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[サービス]韓国サービス産業の現状と展望
作成日
2018.05.30

韓国は今まで製造業の競争力をパターンにして急速に経済成長を成し遂げてきたが、グローバル経済危機及び製造業での比較優位の低下等で最近の経済成長率は2─3%台に下落した状況である。このような状況で経済成長率の回復及び雇用問題解決等のための主な手段としてサービス産業の競争力の強化が経済政策の核心的な話題として登場した。それで当研究所では現在韓国内サービス産業の現状を韓国内市場の特性、交易実体、規制環境等を中心に調べてみて、これに基づいてサービス産業の競争力強化のための示唆を導き出してみようと思う。


韓国サービス市場の現状及び特徴


経済発展初期段階での韓国経済においてサービス産業の貢献度は極めて低かったが、その比重は着実に拡大してきた。実際GDP及び全体の雇用でサービス産業が占める割合は1980年を基準に48%、37%に過ぎなかったが、2017年現在それぞれ58%、70%水準に達している。ただし、サービス産業の雇用割合が70%に達するのに反してGDPにおいてサービス産業が占める割合は60%未満でOECD国家の平均74.2%1)2)と比べたとき相当な格差を見せている。また2000年代中盤のサービス産業のGDP割合が60%を頂点にしてその成長の勢いが停滞しながらそれ以降は58─59%水準でとどまっている。


韓国のGDPおよび雇用におけるサービス産業の比重

韓国のGDPおよび雇用におけるサービス産業の比重
区分 1980 1990 2000 2010 2017
GDP比重 48.7% 51.9% 57.5% 59.3% 58.3%
就業者の比重 37.0% 46.7% 61.1% 68.4% 70.1%

資料: 韓国銀行経済統計システム; 統計庁 KOSIS 国家統計ポータル DB


サービス産業を細部業種別に見てみると、卸小売業、運輸業等の生産性の低い流通サービス業が付加価値及び雇用に占める割合が大きい。反面、比較的生産性が高い事業サービス分野(専門科学及び技術サービス、事業支援サービス)の場合、韓国経済に占める割合は約7.4%でイギリス(13.9%)、フランス(12.9%)、アメリカ(12.1%)、ドイツ(10.6%)等と比較したとき相当低い水順に留まっている。3)OECDただし、最近10年間の傾向をみてみると流通及び消費者サービスの成長傾向が鈍化している反面、事業サービス分野が全体の経済に占める割合は拡大している傾向が観察される。


韓国サービス産業の業種別付加価値および就業者比重

韓国サービス産業の業種別付加価値および就業者比重
区分 総付加価値に対する比重 就業者の比重
2007年 2017年 2007年 2017年
サービス業全体 60.3% 58.3% 66.9% 70.1%
卸売りおよび小売業 8.4% 8.1% 15.7% 14.2%
輸送業 4.3% 3.6% 5.3% 5.3%
宿泊および飲食業 2.7% 2.6% 8.7% 8.6%
出版・映像、放送通信および情報サービス業 4.5% 3.7% 2.7% 2.9%
金融・保険業 6.6% 5.5% 3.5% 3.0%
不動産・賃貸業 8.5% 7.8% 2.1% 2.3%
専門、科学および技術サービス 4.4% 5.2% 3.0% 4.1%
事業施設管理および事業支援サービス 2.0% 2.2% 4.0% 4.8%
公共行政、国防・社会保障行政 6.9% 7.3% 3.4% 4.0%
教育サービス 5.8% 5.1% 7.4% 7.1%
保険および社会福祉サービス 3.5% 4.7% 3.2% 7.2%
文化およびその他のサービス 2.7% 2.5% 7.8% 6.7%

資料: 韓国銀行経済統計システム; 統計庁 KOSIS 国家統計ポータル DB


韓国サービス交易の現状


最近全世界的にサービス輸出は成長し続け2010年以来サービス輸出が総輸出に対する寄与率が上昇し続けている。4)これに反して韓国の場合、輸入にくらべ輸出でのサービス産業の寄与度が低く現れている。OECD平均である26.8%に比べると韓国の総輸出でサービス産業が占める割合は15.3%で著しく低い水準に留まっている。


主要経済指標に占めるサービスの比重: 国別比較

主要経済指標に占めるサービスの比重: 国別比較
区分 韓国 米国 日本 ドイツ イギリス OECD
総輸出 15.3% 34.1% 21.5% 21.6% 35.9% 26.8%
総輸入 22.0% 18.6% 24.0% 18.7% 33.6% 23.7%
GDP 59.2% 78.9% 70.0% 68.9% 79.2% 74.2%

主: 1) 総輸出、総輸入2016年ベース、 BOP BPM6.
2) GDPは Services, etc., value added ベース, 韓国ㆍドイツㆍイギリスは2016年, 日本ㆍ米国ㆍOECDは 2015年ベース
資料: OECD Statistics; The World Bank Data


韓国はサービス産業交易の成長の勢いが遅いほうで、サービス収支も赤字を記録し続けている。2017年現在サービス分野別交易構造を見てみると、まず輸出は運送、旅行、建設等の順で高い割合を見せており、輸入の場合、運送、旅行の二つの分野に集中している。建設分野を除くと大部分のサービス分野で赤字状態に置かれており、特に全体的なサービス収支赤字の約50%が旅行サービス分野で発生している。


