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韓国の部品産業は一般機械部品、コンピューターや事務機器部品、電子部品(電子、映像、音響、通信機器部品)、精密機器部品と輸送機械部品を含む。素材産業は繊維製品、化合物や化学製品、ゴムやプラスティック製品、非金属鉱物、第一次金属と組み立て金属製品を含む。電子と自動車部品の質の向上により、韓国部品産業はますます競争力を高めている。だが、素材産業はゴム製品分野を除いて企業の研究開発(R&D)に対する投資の低迷により、競争力は停滞している。特に、鉄鋼産業は中国の供給過剰にもかかわらず収益性は良好だが、売上高に比べ研究開発への投資の割合が落ちているため改善が必要だ。
回復に転じた部品素材産業
韓国の部品素材産業は2011年まで成長を続けて来たが、その後、変化し始めた。韓国の部品素材産業の生産は2014年に659兆ドルを記録して以来2年連続減少した。2013年国内需要は551兆4,000億ウォン(5,130億ドル)に達したが、2016年には523兆3,000億ウォンへと減少した。2017年1~9月の部品素材の生産は前年同期比0.65%増加し、品目別には非金属鉱物、組み立て金属製品、一般機械部品、コンピューターや事務用品部品、輸送機械部品の生産が減り、ほかの品目の生産は増加した。
部品素材の輸出は2014年2,759億ドルを記録した以来2年連続減少に転じ、2016年2,519億ドルまで減った。輸入も2014年に1,682億ドルを記録した以来2年連続減少し、2016年には1,526億ドルとなった。一方、2017年韓国の第3四半期までの輸出は前年同期比12.5%増加した2.089億ドル、輸入は11.1%増加した1,254億ドルを記録した。これによって、貿易収支黒字は835億ドルと前年同期比107.6%増加した。部品素材輸出額は同期間全体の輸出額4,302億ドルの約48.6%、貿易収支黒字は全体貿易収支黒字の753億ドルの110.9%となった。特に、2017年第3四半期の輸出額は747億ドル、貿易収支黒字は306億ドルと四半期別の輸出額と貿易収支黒字が過去最高を記録した。
輸出先別には中国·米国への輸出は減少したものの、アセアン、欧州への輸出が増加し、国別の輸出の集中度も改善されている。対中輸出の割合は2015年35.3%、2016年32.8%から2017年9月までは30.4%へと減少した。同じ期間、対米輸出の割合は10.2%から10.6%へと増加したが、また10.3%に減少した。一方、アセアンに対する輸出の割合は14.4%から16.5%、18%へと高くなった。その結果、輸出の集中度は2015年0.387から2016年0.371、2017年には0.353へと減少し続けている。
部品素材の貿易動向
(単位 : 億ドル)
2016 | 2017 | |||
---|---|---|---|---|
全体 | 1月~9月 | 1月~9月 | ||
輸出 | 全産業 | 4,954 | 3,631 | 4,302 |
部品 | 1,771 | 1,302 | 1,455 | |
素材 | 747 | 554 | 634 | |
輸入 | 全産業 | 4,062 | 2,956 | 3,549 |
部品 | 985 | 731 | 793 | |
素材 | 540 | 398 | 462 | |
貿易収支 | 全産業 | 892 | 675 | 753 |
部品 | 786 | 572 | 662 | |
素材 | 206 | 155 | 173 |
機械部品の輸出現状
(単位 : 億ドル)
輸送機械 | 電気機械 | 一般機械 | 精密機械 | |
---|---|---|---|---|
2017年 1月~9月 | 199 | 143 | 189 | 48 |
2016年 1月~9月 | 208 | 186 | 174 | 41 |
増減額 | -9.6 | -42.9 | 15.5 | 6.6 |
増減率 | -4.6%9 | -23.1% | 8.9% | 15.8% |
2017年部品素材の輸出が大幅に増加した主な原因は物量とコストの両方が増加したからである。2017年1~9月の輸出増加率12.5%のうちコストが占める割合は10.2ポイント、物量は2.3ポイントだった。品目別では機械部品、電気機械部品など一部の品目の輸出低迷の影響にもかかわらず電子部品と化学製品をはじめ、ほとんどの品目で輸出実績が改善され好調となった。世界的な石油価価格の上昇に伴う輸出コストの上昇と国内設備増設や稼働による化学製品の生産能力の向上が輸出増加のけん引役となり、電子部品の場合、サーバー·モバイルなど半導体の需要が増え、メモリ半導体のコストが上昇を続けて主要国への輸出がいずれも増加した。ただ、自動車部品の輸出は減少を続けている。
主要部品素材群の成長性
売上高増加率 | 総資産増加率 | 有形固定資産増加率 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2014 | 2015 | 2016 | 2014 | 2015 | 2016 | 2014 | 2015 | 2016 | |
