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[自動車・部品] 産業生態系の育成とグローバル競争力の強化で飛躍する韓国の未来自動車産業
作成日
2025.12.11
韓国の未来自動車産業は電動化、自動運転化、ソフトウェア定義型車両(SDV)志向などグローバル産業パラダイムの変化の中で構造的な転換を加速化している。2025年1-9月の韓国の自動車輸出額はエコカーの輸出拡大によって540.8億ドルとなり、過去最高記録を更新している。韓国の未来自動車産業の研究開発投資の規模1)は2022年33.3兆ウォンから年平均3.1%成長し、2024年36.4兆ウォンに達した。韓国はグローバル未来自動車技術の開発競争に積極的に乗り出し、未来モビリティ生態系を構築している。

韓国の未来自動車産業の成長とグローバル競争力の強化

内需と輸出が共に成長する韓国のエコカー市場

2025年、韓国のエコカーは内需販売量の拡大と同時に米国の関税政策の影響にも拘らず、欧州地域の需要拡大、新車効果、ハイブリッド車の強い売れ行きの持続などで輸出好調となっている。2025年1-9月はエコカーの全ての車種2)の内需販売が増加しており、そのうち電気自動車の内需販売は前年同期比52.4%増えた17.0万台で過去の年間内需販売の最高記録をすでに追い越している。2025年1-9月のエコカーの輸出数量は65.1万台で前年同期比17.3%増加し、自動車輸出全体に占める輸出額と台数の割合はそれぞれ35.6%と31.7%に上っていた。韓国は2024年基準で電気自動車は世界3位、プラグインハイブリッド車は世界9位、ハイブリッド車は世界4位の輸出競争力を保有している。.
* 出所 : 韓国自動車モビリティ産業協会、韓国貿易協会, SNER

コネクテッド・自動運転・SDV技術で進化する韓国未来自動車の競争力

カウンターポイントリサーチによると国内販売車両のエンベデッドコネクティビティ機能の搭載率は2025年第2四半期の約83%から2030年には約100%水準に拡大される予定だ。韓国はコネクテッドカーサービス、産業融合の面で高い競争力を確保しており、2030年にはコネクテッドカーの88%が5G基盤で普及される見通し3)だ。韓国は2023年に次世代知能型交通システム(C-ITS)の標準としてC-V2Xを採択し、5G全国ネットワークの構築を完了(‘24.4)して自動運転とSDV運行のための基盤インフラを確保している。未来自動車技術とインフラの拡大で韓国の自動運転統合ソリューション市場は約8億ドル(2022年)から年平均16.2%成長して19憶ドル(2028年)規模に上る見通し4)だ。

未来自動車への転換に向けた韓国の部処挙げての政策推進と生態系造成の現状

韓国政府は、未来自動車の競争力の高度化に向けた規制改善や制度づくりなどの政策支援を推進している。政府はモビリティ革新法の施行(’23.10.)5)によって2024年基準で計25件の実証特例を付与し、環境配慮型モビリティ規制革新方策を設け(‘24.1.)、3大中核分野6)関連の計43の改善課題を発掘した。また、韓国は未来自動車部品産業法の施行(‘24.7.)を通じて未来自動車の技術範囲をソフトウェアなどに拡大し、施行された法律に基づいて未来自動車産業戦略対話を開催(‘25.11.)7)することで産業生態系の育成に本格的に乗り出している。

政府は技術開発と商用化戦略も推進している。2025年8月、新政府の経済成長戦略の7大先導プロジェクトの一つとして、中核技術の開発、データ・実証法制度の整備などを通じて完全自動運転車両の商用化を促進する計画を発表した。また、韓国はレベル4技術の開発を目標に据え、2021-2027年の間、1兆ウォン規模で汎部処自動運転技術開発事業を推進してきている。

韓国企業の未来モビリティ戦略確立の動向

韓国の完成自動車メーカーはハイブリッド車ラインナップの拡大を通じてハイブリッド車の需要増に積極的に対応し、電気自動車の価格競争力を確保して内需市場と輸出を拡大している。現代自動車・起亜は電気自動車の大衆化モデル、PBV8)などの新車発売の力量を強化しており、KGモビリティ、ルノーコリアもエコカーのポートフォリオを拡大してグローバル市場を攻めている。

韓国企業はSDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア定義型車両)の実現に向けて技術開発に力を入れている。現代自動車グループはSW技術プラットフォームのプレオス(Pleos)を2026年までにSDVフェイスカーに適用し、2027年から本格的に拡大するという計画を発表した(‘25.3.)。それと同時にエヌビディア(NVIDIA)とフィジカルAIの技術革新を図り、未来モビリティソリューションの強化に向けた業務協約(MOU)を締結した(’25.10.)。2018年に設立された韓国の自動運転スタートアップのオートノマス・エートゥージー(AutomomousA2Z)は2023年にグローバル自動運転技術ランキングにランクインして以来、技術ランクの上昇を示しており、ライドフラックス(RideFlux)はレベル4水準の自動運転バスの運行を全国4地域に拡大している(‘25.10.)。

韓国の自動車産業は電動化・自動運転化・ソフトウェア革新の三つの軸を中心に産業構造の転換を本格化している。政府の未来自動車政策と企業のAI・SDV・エコフレンドリーな技術投資が相まって韓国は技術、生産、インフラの力量を拡充し、グローバル未来自動車のハブ国に向けた土台を築いている。

ユ・ヨンホン (yhyu1@katech.re.kr), チャン・ホンチャン (hcjang@katech.re.kr)
韓国自動車研究院

1)ソフトウェア政策研究所の2,480社の企業を対象にした韓国未来型自動車ソフトウェアの実態分析(2025.4.)
2)電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、水素自動車(FCEV)
3)カウンターポイントリサーチによると現代自動車・起亜は2025年第2四半期に韓国内コネクテッドカー販売1位を達成(2025.9)
4)韓国知能型交通体系協会、中小企業戦略技術ロードマップ、協調型自動運転ソリューション(2025-2027)
5)モビリティ革新及び活性化支援に関する法律
6)企業投資の足かせの排除(19件)、安全生態系の造成(12件)、消費者配慮型需要基盤の拡充(12件)
7)K-モビリティグローバル先導戦略の発表(2025.11.): ① 米国関税を克服するための政策金融の拡大、電気自動車乗用補助金の拡大など、② 電気自動車転換支援金の追加支援、未来自動車部品専門企業の育成など、③ ‘27年E2E-AI自動運転モデルの開発、SDV·AIDV標準プラットフォームの開発、’28年自動運転車の量産など、④ 500億ウォン規模の未来自動車産業技術革新ファンドの造成など
8)目的基盤モビリティ(Purpose Built Mobility)の略字で、特定用途を考慮して製造する車のこと。
9)ガイドハウス・インサイツ(Guidehouse Insights)が発表したグローバル自動運転技術ランキング:(‘23)13位にランクイン → (‘24)11位に上昇
10) 済州、世宗、釜山、ソウル

<本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、必ずしもKOTRAの見解ではありません。>

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