韓国のサービス産業別輸出入の現状(2017年ベース)

韓国のサービス産業別輸出入の現状(2017年ベース)
区分 輸出 輸入 サービス収支
(百万ドル)
輸出額
(百万ドル)
比重 輸入額
(百万ドル)
比重
サービス全体 87,497 121,969 - 34,472
架空 2,193 2.5% 8,951 7.3% - 6,758
メインテナンス 372 0.4% 450 0.4% - 78
輸送 24,607 28.1% 29,902 24.5% - 5,295
旅行 13,427 15.3% 30,600 25.1% - 17,173
建設 9,399 10.7% 1,690 1.4% 7,709
保険・年金 946 1.1% 731 0.6% 215
金融 2,218 2.5% 1,806 1.5% 412
知的財産権 7,138 8.2% 9,254 7.6% - 2,116
通信/コンピューター/情報サービス 4,301 4.9% 3,194 2.6% 1,106
その他のビジネス 20,952 23.9% 33,020 27.1% - 12,068
個人/文化/娯楽 916 1.0% 718 0.6% 198
政府サービス 1,028 1.2% 1,652 1.4% - 624

資料: 韓国銀行経済統計システム


韓国のサービス産業の規制環境


最近グローバル経済でのサービス産業の交易及び投資活性化傾向により、各種二者·多者間貿易協定でサービス分野開放もまた主な争点として浮上してきている。これと関連してこの章では韓国のサービス産業の規制環境及び開放水準に対する評価の一環としてOECDのサービス貿易制限指数(Services Trade Restricitiveness Index, 以下STRI)を参考にしてみた。STRIの場合自由貿易協定等のような特恵協定は反映していないが、サービス分野別に実質的な韓国内規制及び制限事項に対して比較的詳細に評価しているという点で韓国の規制環境を比較評価できる主な指標だと判断した。
2017年を基準にSTRIの評価対象である44ヶ国の平均と比べてみたとき韓国のサービス産業の全般的な開放度は比較的高いほうで、鉄道運送と会計サービス分野の場合のみ例外的に進入規制が厳しいと評価されている。



韓国のサービス産業別 OECD STRIの指数(2017年ベース)

        

       


主: STRI スコアは0から1までの値をとり、最も制限的な場合に1となる。「0」は完全に開放的、「1」は完全閉鎖的な状態を意味するため、棒グラフの高さが低ければ低いほど市場は開放的である。
資料: OECD Services Trade Restrictiveness Index



また2014年対比2017年のSTRI指数の変化を見てみると、韓国は大部分の項目で指数が下落する等、開放度がだんだん改善されている傾向が見えた。これは日本、アメリカ、中国等と比べるときにも比較的韓国の市場進入規制の改善が幅広くなされていると解釈できる。



政策変化による OECD STRIの変化(2017年・2014年比)

政策変化による OECD STRIの変化(2017年・2014年比)
区分 上昇 横ばい 低下
韓国 0 3 19
日本 3 12 7
ドイツ 0 2 20
米国 1 19 2
中国 1 11 10

主: STRI スコアが低くなると市場が開放的であることを、高くなると閉鎖的であることを意味する。横ばいは開放度に有意な変化傾向がないことを意味する。
資料: OECD Services Trade Restrictiveness Index


見通し及び示唆点


今まで見てきたように韓国のサービス産業は国家経済に占める割合や交易活性化等の側面で主な競争国家と比べてまだ微弱な水準に留まっている。もちろん、最近、国レベルでサービス産業の育成に対する関心が高く、このための様々な支援政策を準備しており、実際に事業サービス業の割合がだんだん増大する等サービス産業の構造的変化もまた一部で現れている。しかしサービス産業の競争力を高める問題は韓国経済の構造的な変化が伴わなければならない問題で短期間内に目に見える成果を出すのは容易ではない。
したがってサービス産業の競争力強化のためには韓国内サービス産業に対する支援対策と共に外国資本の誘致及び活用も高める等の努力もまた並行する必要がある。サービス産業の場合、企業ノーハウ等の無形資産の重要性がより大きいだけに外国企業及び資本の進入がサービス産業の競争力を高め市場を活性化するのにより効果的に寄与すると判断される。
ただし、韓国の場合会計、鉄道運送等の一部の分野を除くとすでに全般的なサービス市場に対する開放水準が高いと評価されている。したがって今のところ単純に開放水準を高める問題よりは韓国内サービス産業の競争力強化のために外国人投資制度をどう効率的に運営するかに対する対策が必要である。つまり、単純に開放水準を高めるよりは外国資本の進入が韓国経済に効果的に寄与するよう外国資本の選抜的誘致及び外国資本に対する効率的な管理監督システムを備えることが重要になってくると判断される。


ナ・スングォン専門研究員
対外経済政策研究院 / skna@kiep.go.kr



<  本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、 必ずしもKOTRAが所属する組織の見解ではありません。  >
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