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[ICT]IoT産業の現状及び展望
作成日
2016.10.25

IT技術の急速な発達により人、プロセス、データ、モノを含めたすべてがインターネットでつながるハイパーコネクティビティの時代、すなわちモノのインターネット(IoT : Internet of Things)時代が到来した。モノ同士がクモの巣のように緻密につながるハイパーコネクテッド社会(Hyper Connected Society)が形成されたのである。IoTはすべてがインターネットでつながる中で創造的な革新をもたらし、生産性と効率性を向上させるとともに新たな融合新産業を生み出す。

IoT市場が今後大きく成長するという予測については異論の余地がない。市場調査会社であるMachina ResearchやSTRACORPの資料によると、2013年に2,000億ドル規模だったIoTの世界市場は、2022年に1兆2,000億ドル規模となり、年平均約21.7%の成長を遂げると予測されている。地域・国別市場の予測については、米国と中国がそれぞれ20%・17%、日本が11%、ドイツとロシアがそれぞれ9.6%・8.8%の成長率を見せるという。

韓国におけるIoT市場は、2013年の2兆2,827億ウォン規模から2022年には22兆8,200億ウォン規模となり、年平均約29%成長すると予測されている(Machina Research、STRACORP、2013)。2013年ベースでIoTの世界市場に占める韓国市場の割合は1%に留まっているが、優れたICTインフラを基盤としてIoT産業の成長に向けた準備面では高く評価されている。2013年にIDCが行ったIoT準備指数調査によると、韓国のIoT準備指数は米国に次ぐ2位となっている。IoT産業の基盤となる環境がよく整っているだけに、政府の産業活性化政策は遠からず目に見える成果を上げるものと期待される。


国内外におけるIoT市場の現状及び展望


国内外におけるIoT市場の現状及び展望
区分 2013年 2022年
世界市場
(億ドル)
国内市場
(億ウォン)
世界市場
(億ドル)
国内市場
(億ウォン)
製品機器 チップセット(Chipsets) 58 386 281 1,301
モジュール(Modules) 102 588 477 3,617
端末機(Termianls) 1,728 21,195 3,692 97,281
小計 1,888 22,169 4,450 102,199
移動通信網 GSM/HSPA 31 0 69 0
CDMA 42 115 78 246
LTE 14 44 201 5,812
その他 8 3 43 17
小計 95 162 391 6,075
システム事業者 製品機器メーカー 12 112 694 7,261
SI事業者 14 189 1,436 26,812
特定ASP事業者 8 23 904 9,571
B2B/B2Cサービス事業者 3 11 521 849
小計 37 335 3,555 44,493
アプリケーション /
サービス
自動車テレマティクス 5 37 1,492 31,481
車両管制 1 11 186 1,417
スマートグリッド及び管理 2 37 215 4866
固定型ワイヤレス通信 1 2 271 1206
生活家電 1 71 1184 32,851
その他分野 1 3 204 3,612
小計 11 161 3,552 74,943
合計 2,031 22,827 11,948 228,200

こうした市場予測の中、欧米や中国、日本などの主要国は以前からIoTを中核産業に据え、積極的に活性化政策を推進している。米国では2008年の時点ですでに2025年までに国の競争力を左右する「6つの革新的・破壊的技術」にIoTを含め、技術ロードマップを策定(2008年)するなど、従来の通信インフラをIoTにまで拡大するハイパーコネクティビティインフラの整備に力を入れている。

EU(欧州連合)ではIoTアクションプランを策定(2009年)し、産業の活性化を図っている。イギリスではIoTの研究開発に4,500万ポンドを投入することになり(2014年)、ドイツでは戦略的プロジェクト「インダストリー4.0」のもとでIoTを活用し、製造業の生産性を30%向上させる取り組みが行われている。中国ではセンサーネットワーク情報センター(感知中国センター)(2009年)とマシンツーマシン(M2M)センター(2010年)が設立され、モノのネットワーク12-5発展計画(2011年)が策定されるなど、IoTに関わる様々な政策が推進されている。日本では2000年代初めからIoT関連の政策が推進されており、2013年には総務省がICT成長戦略会議を設置してスマートタウン、スマートグリッド、遠隔監視などを盛り込んだICT活用による成長戦略を策定した。

