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[物流]コールドチェーン産業の現状及び展望
作成日
2016.10.25
ヒット
1420

コールドチェーンとは?

最近、コールドチェーンという用語がメディアなどによく登場するようになった。パッと聞いただけではわかりにくいこの用語の意味を確認しよう。コールドチェーンとは「農畜産品をはじめとする食料品や医薬品など、温度調節が必要な製品の生産、保存、輸送、販売、消費に至る全過程にわたり徹底した温度管理を行い、製品の品質と安全を保障する低温流通体系」のことで、進歩し続けている物流産業の最先端の概念といえる。


コールドチェーン貨物の温度別分類


コールドチェーン貨物の温度別分類
温度 -35°C -20°C +2°C~+8°C +12°C~+25°C
分類 急速冷凍 冷凍 冷蔵 温度制御
商品 魚類、刺身類 アイスクリーム、
冷凍肉、冷凍魚
デイリー食品、
清涼飲料水、果物、
野菜、花卉類
チョコレート、コーヒー、
ワイン類、花卉類、
医薬品
資料: Martin Peter Consulting (2008)

世界コールドチェーン産業の動向 (中国と日本を中心に)

2010年代に入ってからコールドチェーンのコンテナ貨物は10%台の増加を示し、一般コンテナ貨物の増加を上回っている。イギリスの有名なコンサルティング会社の予測によると、今後5年間でコールドチェーンのコンテナ物流需要は22%を超えるという(Drewry、2014)。

こうした流れはマースク、MSC、CMA CGMなどのグローバル船会社がリードしており、伝統的な貨物である食品以外にも医薬品、トロピカルフルーツ貨物の需要が高まったためである。特に、アジア域内の貨物量増加は刮目に値するもので、中国が38.7%を占めている(IADA、2014)。

それはなぜか。第一に、超巨大市場の存在が挙げられる。中国の潜在的市場価値は、食品コールドチェーン(全食品にコールドチェーン物流サービスを適用する場合)においては、2013年に5,264億ドルだったのが2020年には1.2兆ドル規模に成長すると予想される。

第二に、沿岸大都市の生活水準が急激に向上するにつれて中流層が増え、輸入品、特に果物類と肉類の需要が高まったためである。所得水準によって最も大きく変化するのは食生活である。韓国を例に挙げれば、1人当たりGDPが2万ドルを突破するようになってからコールドチェーン市場が拡大し、プレミアム級(オーガニック)の肉類、魚類及び果物類、生搾りジュース、のり巻き/弁当/飲料、コーヒーなど完成品の需要が高まっている。中国の中流層は2014年現在1億2千万人で、2020年には2億8千万人になると予想され、そのためコールドチェーン市場の継続的な成長はほぼ確実といえる(中国コールドチェーン連盟へのインタビューでは年20~30%の成長を予測)。

第三に、隣接国、特に韓国などとの輸出入構造の変化が挙げられる。中国の安い農水産物を韓国に輸出するというパターンから、最近では韓国産の高付加価値農水産物加工品を中国に輸出するケースが急増している。特に、その他調製農産品の場合は2006年から2011年の間に189%増加した。

問題は、このような需要にもかかわらず、中国の冷蔵・冷凍倉庫及び輸送手段が不足していることとあわせ、コールドチェーンのための情報管理、冷蔵やロジスティクスの専門性・マネジメント技術などが追いつかず、本来の適正温度を保てずに腐ってしまった生鮮食品の廃棄率、すなわち輸送損失率が最高で40%台にもなるということである。2010年に中国の国家発展改革委員会が「農産品コールドチェーン物流発展計画」を発表して以来、コールドチェーン物流・設備は改善しているが、いまだに劣悪な状況にある。

北東アジアのもう一つの巨大市場である日本の場合はどうだろうか。2011年に発生した東日本大震災の余波で一時的にコールドチェーン市場が萎縮したものの、2012年の日本におけるコールドチェーン販売量は約1億1,469万トンで、依然として魅力的な市場である。特に、コーヒー市場に関しては、伝統的な消費地である欧米などとともに最高級の需要地として脚光を浴びており、年間市場規模は世界4位である。

問題は、日本がコールドチェーンに関する「三重苦」に陥っていることである。その一つ目は、冷凍・冷蔵倉庫の成長鈍化である。冷凍・冷蔵倉庫の年平均成長率を見れば、バブル経済が崩壊した1990年代中盤以降、収容成長率は約1%で中国の14.5%に比べて非常に低いといえる。

その上、冷凍・冷蔵倉庫の平均容積が非常に小さく、増え続ける貨物を収容しきれない面もある。2010年における日本の倉庫平均容積は約10,000㎥で、中国の30,000㎥に比べて3分の1に過ぎない。

