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[自動車・部品] [次世代自動車] 国内外の環境変化に積極的に対応して成長する韓国未来自動車産業
作成日
2024.02.06
한국 미래차 산업
韓国は世界的な内燃機関の退場の流れと自動運転の技術競争に積極的に参入し、次世代自動車への転換を加速させている。2023年の韓国の自動車輸出額は高付加価値のエコカー輸出の拡大によって従来の最高実績を30%上回った709億ドルで最高記録を更新しており、2020年の自動運転車導入準備度は世界7位(KPMG、2020)となった。電動化、自動運転技術の高度化などの流れから自動車分野の電気・電子部品とソフトウェア市場が急速に成長し、新しいビジネスチャンスが生まれており、関連技術の力量の確保が求められている。韓国はこのような産業環境の変化やグローバル競争の拡大に積極的に対処しつつ次世代自動車産業の競争力を高めている。

韓国の次世代自動車(エコカー、自動運転車)市場の現況

2023年に輸出最高記録を更新した韓国エコカー市場

2023年の韓国の自動車輸出額はエコカー輸出の拡大によって史上最高記録を更新した。北米、欧州連合(EU)市場を中心にエコカー輸出が好調を見せ、2023年のエコカー輸出額は前年比50.5%増加した242.1億ドルで、自動車輸出額全体に占める割合が34.2%に迫っている。輸出数量は前年比31.3%増の72.9万台で、自動車輸出台数全体の26.3%となった。2020年時点で韓国はバッテリー電気自動車(EV)世界3位、プラグインハイブリッド車(PHEV)世界8位、ハイブリッドカー(HV)世界5位の輸出競争力を持っている。
한국 미래차 산업
* 出所:韓国貿易協会、韓国自動車モビリティ産業協会、韓国輸入自動車協会、産業通商資源部

グローバル自動運転車市場とともに成長が期待される韓国市場

グローバル自動運転産業は現在、初期段階で、2025年のレベル3導入で本格的な成長段階に入り、2030年前後に商業用分野中心の完全自動運転車市場が拡大する見通しだ。グローバル自動運転車(レベル3、4)の市場規模は2020年70.5億ドルから年平均41.0%成長し、2035年には1.1兆ドル規模に上るものと推定され、販売台数ベースで2021年1.4万台から2025年69.4万台、2028年208.7万台規模に拡大することが見込まれる。韓国の自動運転車市場は2020年1,509億ウォンから年平均約40.0%の急成長を遂げ、2035年には26.2兆ウォン規模に達する見通しだ。
한국 미래차 산업
* 出所:Autonomous Vehicles, Navigant Research, Frost&Sullivan, KISTI(2016)

韓国の積極的な次世代自動車への転換目標の設定と政府支援の現況

韓国は世界的なカーボンニュートラル(炭素中立)の流れを受け、国際社会の要求や国内環境などを考慮してエコカーの普及目標と生産目標を示し、迅速な次世代自動車への転換とモビリティ革新の実現を支援している。韓国は国の温室効果ガス削減目標(NDC)の上方修正(‘21.10.)を受けて2030年の無公害車普及目標を従来の385万台(電気自動車300万台、水素自動車85万台)から450万台(電気自動車362万台、水素自動車88万台)に強化した。2030年までにエコカーの普及を785万台から850万台に拡大し、2018年の炭素排出量に比べて37.8%削減することを目標とする。韓国政府は2022年9月に「自動車産業グローバル3強戦略」を通じて2030年までに自動車産業グローバル三大強国への飛躍を目指してグローバル電気自動車生産330万台及び世界市場シェア12%の達成を掲げた。また、レベル3以上の自動運転車臨時運行許可(‘16.2.)ガイドラインを発行(‘22.10.)し、レベル4の商用化を目標にして制度を整える予定である。モビリティ革新ロードマップ(’22.9.)に基づき、2025年までにレベル4のバス・シャトルバスを発売し、2027年までにレベル4の乗用車も発売する計画である。2027年のレベル4商用化に向けて2024年までに関連制度を前もって整備し、2030年までに全国の道路約11万kmにリアルタイム通信インフラを構築する計画だ。それに加え、韓国は2024年1月に次世代車特別法を制定し、それに基づいてソフトウェアを次世代自動車の中核技術に取り入れ、外国人投資支援の根拠(第26条第1項)を作った。
表1. 次世代自動車関連の主な政府政策及び法案の現況
미래차 관련 주요 정부 정책 및 법안 현황
区分 内容
2022年環境配慮型自動車普及施行計画
(2022.2.)
・(普及目標)国の温室効果ガス削減目標(NDC)の上方修正で2030年無公害車普及目標を385万台から450万台に強化
* 2030年までに電気自動車 362万台(従来300万台)、水素自動車 88万台(従来85万台)に無公害車普及目標を強化し、ハイブリッド車の普及目標は従来の400万台を維持
自動車産業グローバル3強戦略 ・(目標)①‘30年グローバル電気自動車生産330万台及び世界市場シェア12%、②今後5年間 (’22-‘26)自動車業界投資95兆ウォン+α、③’30年までに未来自動車専門人材3万人養成
モビリティ革新ロードマップの発表
(2022.9.)
・(商用化)‘25年までにレベル4バス・シャトルバス発売、’27年までにレベル4乗用車発売
・(規制)‘27年レベル4の商用化に向けて’24年までにレベル4に関する制度を先制的に作る
・(インフラ) ‘30年までに全国の道路(約11万km)にリアルタイム通信インフラを構築し、都心部などの混雑地域は’27年までに先に構築
次世代自動車特別法
(2024.1. 制定、2024.7.施行の予定)
・(範囲規程) SDV(ソフトウェアを中心に作られた車)で代表される未来自動車の特性を反映し、ソフトウェアを未来自動車技術と部品の範囲に入れる
・(支援内容) 未来自動車の技術開発・事業化・標準化など、未来自動車競争力の中核能力を支援
・(特例規程) 未来自動車産業の国内投資促進及びサプライチェーン強化特例規程を含む
* 資料:産業通商資源部、国土交通部、環境部
한국 미래차 산업

