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産業フォーカス

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[不動産]韓国不動産業の現状及び市場情報の発展方法
作成日
2018.08.01





不動産業とは一般的に不動産という財貨および関連サービスを生産する主体が生産要素を投入し、不動産という財貨と不動産の開発や企画、利用や管理、流通など関連サービスを提供する産業を言う。

韓国の不動産市場は世界通貨危機などの変化の中、低成長・高齢化社会、急速な核家族化、住宅所有に対する認識の変化、不動産関連情報の収集が容易になったことなど、かつてとは違う社会・経済的構造の変化が進んでいる。不動産住宅市場は小型住宅の供給増加、 家賃負担増加、不動産の直接取引の増加など、様々な変化が進んでおり、不動産市場は大規模な宅地開発時代から小規模宅地を集中開発する時代へと変化している。不動産関連政策もまた、かつての供給中心から賃貸及び管理中心へと消費者主体の政策が求められている。

今まで、韓国の不動産業はアパート(日本の場合、マンションを指す)を中心とした産業構造、建設会社中心の開発、金融と不動産開発の緊密な連携を図ってきた。現在も不動産業は変化し続けており、今後はサービスの統合、情報化及びシステム化、不動産の証券化、不動産業の安全性追求などにより発展すると見込まれる。

これからの不動産業は、総合的なサービスを提供する方向へ向かうと予測されている。不動産業に大手企業とグローバル不動産コンサルタントが参入したため、金融手法の先進化が進み、パートナシップの重要化と共にサービスが融合・複合化されている。グローバル不動産企業はCushman& Wakefield, Jones Lang Lasalle, Muller International Immobilien GmbHのように、仲介業としてスタートした企業らが鑑定評価、資産管理、開発コンサルティング、金融分野へ進出し、総合的な不動産サービスを提供しており、世界に支店を拡げ韓国でも事業を展開している。さらに、不動産関連の情報化が加速し、システム化が進むと見込まれている。取引申告制度などにより、情報がシステム化し、正確性や信頼度が高まっている。また、不動産の証券化が成熟段階を迎えている。REITsと不動産ファンドを通じた不動産間接投資が拡大しており、REITsは多くの商品が開発され、公共賃貸REITsなど様々な用途で活用されている。これとともに、持続的な規制緩和に対する議論を通じて不動産証券活性化のための対策を講じる必要がある。


韓国不動産業の変化に伴う課題


不動産市場の構造変化により、不動産業が新しく跳躍するためには、今後業務領域の調整やサービスの改善を通じて産業価値を再創出し、役割を高める必要があり、このためには不動産業の制度改善に向けた政策・制度が見直されるべきである。

まず、不動産業関連情報のインフラ構築や提供する段階が必要であり、不動産投資の情報システム構築及び信頼度の高い投資指標を開発し、関連指標を定期的に供給する支援政策が必要である。また、不動産業と他の産業の連携及び業務範囲の拡大対策などを総合的に検討し、新しい不動産業の活動に対するモニタリングを行い、不動産市場の不透明性を改善する一方、不動産関連の情報収集方法などを改善していけば、不動産業の先進化に向けた対策を提示できるであろうと判断される。

不動産業関連の情報は大きく分けて、直接な活動を通じて産業に貢献する企業関連情報、価格及び取引などの市場動向に関する情報、建築物、基金、都市計画などの行政関連情報がある。韓国の不動産関連情報は不動産価格及び取引に関する統計は比較的整っているが、産業の規模など活動主体に関する基礎的な情報は非常に乏しく、これに対する対策を講じる必要がある。

また、商業用不動産に関連した信頼度の高い投資指標の開発及び市場の透明性確保などが必要な現在、質的情報を体系的に提供する政策案を講じる必要がある。商業用不動産が国の経済に占める割合が高くなるにつれ、機関や個人の商業用不動産に対する関心が日々高まっており、商業用不動産市場に対する分析と体系的な政策策定のための基礎資料の整備の重要性が増している状況である。また、客観的な投資情報が不足している状況を考えれば、一般の人々の関心と健全な投資増大のための対策が必要である。

各参加主体が商業用不動産市場の現状と推移を客観的に把握し、合理的な意思決定と透明性を図れるよう細かい情報収集が求められる。現在、韓国の商業用不動産市場に関する情報を提供する機関の数は多いが、各機関別にオフィスに関する賃貸情報(敷金や賃貸料など)、売買取引面積と取引価格などに関する情報を重複して提供するなどDB(データベース)を見直す必要があると言える。

