Invest KOREA

韓国のディスプレイ産業は超格差技術力に基づきグローバル市場を先導した代表的な韓国の主力産業である。韓国は長い間世界市場1位を維持してきたが、中国の急速な追撃により占有率において追い越され、その格差はさらに広まっている。中国は大規模な投資でLCD(液晶ディスプレイ)市場で価格競争力を確保し、市場をリードし始めた。その結果、中国の世界市場シェアは2015年に14.1%に過ぎなかったが2024年には50%を超えることとなった。

韓国はOLED(有機EL)への産業構造の転換に成功し、中国と二強の構図が続いている。OLEDをリードする韓国とは違って従来の主要ライバル国である台湾と日本はディスプレイ市場における重要性が徐々に薄れている。

中国の大規模な投資でLCD市場のチキンゲームが激化し、韓国は産業生態系をOLEDに転換して対応している。サムスンディスプレイはLCDの生産を中断し、LGディスプレイも広州のLCD工場を売却するなど生産規模を迅速に縮小した。このような変化は韓国の輸出品目構造に明確に現れている。2020年までも50%台に止まっていたOLEDの輸出割合は現在74.7%に上昇している。韓国内のディスプレイパネル需要の割合が非常に低いという産業の特性を考慮すれば、輸出の割合は韓国のディスプレイ生態系がOLEDへの転換に成功したことを示す数値と言える。

OLEDへの転換はパネル企業の生産品目の変化に限られたものではなく、生態系全般の変化につながっている。素材・部品・装備企業もLCDからOLEDへの事業転換が進んでおり、中国進出とLCD事業部の売却も活発に行われている。代表的なディスプレイ素材企業であるLG化学は同グループ会社のLGディスプレイのLCD生産縮小を受けて偏光板、感光剤、ガラス基板などの主要LCD素材事業を終了した。

ディスプレイ産業全体を基準にすれば、生産額、企業数、従業員数など、規模の縮小が見えている。しかし、OLED(有機EL)を中心にすると製品の高度化を通じて産業は持続的に成長している。

新型コロナはほとんどの産業においてマイナス要因として働いたが、非対面経済の活性化によりIT製品市場は大きく成長した。特に在宅勤務、遠隔授業などによりタブレットPCやノートパソコンを中心に一世帯当たりのIT製品保有台数は上昇した。これはディスプレイ市場の成長につながったものの、エンデミック以降は市場の縮小も著しかった。

グローバルディスプレイ市場は2024年以降、コロナ禍の時期に購入した製品の買い替え周期の到来により市場の成長に転換し、1,348億規模となった。今後のOLEDを中心にして市場の成長が着実に続くことが予測されている。タブレットPCとノートパソコンのユーザ層の拡大は製品の高付加価値化につながり、OLEDの浸透率の上昇として現れている。2024年、アップルはOLEDを採択したiPadを発売し、マックブックへのOLEDの適用も準備している。このようなライバル企業のOLED採択を誘導することが市場の活性化につながるとみられる。

パネル企業もこのようなIT用OLED需要に対応するために8.6世代RGB-OLED投資を進めており、当該生産設備の量産能力の確保有無が未来競争力の最も重要なファクターになると予測される。サムスンディスプレイは今年8.6世代RGB-OLEDの構築を完了し、2026年から本格的な稼働が予想されており、市場の先取りを通じた再飛躍のチャンスになることを期待する。

韓国政府もこのような市場の変化に備えて企業の競争力維持に向けた多様な政策支援を行っている。ディスプレイ革新戦略を通じて産業発展のロードマップを示し、国の先端産業に指定することで税制支援、特化クラスター指定などのインセンティブ構造を構築している。R&Dでもディスプレイ革新工程プラットフォーム構築事業を通じて公共テストベッドを構築・運用しており、無機発光ディスプレイ事業を通じて次世代ディスプレイであるマイクロLEDの競争力確保にも力を入れている。

韓国のディスプレイ産業は外国人投資企業との緊密な協力を通じて競争力を確保している。外国人投資企業は産業生態系の主なエージェントとしての重要な役割を担っており、OLED生態系への転換によってその重要性がさらに増している。ドンウファインケム、メルク、コーニング精密素材、アルバックなど、ディスプレイ生態系の中枢の役割を行う企業が多数進出しており、産業発展の要としての役割をしている。