韓国企業の次世代自動車競争力の確保戦略策定の現況

グローバル電気自動車市場の低迷への懸念が広がっているにも拘らず、現代自動車・起亜は従来の中長期グローバル生産販売目標を維持する計画であり、ルノーコリア、KGモビリティもエコカー生産ラインの構築に着手し、エコカーの供給能力がさらに高まるものと見られる。最近、先進国の炭素規制及びサプライチェーン管理の強化要求などを受けて韓国企業は関連規制への対応システムを構築している。自動車の全ライフサイクルにおける環境への影響を評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)に対する関心が拡大する中、現代自動車はグローバル新車のLCAデータ構築を通じて新車の炭素排出量目標を管理する計画だ。また、米国インフレ抑制法(IRA)の発効(‘22.8)を受け、現代自動車・起亜はリースなど商業用電気自動車販売を強化することで対応しており、米国現地工場での生産を計画、検討している。2023年の現代自動車・起亜の米国でのエコカー販売台数は前年比52.3%増の27.8万台を記録し、米エコカー市場シェア23.9%を達成した。

韓国企業は自動運転市場の先取りに向けたパートナーシップ及び技術開発競争に参入している。現代自動車・起亜は自動運転ソフトウェア会社のフォーティートゥ・ドット(42dot)を買収(‘22.8.)しており、アプティブ(Aptiv)とともに設立(‘20.3.)した自動運転合弁会社のモーショナル(Motional)は世界自動運転技術ランキングで上昇傾向を見せている。モーショナルは2024年にロボタクシーを米国の主要都市で商用化する計画であり、自動運転技術開発スタートアップのライドフラックス(RideFlux)は済州島でレベル4自動運転カーシェア技術のデモンストレーション(‘23.11.)を行うなどレベル4の商用化に向けた技術開発を加速させている。また、現代自動車・起亜はソフトウェア技術力を強化するために、2025年までにすべての新車にOTA(Over The Air)ソフトウェアアップデートを適用し、2030年までに計18兆ウォンを投入するなどのロードマップを公開した(‘22.9.)。

韓国は柔軟な次世代自動車への転換と産業境界の拡大を通じて未来自動車産業のグローバルトップティアへの飛躍を目指している。迅速な未来自動車への転換のための積極的な政府政策とともに国内外の環境変化に対応した韓国企業の競争力拡大戦略の推進により、韓国の未来自動車市場の成長は続く見通しだ。

ユ・ヨンホン研究員(yhyu1@katech.re.kr)、キム・スミン研究員(kimsm@katech.re.kr)
韓国自動車研究院

1) 電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)、水素自動車(FCEV)
2) 2022年 541億ドル(韓国貿易協会)
3) SAE(米自動車技術会)基準でレベル3(条件付き運転自動化)、レベル4(高度運転自動化)、レベル5(完全運転自動化)に区分し、一般にレベル3以上を自動運転車に分類する
4) 韓国輸出入銀行 ニューディール産業分析報告書(2020.12.)
5) Frost&Sullivan(2022)
6) ハイブリッド車普及目標は400万台で維持
7) 未来自動車部品産業の転換促進及び生態系育成に関する特別法
8) (現代自動車・起亜)‘30年までに電気自動車364万台生産、(現代自動車)’30年までに電気自動車200万台販売、(起亜)‘30年までにグローバル電気自動車160万台販売
9) ガイドハウス・インサイツ(Guidehouse Insights)が発表した世界自動運転技術ランキング:(‘19)現代自動車グループ15位、(‘20)モーショナル6位、(‘21)モーショナル6位、(‘23)モーショナル5位

<本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、必ずしもKOTRAの見解ではありません。>

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