繊維 | -0.55 | 0.18 | 0.28 | 5.83 | 6.03 | 4.94 | -2.59 | 5.51 | 14.98 |
合成ゴム及びプラスチック物質 | -2.17 | -11.14 | -0.27 | 4.19 | 6.32 | 9.78 | 5.36 | 4.79 | 1.41 |
ゴム製品 | -4.06 | -4.55 | -1.60 | 7.06 | 6.87 | 2.65 | 7.39 | 4.80 | 1.66 |
プラスチック製品 | 4.26 | -2.34 | 5.26 | 9.02 | 2.18 | 8.26 | 9.31 | 3.52 | 7.70 |
非金属鉱物製品 | -3.13 | 6.19 | 5.47 | -4.29 | 7.52 | 6.58 | 0.53 | 6.09 | 2.70 |
第一次鉄鋼 | -3.95 | -12.79 | -3.74 | -2.33 | -3.69 | 0.74 | -3.48 | 0.04 | -0.82 |
第一次非鉄金属 | -2.37 | -4.24 | 2.10 | 6.18 | -1.71 | 4.16 | 8.43 | 4.23 | -1.41 |
半導体及び電子部品 | -6.33 | 0.97 | -2.44 | 6.71 | 3.33 | 6.48 | 1.51 | 2.04 | 5.72 |
自動車車体、トレーラー部品 | 4.47 | 5.01 | 4.18 | 8.48 | 8.50 | 7.61 | 9.87 | 13.94 | 6.81 |
売り上げと収益率の上昇
韓国銀行の主要部品素材産業の分析によると、2016年繊維、プラスチック製品、非金属鉱物、第一次非鉄金属と自動車車体·トレーラーや部品産業の売上高が増加したものの、合成ゴムやプラスチック物質、ゴム製品、第一次鉄鋼、半導体や電子部品の売上高は減少した。これらの業種の総資産はいずれも増加したが、第一次鉄鋼と第一次非鉄金属業種の有形固定資産は減少した。一方、自動車部品産業協同組合は部品メーカーの売上高が2015年前年比3.7%、2016年には前年比0.8%増加したと分析している。
2016年部品素材産業の収益性は半導体や電子部品と自動車車体·トレーラー及び部品産業を除いて増加しており、コスト削減に向けた努力も続けている。
外国人直接投資の低迷
韓国への外国人直接投資(FDI)は2017年届け出ベース、229億4,000万ドルに達し、過去最高となった。全体の外国人直接投資のうち部品素材産業分野において外国人直接投資が占める割合は投資届出ベース、2010年76.1%から2015年66.0%へと減少したものの、2017年上半期には67.8%へと上昇した。2017年上半期の部品素材の業種別外国人投資企業数は電気·電子、機械·装備、化学工業、輸送用機械、金属業の順となった。
投資届け出ベースでは部品素材産業が占める割合が2010年79.4%から2017年上半期48.4%に減少した。
2016年の投資届け出ベースでは化学工業、電気電子、輸送用機械、機械·装備業種の順に投資が行われ、2017年上半期まで依然として化学工業に対する投資が上位となり、輸送用機械、電気電子、機械·装備業種の順だった。これは2016年自動車及び輸送装備、電気電子、化学物質及び化学製品、繊維、金属及び金属製品、ゴム及びプラスチック製品、機械及び装備の順だった世界部品素材グリーンフィールド直接投資業種別ランキングとは対照的な結果である。
部品素材産業の外国人直接投資の推移(件数ベース)
(単位 : 件)
資料 : 産業通商資源部、外国人投資統計
部品素材産業の外国人直接投資の推移 (金額ベース)
(単位 : 百万ドル)
資料 : 産業通商資源部、外国人投資統計
革新能力の向上が必要
韓国の部品素材産業の売上高に対する研究開発投資の割合は先進国に比べ低い水準だ。さらに、ほとんどの部品産業業種で研究開発の集約度が低くなっているのも改善する必要がある。このような投資の低迷は世界トップの2,500社の研究開発投資企業に登録されている韓国企業の数が2014年80社、2016年には70社に減った原因となった。中国の部品素材企業が研究開発投資を拡大しながら、登録企業数を増やしていることを考えれば、韓国の部品素材企業には研究開発への投資拡大が求められる。
特に、世界部品素材の需要は情報通信技術(ICT) と自動車部品素材がけん引すると見通されている中で、この産業が韓国製造業を支える両軸であることを考えると革新能力の強化に向けた努力が求められる。そうでなければ、韓国の部品素材産業は先進国と中国の板挟みとなっる可能性が高い。
イ・ハング
産業研究員 先任研究員 / hklee@kiet.re.kr
< 本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、 必ずしもKOTRAが所属する組織の見解ではありません。 >