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[再生可能エネルギー]エネルギー新産業の現状及び展望
作成日
2016.10.25

エネルギー新産業育成の必要性

米国などの主要国では、温室効果ガスの排出量が多いエネルギー産業分野を中心に大胆な政策を推し進めており、地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」を受けて韓国も「進展させた」温室効果ガス削減目標(BAU比37%の2030年削減目標を国連に提出)を掲げたことから、韓国の産業は思い切った革新の必要に迫られている。

国際エネルギー機関(IEA)の報告書では、世界的な気候変動への対応により、再生可能エネルギーやエネルギー効率化などの分野で2030年まで合計12.3兆ドル規模の投資が行われると予想している。具体的には再生可能エネルギーに4兆ドル、輸送・産業・ビルのエネルギー効率化部門に8.3兆ドルが投資されるという。

しかし、韓国のエネルギー産業は石炭、LNG、原子力などの火力発電所が中心の中央集中型供給方式1)が定着しており、温室効果ガス削減の実質的な対策として「エネルギー新産業」の育成が必要だが、国内企業の将来に対する不確実性から積極的な参加はあまり見られない。したがって、国内産業の競争力確保のために外国人投資誘致活動を強化する必要がある。

韓国エネルギー技術評価院の資料によると、エネルギー新産業分野における外国企業と国内企業の技術格差を短期間で埋めるのは難しく、国内企業は多国籍企業より約4年(約64%)技術的に遅れをとっている。


4大分野のエネルギー新産業


4大分野の主な内容
4大分野 主な内容
エネルギー
プロシューマー
小規模再生可能エネルギーやICTなどを活用して誰でも電気を生産・消費できる様々なタイプの新産業
* マイクログリッド、ネガワット市場、ゼロエネルギービル、エコエネルギータウン、ソーラーホームなど
低炭素
発電
国内発電の低炭素化に向けて
再生可能エネルギー、火力発電の効率化、次世代電力インフラなどが含まれる
* 再生可能エネルギー発電、超々臨界発電システム、大型ガスタービン、CCS、超高圧直流送電、
超電導ケーブル、エネルギー貯蔵システム(ESS)など
電気
自動車
純粋な電気自動車製造業とともに、
電気自動車に関わるエコシステムを活性化するための新しい産業も含まれる
* バッテリーリース、充電サービス、電動バイク・自転車、廃バッテリーの活用、電気自動車保険など
環境に
やさしい
工程
製造工場の効率向上や温室効果ガス削減に貢献する工程に切り替えたり、
通常は捨てられる未活用の熱を使用したりする新しい発想の産業
* スマート工場、水素還元製鉄、環境にやさしい冷媒、発電所温排水熱、LNG冷熱など

韓国エネルギー新産業の投資誘致戦略

エネルギー新産業とは、エネルギー効率の向上や省エネ、温室効果ガスの削減に貢献したり、エネルギー需給管理を革新的な方法で行ったりする事業のことをいう。韓国政府は地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」を受けて2030年の目標を設定し、4大エネルギー新産業分野を集中的に育成する計画である。


2030年目標
① 新たな成長エンジンの創出 : 合計100兆ウォンの新市場、50万人分の雇用
② 温室効果ガスの削減 : 合計5,500万トン

4大エネルギー新産業分野の中でも、外国人投資誘致の必要性が高く技術格差が大きい産業を中心に投資誘致の方向性を定める必要がある。そこで、韓国のエネルギー新産業に関するSWOT分析の結果及び投資誘致の方向性を以下に示す。


韓国エネルギー新産業のSWOT分析


韓国エネルギー新産業のSWOT分析
強み(S) 弱み(W)
•ESSで重要な二次電池分野の技術は世界最高水準
* ESSバッテリーの世界シェア: 1位がサムスンSDI(24%)
2位LG化学(20%)
•超電導ケーブルに関しては世界最高水準の技術を保有
•電源供給システムを集中型から分散型へ移行
(⇒ 投資誘致が容易)
* 2029年までに分散型電源発電量の割合を12.5%にするのが目標
•先進国に比べて政府の誘引策が不足
•海外企業からの技術移転を進めるM&Aよりは国内市場での実用化に向けた技術開発に注力
•国内企業の海外進出におけるPR不足
(韓国の技術力は欧州で評価が低い)
機会(O) 脅威(T)
•温室効果ガスをBAU比で37%削減する目標により
エネルギー新市場創出の必要性が浮上
•'「エネルギー新産業特別法」を制定予定(2016年末)
•韓国電力公社がエネルギーバレー構築による
外国人投資誘致を計画
•国内企業と海外企業の技術格差は4年(約64%)
•投資回収が不確実なため国内企業が
エネルギー新産業分野への投資に消極的
•政府が民間企業に市場を任せている

韓国エネルギー新産業の展望

韓国のエネルギー市場規模は中国やインド、米国、欧州などに比べて小さい。そのため、韓国を足がかりにアジアの近隣国に進出できるプラットフォームを構築し、産業競争力を養って国内企業の投資を誘導する方向が中長期的に望ましい。エネルギー新産業はまだ特別法などの法的枠組みが整備されておらず過渡期にあるため、韓国政府の政策的な動向を注意深く見守り、技術を保有する外国企業が韓国に進出して市場を先取りできるように投資誘致活動を行うことが、最優先で取り組むべき課題といえる。また、外国企業にインセンティブプレミアムを提供できるように法的・制度的枠組みを構築すべき時であると思われる。



By チェ・ミンヨン専門委員


1) 国内の発電源の割合(2014年、%) : (石炭)39.3、(原子力)30.0、(LNG) 20.4、(石油)1.4、(その他)8.9
Invest Korea / mychoi13@kotra.or.kr




< 本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、 必ずしもKOTRAが所属する組織の見解ではありません。>

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