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[アンタクト]アンタクト産業(K-防疫・ホームコノミー輸出品)の韓国動向及び展望
作成日
2020.08.11

新型コロナウイルスの感染拡大は、日常生活や経済・産業的環境に大きな影響を及ぼしている。韓国では2020年1学期の始業直前の2月中旬から新型コロナの拡大が本格化し、登校中止に続き、初めて「オンライン授業」を実施した。また、新型コロナウイルスの拡大防止のため、政府は国民を対象に公的マスク普及政策を施行し、食品医薬品安全処の緊急使用承認制度を通じて新型コロナの診断キットを迅速に普及させ、安定的な基盤を築いた。

オンライン授業をはじめとする日常生活の変化は、韓国の内需と輸出部門にも大きな変化をもたらした。コロナ禍の影響で、ほぼすべての産業分野が生産と需要の減少による困難に直面しているが、一部の製品分野は反対に需要が大幅に増加した。代表的にマスクや洗浄剤、診断キットなどの衛生防疫用品やホームコノミー(ノートパソコン、清浄家電など)の製品群が挙げられる。本誌は、これらの製品群を中心に韓国の最新の産業動向と「韓国版ニューディール総合計画」のようなポストコロナ時代に備えた韓国政府の政策を紹介する。

まず、韓国の最新の輸出動向をみると、新型コロナ拡大の影響で2020年4~5月の輸出が大きく減少した。韓国の2020年4月の輸出額は前年同月比25.1%、5月の輸出額は前年同月比23.7%減少した。一方、医療用品、衛生用品、ホームコノミーなどアンタクト産業分野は新型コロナの影響で需要が世界的に増加し、輸出が大幅に増加した。

医療用品と衛生用品は、新型コロナ拡大の影響で輸出が最も大幅に増加した分野であり、2020年5月現在、前年同月比114.3%、372.2%の増加率となった。特に、新型コロナの診断キットは2020年4月の輸出額が2億ドルを超え、衛生用品の中では手指消毒剤の5月の輸出額が8,248万ドルと前年同月比15,018%増加した。

ホームエコノミー分野ではテレワーク、オンライン授業など非対面経済の活性化で5月のPC製品の輸出額が11億9,625万ドルを記録し、これは前年同月比82.7%増加したものだ。清浄家電とは、衣類ケア家電(LG電子のスタイラーなど)、掃除機、空気清浄機で構成され、家庭内の清潔と衛生の関連性が高い家電製品である。清浄家電の輸出は前年同月比45.8%増加した。また、新型コロナ拡大の影響で外出が減り、家庭内の生活時間が増えるにつれ、ホームクッキング、ホームビューティー関連製品の輸出額もそれぞれ29.8%、74.3%増加した。

このように、アンタクト産業で見られる急激な輸出増加は、コロナ禍による消費者生活のパターンおよび需要変化の状況で、韓国企業の対応力が際立った結果だと評価される。韓国がコロナの影響から比較的早く脱し、安定的な国内供給網を維持した結果でもある。

また、医療、衛生、家電などの主要分野の関連企業は、世界市場の需要変化に合わせて迅速に生産規模を拡充し、新製品を発表した。コロナ診断キットの場合、開発された新製品を速やかに検証して商用化した。衛生用品は、急激な需要増加に対応して生産量を早期に拡大した。清浄家電は、コロナ禍の影響で需要が増加した結果、輸出対応能力を持つ韓国企業の新製品輸出に弾みがついたケースだ。



<図> 韓国のアンタクト産業の主要製品の輸出額(2020年5月現在)

単位:千ドル

出典:産業通商資源部の報道資料(2020年6月1日)


次に韓国のコロナ診断キットおよび医療機器に関する主要企業のケースを紹介する。コロナ禍を受けた韓国政府と関連企業が効果的に対応し、韓国はコロナ診断キットと衛生防疫システム、ワクチン開発分野で世界の注目を集めている。特に、韓国体外診断ベンチャー企業が開発した「コロナ診断キット」は、米食品医薬品局(FDA)の緊急承認、ヨーロッパのCE認証を受け、3月から世界各国に輸出している。

<表>韓国のコロナ診断キットの輸出企業

韓国のコロナ診断キットの輸出企業
企業名 主要輸出内容
シージェン 総生産量の90%を海外45か国に輸出
ソルジェント ポーランド・ウクライナなど35か国輸出
コジェンバイオテック 中南米7ヵ国に緊急供給など37か国に輸出
ジンマトリクス イタリア・UAE・チリなど4か国に輸出
ジェンボディ ブラジル・アイルランドなど15か国48億ウォン輸出契約
ラボゲノミクス シーメンス ヘルシニアーズを通じインドに独占供給
バイオニア カタール国営石油会社と50億ウォン規模の輸出契約
クリノミックス ハンガリーと48億ウォン契約、食品医薬品安全処の許可審査中
出典:毎日経済(2020年4月8日)

ワクチン分野では、韓国の主要バイオ企業がワクチンの開発を加速化している。これら企業のコロナワクチンの商用化時点は2021年初め以降になると予想される。これを受け、韓国政府は2021年末にはワクチンの大量生産が始まることを期待している。

一方、韓国政府はポストコロナ時代に備え、アンタクト産業と変化する産業環境への対応のため、総合的な政策を策定した。2020年7月14日、韓国政府は「韓国版ニューディール総合計画」を発表した。主な内容はデジタルニューディール、グリーンニューディールを通じて産業革新を支援し、社会的セーフティネットを強化して経済主体の回復力を高めることを目指す。

アンタクト産業に関して非対面インフラ構築を通じ、非対面産業の成長環境を整える計画だ。このため、2025年まで国費2.1兆ウォンを投入する。主な課題は、スマート医療およびケアインフラの構築(0.4兆ウォン)、中小企業のテレワーク拡大(0.7兆ウォン)、小商工人へのオンラインビジネス支援(1兆ウォン)だ。

韓国は、コロナ禍に効果的に対応し、輸出依存度が非常に高い国であるにもかかわらず、コロナ禍の否定的な影響を相対的に軽減したと評価される。しかし、現在までの対応とは別にポストコロナ時代への対応が十分だとは言えない。コロナ禍で急成長したK-防疫およびホームコノミー製品の増加傾向が持続可能なものではないためだ。

ただし、韓国はワクチン開発競争にも見られるように、コロナ禍による変化に先制的に対応しているという点で評価される。韓国のバイオ新薬産業は、グローバル企業に比べて競争力が低いと言われるが、ワクチンの開発過程ではグローバル企業と競争相手として浮上した。

現状と予算編成などを考慮し、韓国がアンタクト産業に代表されるポストコロナ時代に向け望ましい方向に進むことを期待している。

シム・ウチュン専門研究員(swjkorea@kiet.re.kr)
韓国産業研究院 成長動力産業研究本部新産業室


< 本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、必ずしもKOTRAが所属する組織の見解ではありません。>
 

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