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[産業一般]韓国の新成長産業の現状と展望
作成日
2018.06.27
ヒット
931

韓国の新成長産業の育成


韓国は、1970年代から重化学工業をはじめとして政府が主導し、企業が参加する形で新成長産業育成政策を推進してきた。これを通じて、メモリ半導体(1980年代)、自動車(1990年代)、超大型船舶及びLEDパネル、携帯電話(2000年代初め)産業においてグローバル競争力を確保した。

しかし、その後、主力産業を代替する新産業育成に苦戦を強いられている。そのため、2000年代前後から新たな経済成長エンジンとして機能を高めるために産業育成政策を推進してきた。例えば、朴槿恵政権は、2014年3月未来成長エンジンの発掘・育成計画を策定し、2015年には19分野を確定した。その後、19分野別に総合実践計画をまとめ、政権任期中に分野別実行計画と推進実績の持続的な管理を行ってきた。


韓国の最近の新成長産業政策の動向


昔とは異なり、政府主導による新成長産業育成政策が市場で効果を発揮するのは限界があるといわれているが、政府が選定した新成長産業分野は、今もなお市場で一定の役割を担っている。とりわけ、韓国政府は政策的に選択された新成長分野に対する具体的な実行計画を策定し、研究開発支援、インフラ構築、制度改善などを積極的に推進しているのが特徴である。

最近では、技術開発だけでなく、制度改善のような間接的支援(またはビジネス環境の造成)が話題となっている。韓国は法律上、厳しい規制体制を備えており、市場に参入できるのは政府から認められた製品やサービスのみであるためだ。こうした限界を背景に、政府レベルの規制改善や緩和政策はさらに強化される傾向にある。

今の政権の最近の動向も取り入れながら、類似した範囲の分野を選定した。科学技術情報通信部は、関係機関や専門家と協力して、2017年12月に13の分野を「表1」のとおり確定した。

13の分野は、韓国の第4次産業革命時代への対応と関連し、政府横断の支援が必要であり、雇用創出効果が大きいとして評価される分野である。また、分野別の特性と産業化の時期を考慮し、「早期商用化」と「コア技術確保」タイプに区分した。 「早期商用化」タイプは、最終結果が製品・サービスとして現れ、5年内に商用化できると期待される。「コア技術確保」タイプは、コア技術の確保を目的とし、政府からの集中的なR&D投資が求められる。次世代情報通信、先端素材、知能型半導体、革新的新薬、人工知能の5つの分野がコア技術確保タイプであり、残りの8つの分野は、早期商用化タイプに分類される。


<表 1> 韓国の新成長産業の育成分野

韓国の新成長産業の育成分野
区分 育成分野および目標
知能化インフラ - ビックデータ : ビックデータ開放・活用
- 次世代通信 : 5G, IoT 商用化
- 人工知能 : AI核心技術の開発
スマート移動体 - 自動運伝車:レベル3の自動運転
- ドローン(無人航空機):公共・産業用無人機の普及
融合サービス - オーダーメイドヘルスケア:一人ひとりに合わせた診断・治療を行う「精密 医療」
- スマートシティ : 都市問題の解消
- 仮想・拡張現実 : 個別産業とVR/ARの融合
- 知能型ロボット : 医療・警備用サービスロボット
産業インフラ - 知能型半導体:AI(人工知能)用の半導体の開発
- 先端素材:航空部品、自動車の軽量化
- 新薬の開発:100個の新薬候補物質の開発
- 新再生可能エネルギー:再生可能エネルギーによる発電比率の引上げ(2030年20%)

資料 : 科学技術情報通信部
主 : 源泉技術確保タイプはボールドで表示. 残りは早期商用化タイプ


新成長産業育成の具体的な政策


産業育成に関連する主要部署である産業通商資源部(以下、産業部という)は、2018年の核心課題として「未来新産業」の育成を提示した。産業部は、5大新産業プロジェクトを中心に雇用と所得拡大に向けた新産業における早期の成果創出を支援する。5大新産業には、電気、自動運転車、IoT(モノのインターネット)家電、エネルギー新産業、バイオテクノロジー・ヘルスケア、半導体・ディスプレイ分野が選定された。

産業部は、5大新産業プロジェクトに9,194億ウォン(産業部研究開発費の3割)を支援する計画であり、研究開発段階で実証・モデル事業と連携し、関連規制を前もって解消することにした。さらに、プロジェクト専担タスクフォース(TF)を構成し、アクションプランを導出して内容のチェックを行う予定である。

「表2」は新成長産業育成と関連し、産業部が2018年初めに提示した政策案である。5大新産業プロジェクト育成政策とともに革新成長に必要な革新力量確保のための方案が盛り込まれた。5大新産業に焦点をあてた研究開発への集中的な投資と合わせ、標準・特許・認定・規制改善・実証事業など商業化に必要な諸要素をすべてカバーできるのが特徴である。


