかし、富士ゼロックスの複写機の人気とメリットが知られ、1960年代に龍山に韓国事務所が設立される。1974年には韓国の同和産業と日本の富士ゼロックスの合作会社として、資本金6億ウォンの富士ゼロックスコリアが誕生した。

創立後30年間、富士ゼロックスコリアは一般の紙を使った複写機、レーザープリンター、複合機を販売してきた。しかし、消費者を取り巻く環境の変化や顧客が行う事業の複雑化につれ、成長のためには機器の販売以外の何かが必要になってきた。顧客にとって核心分野ではない、文書管理のような分野で顧客の事業を支援するのがそれだった。2006年、富士ゼロックスコリアは文書コンサルティングとアウトソーシングサービス市場に参入した。

上野社長は「多くの顧客は一日に、もしくは1ヶ月間自社でどれだけの文書がプリントされているのかを知らない。彼らには事務機器の統合管理システムがないから」と話す。

富士ゼロックスコリアは文書の流れのコントロール、運営費用削減、一般の紙と電子ペーパーの文書保安ソリューションを提供しており、トナーの残量や複写機のインクの残量などを遠隔で点検し、顧客がコールセンターに連絡してくる前に必要な措置を行う。

さらに富士ゼロックスコリアは、デジタル印刷を通じてDM広告方式を使用し、コンサルティングと顧客DBの分析を提供するなどの方式で顧客会社のマーケティング活動を支援している。ひとつの決まったデーターを印刷する伝統的な方式のオフセット(offset)印刷とは異なり、デジタル印刷は可変データーを処理できる。つまり、企業が顧客によってマーケティングメッセージを多様化することができることになる。

使用される紙の量がだんだん減ってきているのは、富士ゼロックスコリアにとってあまり問題ではない。一時期紙のない(paperless)世界が話題になったものの、上野社長は今も紙が最高のコミュニケーション手段だと考えている。ゼロックスのコンサルタントは、顧客が不要な印刷を減らすことで紙の使用量を減らすことができるようになっている。

富士ゼロックスコリアがサービスする分野は全体事業の20%を超えない。米国を含む先進国でこの分野が50%近くを占めているのを見ると、韓国市場でサービス事業に重点を置くとより高い成長を期待できると上野社長は考えている。

世界の流れはオフセット印刷からデジタル印刷に移行しているにもかかわらず、韓国における印刷のデジタル化比率(printing digitalization rate)は10%程度。これは富士ゼロックスコリアにとって大きな機会となる。韓国の優れたIT産業も同じ。優れた技術がたくさん登場すればするほど、富士ゼロックスコリアが進んだソリューションと事業を発展されるチャンスも多くなる。

富士ゼロックスコリアで1年、富士ゼロックスで28年間働いた上野社長は、企業が成長するためには人と人の疎通を重視する韓国のビジネススタイルが必要なことをわかっている。西洋ではグローバルプロセスとコストの効率性に重点を置く一方、韓国は顔を合わせての会話、迅速な対応、信頼に基づいた関係など、顧客とのコミュニケーションを重視する特徴がある。

富士ゼロックスコリアは、複写機部門で10年連続顧客満足度1位を達成した。また、労使間の紛争が起きなかった初めての外資系企業だということも誇りに思っている。2011年には労使文化大賞の大統領賞を受賞しており、他にも多くの賞が役員会議室を埋めている。

しかし、何よりも誇りに思っていることについて聞かれると、職員や顧客と築いてきた暖かい関係だと上野社長は強調するだろう。

彼は「顧客との信頼関係無しでビジネスは続けられない」とし、「信頼関係こそビジネスの根本的な原動力だ」と話す。

By Chang Young (young.chang@kotra.or.kr)
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