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[エネルギー] [エネルギー]韓国、低炭素経済への大転換
作成日
2021.04.27

▶ 韓国型グリーンニューディールの核心、水素経済

水素産業は水素の生産、貯蔵および活用部門に関する産業として、大きく水素エネルギーを供給する部門と、生産された水素を活用する需要部門で構成される。供給部門は、水素エネルギーを生産し、生産された水素が最終消費先で活用されるようにする水素の運輸や貯蔵などの活動で、運輸のために必要な貯蔵容器などの様々な装置やインフラを含む。需要部門は、水素モビリティと燃料電池産業を中心に形成されている。

韓国の水素産業は分野別によって多少の差はあるものの、産業発展の段階で現在は試作品の生産段階にあると評価され、2025年に市場進入、そして2030年から本格的な成長期に入ると予想される。水素産業の企業構造を見ると、中小企業の割合が高く、水素の生産と貯蔵・運輸分野は中小企業の割合が高く、水素モビリティと燃料電池分野は大企業と中小企業が生態系を構成している。

水素産業の生態系を分野別に見ると、水素生産分野では石油化学団地などで生産される副生水素が商用化段階だ。一方、抽出水素および水電解生産方式はまだ実証段階にとどまっている。貯蔵および運輸分野では高圧気体方式が商用化段階にあるものの、液化および液状技術は開発段階である。 水素モビリティ分野において韓国は2013年に水素・電気自動車を生産するなど、世界的な競争力を確保していると評価されている。しかし、水素船舶、列車、ドローンなど、その他の水素モビリティ分野はR&D段階にとどまっているのが実情だ。水素燃料電池は方式によって輸送用、家庭・建物用、発電用、携帯用などに分けられるが、このうち携帯用を除けば韓国の技術力は先導国の水準と評価される。すなわち、韓国の水素産業は水素自動車と燃料電池などの活用分野への投資および成果が集中したが、2020年上半期の水素自動車普及台数は7,682台で世界1位を記録し、2019年末の水素燃料電池普及度も408MW水準であった。政府の水素関連R&D投資の50%以上が水素活用分野に集中されている。
一方、水素ステーションやグリーン水素開発は、まだ不足な点があると指摘されている。まず、水素ステーションは58ヵ所が普及し、「水素インフラ及び充電ステーション構築方策」で発表した当初の建設目標に及ばず、グリーン水素の商用化や実証経験の不足は水素生産部門の限界であり、これを克服するための具体的な計画が必要な時点である。

▶ 韓国政府の水素経済活性化ロードマップ

2019年1月「水素経済活性化ロードマップ」を発表して以来、韓国政府は水素産業の育成のために積極的な政策を展開している。中でも最近施行が確定(2021.2.5.)された「水素経済育成及び水素安全管理法(水素法)」の制定は世界初の成果であり、水素経済に移行する土台を築いたと評価される。水素法は大きく水素経済を実現するための育成政策と、水素安全管理のための規制政策で構成される。水素法制定に続き、産業通商資源部の主導で「水素ロードマップ2.0」と「水素経済移行基本計画」も策定される予定である。

<国内水素産業関連主要政策>


政策

主な内容

水素経済活性化ロードマップ
(`19.1.17)

- 水素自動車と燃料電池を中心に水素経済先進国を目指す
-「水素経済」を革新成長の成長動力であり、グリーンエネルギーの原動力として2040年まで水素経済の活性化に向けて水素生産・貯蔵・輸送・活用を網羅した政策方向と目標や推進戦略を含む

水素経済標準化戦略ロードマップ
(`19.4.3)

- 韓国が技術を主導できる分野を中心に国際標準化を提案(国際標準20%獲得)
- 国際標準に適合する国家標準を策定
- 中核部品に対するKS認証を通じた性能および安全性が保証された製品とサービスの普及

水素インフラ及び水素ステーションの構築
(`19.10.22)

- (水素供給)生産方式の多様化、貯蔵・輸送インフラの拡充により水素需要に対応
- 水素販売価格の安定化
- (水素ステーション構築) 2022年までに一般ステーションとバス専用ステーションを主要都市(250基)、高速道路・乗換センターなど交通拠点(60基)など合計310基構築

水素技術開発ロードマップ
(`19.10.31)

- (水素生産需要量(526万トン/年(`40))対応、化石燃料水準の価格競争力(3,000ウォン/kg(`40))確保
- 気候変動対応および温室効果ガス削減のための段階別技術開発
- (安全・環境・インフラ) 水素全周期技術開発のための基盤を2030年までに構築
- (充電インフラ)海外への依存度が高い充電資材の国産化

水素安全管理総合対策
(`19.12.26)

- 国際水準の安全システム構築(水素法施行、担当機構の設置等)
- 水素ステーション・生産施設・燃料電池施設(3大中核施設) 重点管理
- 持続可能な安全生態系造成およびコミュニケーションや協力を通じた安全文化の拡大

水素法制定
(`20.1.9)

- 世界初「水素経済の育成および水素安全管理に関する法律」の国会本会議可決
- 水電解装置(再生可能エネルギー活用)など低圧水素用品や水素燃料使用施設の安全確保に向けた法的根拠の構築

水素産業生態系の競争力強化方策
(`20.7.1)

