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[その他] ファンダム経済とエンターテックが牽引するK-POP産業のパラダイムシフト
作成日
2026.06.16

グローバル市場におけるK-POPの存在感

K-POPは、特定の国における音楽ジャンルから出発し、現在ではグローバル市場で消費される一つの文化的コンテンツとして定着している。2026年に国際レコード産業連盟(IFPI)が発表した「グローバル・ミュージック・レポート(GLOBAL MUSIC REPORT)」によると、2025年基準の世界の音楽市場において、韓国は第7位を記録した。1). また、米国の音楽分析機関「ルミネイト(Luminate)」の「輸出パワースコア」においても、米国、英国、カナダに続き世界第4位となった。2). 実際に韓国関税庁の輸出入貿易統計によると、2025年のアルバム輸出額は、前年比3.4%増の3億173万9,000ドルに達した。4) このような市場における高い存在感は、単なる数値上の成果にとどまらず 、世界のポップミュージック市場において韓国国内のK-POPアーティストの影響力が拡大していることを示している。ロゼ(ROSÉ)とブルーノ・マーズ(Bruno Mars)のコラボレーション曲「APT.(アパート)」は、2025年の国際レコード産業連盟(IFPI)グローバル・シングル・チャートで第1位を獲得した。これは、アルバム売上、音源ダウンロード、オーディオ・ビデオストリーミングなどを統合した世界的な音楽消費指標であり、非英語の楽曲かつ北米・欧州以外のアーティストによる作品がシングル部門で第1位を獲得したのは初めての快挙となった。5) また、BTSは2026年4月、 5thフルアルバム「アリラン」を発売し、同時に「Billboard 200」で第1位にランクインした。さらに、その収録曲である「SWIM」は、現在「ビルボード・グローバル200」6)と「ビルボード・グローバル(米国を除く)」チャートにおいて、いずれも4週連続で第1位を記録している。7)それだけでなく、世界最大規模の音楽フェスティバルの一つである米国の「コーチェラ・フェスティバル(Coachella Valley Music and Arts Festival)」において、BIGBANGやBLACKPINKといったK-POPアーティストがステージに立つことで、K-POPがグローバルなメインストリーム音楽市場において、独自の文化的ジャンルとして受け入れられていることを示す好例といえる。

K-POPとエンターテック

近年、K-POP産業は音源・アルバム制作と公演を中心とした伝統的な収益構造を超え、技術との融合をベースにした新たな産業パラダイムへと急速に転換している。エンターテインメントと技術を融合した「エンターテック(EnterTech)」は、こうした変化の中核的な原動力として定着しており、アーティストIPをAI、メタバース、バーチャルコンテンツなどと連携させ、ファンダムを基盤とした消費エコシステムを拡張するビジネスモデルへと発展している。

G-DRAGON(ジードラゴン)の所属事務所であるギャラクシーコーポレーションは、エンターテックの新たな可能性を示す代表的な企業として、最近プレIPOラウンドで1,000億ウォン規模の資金を調達した。8) ギャラクシーコーポレーションは、G-DRAGONやTAEMIN(テミン)などの所属アーティストIPを基盤に、先端技術を結合したエンターテックモデルを実際に実現している。2025年のG-DRAGONのワールドツアー「Übermensch(ウーバーメンシュ)」コンサートでは、カメラがアーティストの顔をリアルタイムで認識し、グラフィックを生成するノッチ(NOTCH)技術を適用してステージを演出した。また、メディア展示「Übermensch」は、音楽と技術、空間を結合した体験型エンターテインメントとして約1年間、11都市で開催された。 本展示は、ギャラクシーコーポレーションとクリエイティブモット(Creative Mot)の協業により、AI、VR、ホログラム、アンリアルエンジン(Unreal Engine)ベースのCGなど先端技術を活用して構築された。9)特に、VR体験と超大型ホログラムステージを連携させた観覧動線の設計を通じて、没入感を最大化した。これは従来の公演中心のツアーを超え、メディア展示を基盤とするグローバルツアーやAIコンサートなどへの展開が可能であることを示した事例といえる。