<表 2> 韓国の新成長産業の育成政策

韓国の新成長産業の育成政策
区分 分野 育成政策
5大新産業プロジェクト 電気・自動運転車 自動運転車の実証事業、電気自動車の技術競争力確保、サービスモデル事業
IoT 家電 核心技術の開発、スマートホームの実証事業、異業種間の協力・連携体制構築
エネルギー新産業 ICTを活用したビジネスの拡大、制度の改善を通じた新市場創出、未来システムの実証事業
バイオ・ヘルス スマートヘルスケア4.0、グローバルなバイオスター企業育成、 AI融合・複合医療機器の開発
半導体・ディスプレイ 5G対応の次世代半導体の開発、共存発展委員会発足
革新成長に必要な核心力量の確保 産業R&D革新 5大新産業中心のR&D,新技術Track Record 確保のための実証事業、企業提携、投資・融資支援を通じた事業化促進
標準・特許・認証の革新 迅速標準制度の導入および特許の優先審査の拡大、5G など新産業標準のグローバル化、認証制度の整備体制革新
技術保護 技術流出に対する実効的な救済、産業技術保護の計画整備
規制革新 大新産業関連規制の大幅な見直し、新製品・サービス規制の迅速な確認、実証規制特例および臨時許可の適用
データフラットフォームの構築 エネルギービックデータフラットフォームの構築、産業別データフラットフォームの拡大(自動車・交通情報・医療情報・エネルギー情報など)
核心人材の育成 第4次産業革命に対応できる専門人材の育成、在職者への支援強化
デジタル製造革新の拡大 業種別差別化を図ったスマート工場の構築、企業・業種官デジタル製造革新ネットワークの構築

資料 : 産業通商資源部


韓国の新成長産業における業種別現状


産業研究院は、韓国政府の新成長産業を含むいくつかの文献で共通している12の有望産業を選定し、各産業に属する企業の現状を分析した。韓国標準産業分類(KSIC)の小分類をベースに、各産業の業種を構成し、各業種に属する企業の財務情報と非事務情報の分析を行った。また、各業種に属する一部の企業を対象に実態調査を行い、指標を追加した。


<表 3> 韓国の新成長産業における業種別現状

韓国の新成長産業における業種別現状
区分 技術革新 産業構造 市場特性
R&D
集約度
知的財産権
集約度
技術
源泉性
製造
融合度
生産性 売上
規模
市場
集中度
収益性 成長性
知能型ロボット 2.3 0.9 3.2 45.4 57 8,116 42.5 4.2 39.2
スマート工場 2.1 1.0 3.3 42.2 62 7,581 40.4 5.1 42.2
3Dプリンティング 1.7 0.9 3.4 40.6 69 7,648 46.4 6.3 43.3
無人航空機
(ドローン)
2.0 0.7 3.1 24.5 58 13,363 36.8 4.3 32.5
スマートカー
(自動運転)
2.1 0.8 3.0 27.3 59 13,414 36.1 4.2 31.3
ビックデータ
クラウド
1.3 0.5 2.9 12.3 67 11,096 40.2 5.6 36.7
スマートヘルスケア 1.3 0.7 2.9 43.0 63 10,898 37.6 5.1 33.4
医薬 3.3 1.3 3.5 4.3 69 11,847 32.7 5.9 29.2
次世代植物栽培
(植物工場)
1.1 0.9 3.2 4.5 72 11,064 40.1 4.9 32.1
未来コンテンツ
(VR など)
2.2 0.9 3.2 49.9 61 8,005 48.8 4.8 39.2
エネルギー新産業 1.9 0.6 3.0 32.4 49 6,268 37.4 5.5 43.3
先端素材 0.7 1.2 3.4 0.0 93 15,055 44.2 5.1 28.7

資料 : 産業研究院
主 : 平均値より高い値はグレーに表示、指標に関する説明は脚注1) 参照


韓国の新成長産業の特徴と展望


韓国の新成長産業の特徴は、政府主導の戦略的な育成と民間大手企業を中心とした活発な事業化推進にある。2000年以降、韓国政府は新たな経済成長エンジンを見出すために、新成長産業育成政策の策定に積極的に取り組んできており、2017年発足した今の政権も「革新成長」をキーワードとして、新成長産業政策を進めている。とりわけ、最近では技術的な不確実性と規制の問題を反映し、技術開発のみならず、認証・規制・標準などビジネス環境改善にも焦点を合わせている。


シム・ウジュン研究員
産業研究院 産業競争力研究本部 新産業研究室 / swjkorea@kiet.re.kr



< 本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、 必ずしもKOTRAが所属する組織の見解ではありません。 >



1)(技術革新) R&D集約度 : (=R&D費/売上高)(%), 知的財産権集約度:従業員100人当たり特許出願件数、源泉技術性:源泉技術の活用度に関するアンケート調査結果(5点満点) (産業構造) 製造融合度 総売上高に占める製造業の売上高の割合(%)(最大 50), 生産性:従業員1人当たり付加価値額(百万ウィン)、売上規模 : 平均売上額(百万ウォン)(市場特性) 市場集中度 : 売上高上位1%企業の売上高の比率(%), 収益率:売上高に対する営業利益の比率(%), 成長性:2010年に対する2014年売上高の成長率(%)

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