- (企業)生産・輸送・活用など分野別のグローバル先導企業を育成し、多様な企業が水素経済に参加できるよう関連政策を策定
- (地域)地域別の安定的な水素供給計画を提示し、政府・自治体・地域革新機関との連携強化により地域生態系の造成
- (海外)具体的な海外プロジェクト*により国内水素産業生態系を一段階発展させ、グローバル水素経済を主導

* 資料:政策資料参照(産業研究院が整理)

▶産業環境変化の中心、未来車

韓国の未来車市場は、従来の完成車産業の低成長やパラダイムシフト、グリーン政策の強化などの産業環境の変化において競争力を高めている。韓国の完成車輸出は、グローバル自動車需要の減少傾向により、2014年に過去最高額の484億ドルを記録したものの、2020年には374億ドルに減少した。一方、韓国エコカーの輸出は増加を続け、自動車輸出全体に占める割合も拡大している。最近、自動車産業はソフトウェア企業と完成車企業間で提携を結び、バッテリー業界が参加するなど、電動化、自動運転、モビリティなどのパラダイムシフトが進むなか、主要国の環境政策の強化で動力源が電気自動車、水素自動車に変化している。これを受け、エコカーや自動運転車を含めた韓国未来車産業は、輸出を拡大し、プラットフォームや関連技術を開発し、成長している。

韓国のエコカーは、完成車輸出の減速にも関わらず、内需と輸出共に史上最高記録を達成した。全車種の内需販売が増加し、自動車販売全体に占める割合が初めて10%を超えた。2020年の輸出量は27.6万台で前年比6.8%増、自動車輸出全体に占める輸出額と台数の割合はそれぞれ19.1%と14.7%を記録した。韓国は2019年時点で電気自動車輸出が世界4位、プラグインハイブリッドカー、ハイブリッド輸出で世界5位の輸出競争力を保有している。また、韓国は自動運転車に関するネットワークインフラを構築し、R&D投資を拡大してきた。韓国は2018年に自動運転モデル都市(K-city)を設立し、国土交通部は2020年5月に自動運転車の商用化を促進・支援する「自動運転車法」を施行し、モデル運営地区の指定および運営根拠を明確にした。韓国のITS投資は、2011年から徐々に増加し、2017年の総投資額5,712億ウォンのうち、国費投資2,251億ウォン、民間投資2,122億ウォンで、2011年の投資(総投資額2,595億ウォン)に比べて2倍以上に増加している。

▶未来自動車商用化に向けた韓国政府の集中支援

韓国は第4次エコカー基本計画により、2025年までにエコカー中心の社会・産業生態系を構築し、エコカーの累積普及台数283万台(新車販売台数の51%)を目標に推進する。2030年までにはエコカー累積785万台(新車販売量の83%)を達成し、自動車温室効果ガスを24%削減する計画だ。政府は2020年10月に「未来自動車拡散及び市場先取戦略」を発表した。2025年までに電気自動車46万台、水素自動車7万台、ハイブリッド30万台を輸出し、自動車輸出の35%をエコカーに転換する計画だ。また政府は自動運転車の安全基準と保険基準を設け、2022年から部分自動運転車(レベル3)を発売し、2024年には完全自動運転車(レベル4)を一部商用化する方針だ。2025 年までに4,075kmの全ての高速道路と主要幹線道路に車両センサーの認知機能を補完し、二輪車向け協調型高度道路交通システム(C-ITS)を構築する計画だ。韓国政府の未来車普及拡大、インフラ構築、技術開発などの未来車育成強化により、国内の未来車企業の海外進出もさらに活発になる見通しだ。

<2021年未来車関連主要政府政策>


区分

主な内容

自動運転技術開発革新事業
(2021.1)

・2027年融合型レベル4+自動運転車の商用化基盤構築を目指す
・2021~27年、総事業費1兆974億ウォン(国費8,320億ウォン)
· ①車両融合新技術、②ICT融合新技術、③道路交通融合新技術、④自動運転サービス、⑤自動運転生態系5大分野、84件の細部プロジェクト支援予定

エコカー開発・普及中長期基本計画
(2021.2)

・エコカー2025年まで283万台、2030年まで785万台普及
・内燃機関車と同じ水準の電気自動車・水素車の能力確保、グリーン水素・メタンなど炭素中立時代をリードする未来技術を開発
・2025年まで500社、2030年まで1000社の部品企業を未来車に転換
・未来車分野における中小・中堅有望企業育成

エコカーの充電・駐車・使用制度の改善
(2021.2)

・居住地や職場など生活拠点中心の電気自動車ステーション拡大
・エコカー専用駐車区域拡大
・電気自動車専用区域・充電充電妨害の取り締まり強化
・水素ステーション立地確保などにより構築速度加速化

自動運転車精密地図の整備計画
(2021.3)

・道路工事の竣工と同時に自動運転車のために必要な精密道路地図が作成される予定
・公式アカウントを通じて道路管理庁の道路変更事項通報方法を具体化して △道路情報変更事項のうち通報必要対象、△通報内容、△通報時期、△通報手続きを告示する条項新設

* 資料:産業通称資源部、国土交通部



(水素経済)イ・スルキ(sulkilee@kiet.re.kr)、(未来車)ユ・ヨンホン(yeononge@kiet.re.kr)
産業研究院成長動力産業研究本部



<本稿の内容は、筆者の個人的見解であり、必ずしもKOTRAの見解ではありません。>


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