韓国政府も「インターネット新産業育成方案」(2013年6月5日)によってIoTをインターネット新産業中核分野の一つに選定した。また、ハイパーコネクティビティによる世界のデジタル革命をリードすべく、2014年にはIoT国家総合発展戦略を盛り込んだ「IoT基本計画」(2014年5月8日)を策定・推進している。未来創造科学部が関係省庁と合同で策定した「IoT基本計画」は、国民と企業、政府が世界で最も活発にIoTサービスを開発・利用し、ハイパーコネクティビティによるデジタル革命をリードするというものである。2020年までに経済・産業の生産性を30%以上向上させ、国内市場規模30兆ウォン、輸出企業数350社、雇用人数3万人を実現することを目標としている。

市場の成長に関する明るい見通しとIoT産業の活性化を図る積極的な各国政策により、多くの国内外企業がIoT産業に参入している。特に、国内では通信企業とITサービス企業が中心になって2014年から本格的なIoT事業を推進し、自社のコアコンピタンスをもとにグローバル企業と競争してIoTのエコシステムをリードすべく努力している。

大企業のケースでは、電子・ネットワークなどの分野で各社が持つ強みを生かす一方、IoTプラットフォームの標準化をめぐる世界的な競争に参加している。

サムスン電子の場合、製造能力を基盤としてスマートホーム分野で頭角を現している。その一方で独自のIoTプラットフォームARTIK(アーティック)を発表し、IoTプラットフォーム開発会社SmarThings(スマートシングス)を買収したほか、世界的な標準化アライアンスに主導的に参加する中、IoT標準化において優位に立てるよう努力している。SKテレコムは、ネットワーク技術及びインフラを基盤としてネットワークプラットフォームの構築に力を入れている。2008年のLegacy M2Mプラットフォームを皮切りに、IoTプラットフォームの技術と経験を着々と積んできた。こうしたプラットフォーム開発の経験が最近、統合IoTプラットフォームThingPlug(シングプラグ)によって実を結んだ。

中堅・中小企業は、独創的なアイデアとサービスを武器に国内及び世界市場で競争している。IoTプラットフォーム会社のダリワークスは、IoTクラウドプラットフォームThing+(シングプラス)を開発して海外から注目されている。様々なB2B事業分野のゲートウェイ、デバイス、センサーに対応することで顧客会社に最適なカスタムIoTサービスの構築を可能にした。その結果として現在、Thing+は国内で農作物栽培環境の管理に活用されており、ブラジルには冷凍・冷蔵食品のモニタリングサービスを提供している。中堅・中小企業はこのほかにも、アイデアと実行力で様々なIoT関連の製品とサービスを生み出している。

それでは、韓国における今後のIoT関連有望分野は何か。未来創造科学部と韓国モノのインターネット協会が実施・発表した「2014年IoT産業実態調査」によると、スマートホームやヘルスケアなどのIoT関連パーソナライズサービス市場が最も活性化する見通しである。.

2014年のIoT応用サービス別売上高構成比は、パーソナライズサービスの売上高が39.2%と最も大きな割合を占めていた。それだけではなく、2015年においても35.1%で最大の割合を占めることが予測された。パーソナライズサービスが活用されている主な分野としては、スマートホームサービス(55.7%)とヘルスケアサービス(22.3%)が大きな割合を占めており、これらの分野は政府の政策に支えられて一層活性化する見通しである。政府がスマートシティ実証団地(51億)、ヘルスケア実証団地(75億)の造成に向けて2015年度事業予算を確定し、「IoT実証事業推進団」によってIoT関連の製品及びサービスの実証と商用化を支援することから、同分野の優勢は当分続くと予想される。




長期的に見れば、IoTは公共の安全や地域のセキュリティ、インテリジェント交通産業、建物や橋梁などの国家‧社会インフラを活用した幅広い分野で新しいIoTサービス市場が成長すると予想される。

パーソナライズサービスと公共分野へのIoT導入が次第に拡大すると予想されるなど、IoT市場が有望な投資分野であることは間違いない。このようなIoT市場を活性化するため、韓国でも新しいサービスモデルを見つけられるように継続的な努力が必要である。また、国際的な技術競争力を高めて市場をリードできるよう、中核技術の開発及びサービスの発掘が現時点で何よりも必要と思われる。



By パク・ウォングン部長
韓国臨床試験産業本部 / nayafly@kiot.or.kr



< 本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、 必ずしもKOTRAが所属する組織の見解ではありません。>

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