以下では、不動産業の活動主体である企業に対する情報収集方案と不動産投資市場の先進化を図るための商業用不動産の情報収集方案について提示する。


不動産業の情報システム構築方法に関する提言


① 不動産業に携わる企業を対象にした景気実査指数の開発


不動産業が国民に占める意味や関心の程度は非常に高いが、これを示す指標が存在せず、実質的な証明は難しい。不動産業の活動主体に対する認識変化への努力及び業種別業務領域を確認し、不動産業の動向を把握できる新しい指標の開発を検討する必要があると言える。

現在、韓国は製造業企業を対象にBSI(Business survey index, 企業景気実査指数)調査を行っている。不動産関連企業に対しても、経営状況の判断や景気展望を調査し、定期的に指標を提供している。韓国標準産業分類上、不動産業として分類されている業種の企業(開発会社、賃貸・管理会社、仲介会社、鑑定評価法人)と不動産業と密接な関連産業企業(不動産金融会社、信託会社、競売・公売、投資諮問会社、総合サービス会社)などの総合的な景気把握を通じて現四半期の企業景気状況、次の四半期の企業及び市場景気予測、人材状況、売上高の変化、賃金水準の把握、経営発展のための政府支援や必要政策などを調査し、業種別動向を把握する予定だ。

四半期ごとの不動産関連企業に対する景気状況の調査結果を分析し、ある業種の実績が衰退し続ければ、政府政策樹立の際、該当する業種の活性化を提示することができる。また、不動産企業が経営上の問題に対する調査を行い、業種別状況変化及び市場の意見を取り入れるなど不動産業活動主体に対するモニタリングが可能である。これを通じて、不動産市場の不透明性を把握でき、不動産業の体系的な先進化を図ることができると判断される。政策決定者と意思決定者である国民にも景気に対する正確な情報提供の基準として活用でき、指標運営などを通じて不動産業の業務領域の拡大及び地位が向上し、不動産関連企業と就職情報の提供連携など不動産市場の総合的なコントロールタワーの役割も担うことができる。

従って、不動産業の活動特性を正確に測定できる不動産景気指数の開発により、不動産市場は産業の育成及び地位向上の動機付けとされ、国民には市場同行の正確な情報提供、関連企業には早急な支援政策の樹立、政府は産業内の雇用先創出対策および政府政策樹立のための有効な指標として活用できることが期待される。


② 産業用不動産情報システムの構築


現在、韓国の商業用不動産市場の情報は、実際の投資市場に役立つ情報提供ではなく、推計結果に基づいた全国の相場動向や圏域別の相場動向を単純に比較した情報のみ提供されているため、 情報収集に限界がある。実際、公共機関や民間機関が公表している指標の場合、市場の水準や変化の様相に対する情報だけ提供しており、民間機関で行う特定の顧客に対するポートフォリオや詳しい管理内容は機関別固有の営業秘密のため、非公開に行われている。

また現在、韓国は商業用不動産と関連した信頼性のある投資指標の開発及び市場の透明性確保が求められている中、関連政策の体系的な供給政策を講じる必要があり、情報提供関連機関が保有しているDB(データベース)などの集結及び信頼性のある指標開発を通じた商業用不動産市場の健全な情報体系を構築する必要がある。 さらに、商業用不動産情報システム構築に関連する対策を模索するためのDB(データベース)共有方法、市場情報の共有方法、情報構築協議会の構成など3つのテーマを持って提言する。

まず初めに、DB(データベース)共有方法については、商業用不動産情報提供関連機関が保有しているDB(データベース)をまとめる方法として、IPD, NCREIF, RCAのように、市場に正しい投資情報提供を目的とする方法がある。次に、リテール市場に対する情報調査の強化やカード会社、信用格付け会社のDB(データベース)情報を統合する方法を模索することだ。カード会社や信用格付け会社との協業を通じて商圏階層、後背地、顧客の特徴、活性度、業種、売上の特徴などリテール市場に関する情報を具体化し、実際の市場の動向情報や政策推進の効果などを診断する方法である。 最後に、市場情報の共有方法として投資ポートフォリオや成果評価の基準となる投資市場のための正確な新しい指標の開発を模索することだ。投資期間及び民間の関係機関との協業体制を構築し、投資に対する成果判断を含む、より深化した投資指標の算出や必要情報の加工生産を進行することである。 また、こうした商業用不動産に対する情報システムの構築は公共性があり 、民間機関との競争から自由な非営利団体や公共機関が主導し運営すれば、より効果的であり、韓国の情報市場発展がさらに成長を遂げることになるだろう。

ジョン・ムンオ 不動産学博士 (k25766@kab.co.kr)
チェ・ダジョン 不動産学修士 (k25875@kab.co.kr)
韓国鑑定院 研究開発室


< 本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、 必ずしもKOTRAが所属する組織の見解ではありません。>
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