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韓国進出の成功事例

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アルケマ・コリア(Arkema Korea)
作成日
2015.07.10

アルケマ&韓国:化学的パートナー
アルケマ・コリア(Arkema Korea)は、最適な成長環境の中で革新を推進する準備ができている。

同社の代表理事、Denis Tual氏とのインタビューは、活気あふれる雰囲気の中で行われた。彼はいくつかの引き出しを開けては、ポリマーと新規生産団地に関する資料を探していた。アルケマ・ジャパンの代表理事を兼ねているTual氏は、「資料が日本にあるのかな」とつぶやく場面もあったが、すぐに見つけ、取り出した。

2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会では、全体の半分以上の選手がペバックス(Pebax)1)で作られたクリーツ(スパイクシューズ)を履いていた。Tual氏の棚には、ウサイン・ボルトが実際履いたネオングリーン色のランニングシューズが置いてあり、おもちゃのようなパステルカラーのプラスティック片がその横に並べられていた。これらは、透明なプラスティックにアルケマの化学物質を加えたもので、トイレの人工大理石などに使われる。

「都会から外れた産業団地にあり、パイプや原子炉などがあるだけの工場を見ると、化学会社がどのような仕事をしているのか、見当がつかないと思います。しかし完成品を見ると、考え方は変わってくるでしょう」と、Tual氏は話す。

フランスに本部を置く特殊化学・先端素材会社のアルケマは1993年、韓国に初めて自社の商品を投入し、Elf-Atochem、Atofinaの名前を経て、1998年から企業買収や合弁事業などを通じて韓国に進出した。その後、アルケマは韓国企業との協力の下に事業を拡張し、現在韓国に2ヶ所の生産施設を含め、4ヶ所の事務所を設けている。

「当時、私たちはアジア、特に韓国の市場拡大を予想しました。韓国がアルケマがグローバル企業に成長する上で、避けて通れない市場でした」

今年6月、アルケマはCJ第一(チェイル)精糖と共同で、アジアではアルケマ初となる世界的な規模の硫黄化学物質団地をマレーシアに建設し、開所式を開いた。ここでは二つの部門に対し、アルケマとCJ第一精糖が4億5千万ドルを共同出資した。アルケマ史上最大規模の投資であり、韓国企業と推進した初の主要投資だった。最初の合弁事業はアルケマ86%、CJ第一精糖14%の比率で出資を行い、メチルメルカプタンや、精製・土壌くん蒸に使われるその他の物質を製造する。二番目の合弁事業は、CJ第一精糖86%、アルケマ14%の比率で出資を行い、メチルメルカプタンおよび動物性飼料に必要なバイオメチオニンを生産する。マレーシアで生産される製品はマレーシアだけでなく、韓国を含むアジア全域で販売される予定だ。

Tual氏は、「これは、韓国との関係を一層発展させるきっかけになるでしょう。韓国はアルケマが世界に飛躍する上で、様々な重要な役割を果たします」と語る。

アルケマは3の事業分野(高性能素材、産業用特殊物質、コーティングソリューション)と12の事業部門で構成されており、アルケマ・コリアはこの全ての事業分野を支援している。アルケマは2014年75億ユーロの売上高を達成し、このうち欧州が40%以上、アジアは25%以上を占めた。アルケマ・コリアの2014年の売上高は、約2300億ウォン(2億480万ドル)だ。

「アジアは大きな成長潜在能力を持っています」と、Tual氏は言い切る。

一例としてアルケマは2014年、韓国企業の(株)キョンノンを、パラディン(Paladin=土壌くん蒸剤)の独占販売会社として選定した。アルケマが製造したパラディンを、韓国企業を介して、アジア太平洋地域に初めて発売したのだ。

アルケマは水性レオロジー添加物メーカーのCoatex、特殊化学供給会社のSartomer、そして昨年2月接着剤メーカーのBostikまで次々と買収した。その結果、アルケマ・コリアはこれら各企業の韓国支社と合併した。

アルケマの目標は、新エネルギー、再生可能な原材料、電子製品ソリューション、水処理及び軽量素材など、最近最も注目を集める分野の製品を生産することだ。トムソン・ロイターの「Top100 グローバル・イノベーター2014」に4年連続で選出されたアルケマは、韓国で事業を展開する上で重要なのは革新であると話す。「もちろん、革新は韓国で非常に日常的なことです」と、Tual氏は語る。

三星(サムソン)、現代(ヒョンデ)、起亜(キア)、LGなど韓国のグローバル企業を顧客として有しており、これら企業の期待に応えるためには、創造と革新を図るしかないということだ。また、現在は大手企業と事業を展開しているが、今後はベンチャーや買収などを通じて、韓国の革新的な強小企業とも協業したいと付け加えた。「韓国は、そのための大きな潜在能力を持っています」。

アルケマ・コリアは、現在リチウムイオン電池分離機事業で蔚山科学技術大学と協業しているように、今後研究開発資源・人材を増やして韓国の大学との協業を拡大する予定であり、究極的には韓国をハブ化する計画だ。

「かつてはシンガポールがアジアのハブでしたが、現在は韓国がその機能を担っています。韓国は、より大きな自由流通のハブとして成長するでしょう」


By Chang Young (young.chang@kotra.or.kr)
Executive Consultant / Invest Korea


ご存知ですか?
ㆍKynar 500はアルケマが発明した金属コーティングの一種で、フランス・パリのルーヴル美術館のガラスピラミッドや、中国上海の東方明珠塔など構造物の保護のために使用されている。
ㆍアルケマは、主要3Dプリンティング技術のための高性能素材を開発している。
ㆍアルケマは13か所のR&Dセンターを運営しており、昨年1年間で約200件の特許を出願した。


1) 訳注 - アルケマが生産する最先端の新素材で、ゴムとプラスチックの中間的な形態を持つ高分子物質(エラストマー)
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