二つ目は、冷凍・冷蔵倉庫施設の老朽化である。日本冷蔵倉庫協会によると、現在東京にある冷凍・冷蔵倉庫の約80%が庫齢30年以上のもので、設備老朽化の問題に直面している。また、日本の日刊水産経済新聞によると、冷凍・冷蔵倉庫の老朽化、エネルギー・環境問題及びコスト削減問題が食品メーカーの課題であり、そのために在庫緊縮及び電気料金引き上げなどの代案が策定される予定だという。

三つ目は、人手不足問題である。日本の運送業界では人口の慢性的な高齢化によって若い人材を雇うのが難しくなり、2007年の道路交通法改正でトラックの運転に中型免許が必要になった上、中型・大型免許試験が難しくなった。また、トラック運転手の年平均労働時間が制限され、運送業で人件費が占める割合は40%で、労働環境の規制が賃金の削減につながるという悪循環が続いている状況である(2013年、日本メディア報道)。




前述したように、中国は消費者の要求水準が高まるにつれ、農畜産品及び医薬品の輸入市場が急速に成長(食品、コーヒー、ワイン、医薬品、化学製品)している。その一例として、中国の食品産業は2005年以降、年24%のペースで増加1)しており、農水産物市場も中国が2008年に純輸入国に転じた後、2012年に輸入額が921億ドルに達するなど、コールドチェーン市場は拡大の一途をたどっている。

このような需要急増にもかかわらず、保存や輸送といった面での物流環境は劣悪2)なことから、その代替拠点として韓国を有力な候補に挙げることができよう。

高付加価値物流ハブ(VAL)に向けた韓国の強み

韓国が物流ハブを構築する上で近隣国(中国、日本)より有利な条件として、第一にITなどを活用した倉庫運営管理能力が優れている点、第二に付加サービスへの対応がスムーズな点、第三に輸出入手続書類の数や所要日数、コンテナ費用が非常に少なくて済む点が挙げられる。


輸出入・物流関連の韓中日比較


輸出入・物流関連の韓中日比較
輸出手続書類 輸出所要日数 コンテナ費用(20ft, USD)
'11 '12 '13 '14 '15 '11 '12 '13 '14 '15 '11 '12 '13 '14 '15
韓国 3 3 3 3 3 9 8 8 8 8 790 680 665 670 670
中国 - - - 8 8 - - - 21 21 - - - 823 823
日本 - - - 3 3 - - - 11 11 - - - 829.3 829.3

輸出入・物流関連の韓中日比較
輸入手続書類 輸入所要日数 コンテナ費用(20ft, USD)
'11 '12 '13 '14 '15 '11 '12 '13 '14 '15 '11 '12 '13 '14 '15
韓国 3 3 3 3 3 7 7 7 7 7 790 695 695 695 695
中国 - - - 5 5 - - - 24 24 - - - 800 800
日本 - - - 5 5 - - - 11 11 - - - 1,021.3 1,021.3
資料: World Bank (2014)

物流コストの韓中比較


物流コストの韓中比較
区分 韓国 中国 備考
物流コスト 4,338ドル
(LA-釜山-天津-北京)
6,270ドル
(LA-上海-北京)
31%削減
生鮮食品の輸送損失率 0.01% 5~15%
資料: BL Int'l (2014)

第四に、韓中FTAなどで新しい加工貿易拠点を構築できるという点も、コールドチェーンハブの構築に有利な環境条件といえよう。

Case Study. 仁川新港におけるLNG冷熱利用コールドチェーンクラスターの構築モデル

同モデルは、仁川新港近隣の韓国ガス公社LNG受入基地から発生した未活用の超低温冷熱エネルギー(-162℃)を利用する低コスト冷凍・冷蔵物流センター3)の造成プロジェクトで、増加し続けている国際冷凍・冷蔵貨物を仁川港に集結・誘導し、「輸入→保管(新港)→輸出」がメインのコールドチェーン貨物積み替え基地としての役割を果たすためのものである。

これは荷主の高級輸送サービスへのニーズ(コールドチェーン)が満たせるだけではなく、競争力あるグローバルコールドチェーンクラスターの構築において非常に重要な鍵となる。



By カン・ナムフン先任専門委員
Invest Korea / damon_ghang@kotra.or.kr


1) 最近5年間における韓国農産食品の対中国輸出 : 年平均26%ずつ増加し、2020年には中国が日本を追い抜いて韓国にとって最大の食品輸出相手国になる見通し

2) - 冷凍・冷蔵倉庫会社や輸送会社などの協力会社では包装、仕分けなどの付加サービスに対応していないため、不必要な物流段階が増加
- 標準化の不備、人材投入↑ → 輸送コストと単価の不均衡

3) LNG受入基地から約1kmの新港背後団地に約15万~45万㎡規模の冷凍・冷蔵特化ゾーン(コールドチェーンクラスター)を造成、電気冷却式に比べて電気料金67%、施設投資額28%の削減が可能





< 本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、 必ずしもKOTRAが所属する組織の見解ではありません。>

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