また、HYBE(ハイブ)のファンダムプラットフォームであるWeverse(ウィバース)は、ファンとアーティストのコミュニケーションの場を超え、メンバーシップ専用特典を通じてレコードやグッズ、オンライン公演、独占コンテンツのサブスクリプションなどを提供する総合収益プラットフォームへと高度化した。HYBEはAI音声技術企業である「Supertone(スーパートーン)」を買収し、AIベースのアーティストプロジェクト「MIDNATT」を通じて1つの楽曲を6言語で同時展開し、声質までも変換する技術を披露した。

一方、近年はファンダムを基盤としたバーチャルアイドルが注目を集めている。モーションキャプチャーとリアルタイムレンダリング技術を基盤に、リアルな人間の動きや感情を反映したバーチャルアイドルは、新たなK-POPビジネスモデルとして浮上している。実際にPLAVE(プレイブ)は、バーチャルアイドルとして初めてアルバム販売枚数100万枚を突破し、高尺(コチョク)スカイドームで単独コンサートを開催した。10)

韓国政府のK-POP産業育成政策

政府は2025年10月1日、K-POPをはじめとする韓国大衆文化のグローバル市場への拡散に向け、大統領直属の「大衆文化交流委員会」を発足させ、JYPエンターテインメント総括プロデューサーのパク・ジニョン氏を共同委員長に任命した。これは、K-POPが国家競争力を牽引する中核的な文化産業として、単なる外延の拡張を超え、官民一体となってグローバル市場での競争力を体系的に強化しようとする政策的基盤の整備といえる。

文化体育観光部11)は、K-カルチャーを未来の中核的成長産業として集中育成するという方向性を示しており、その一環として、K-POPのグローバルな影響力の拡大やインフラの拡充、グローバルな主流文化への飛躍に向けた支援を拡大する計画だ。まず、公演インフラの拡充に向けて2026年に120億ウォンを支援し、多目的体育施設の芝生の維持管理・保護への支援および公演設備の改善を図る。また、中期的にはソウル・アリーナ、高陽(コヤン)K-カルチャーバレーなど建設中の公演会場が完工するよう支援し、長期的には5万席規模のドーム球場の建設を推進する計画だ。K-POPのグローバルな影響力の拡大に向けては、大衆文化交流委員会を中心に、世界7大都市の公演会場を確保し、中南米をはじめとする新規市場への進出を支援するなどの総合計画を策定する。最近では、官民協力を基盤に、JYP・HYBE・SM・YGなど韓国の4大芸能プロダクションが合弁法人(JV)の設立を推進しており、K-POPフェスティバルである「Fanomenon(パノミノン)」を計画している。12)

2026年4月の文化芸術政策諮問委員会音楽分科会議13)では、音楽エコシステムの持続可能性の向上を最優先課題とし、中小芸能事務所の海外進出を支援する「グローバル飛躍支援事業」を新設した。中小芸能事務所の持続可能なグローバル事業展開の基盤づくりに向け、最大年3億ウォン、最長3年間支援する。あわせて、大衆音楽の実務人材に対する専門教育の一環として、30億ウォン規模の「大衆音楽ビジネス人材養成」事業を通じて体系的な人材養成システムを構築し、約120人の人材を養成する方針だ。

持続可能な産業モデルとして定着しつつあるK-POP

K-POPは単なる音楽消費を超え、強力なファンダムを基盤に、独自の「ファンダム経済(Fandom Economy)」を構築している。これは、ビューティー、フード、観光などの異業種との融合を通じて消費領域を拡張し、「ファンコノミー(Fan-conomy)」という新たなエコシステムを形成している。さらに、単なる流行を超え、ファンダムプラットフォームを通じた洗練された収益化モデルへと発展し、グローバル市場で脚光を浴びている。ゴールドマン・サックスは、2024年の報告書「Music in the Air」において、スーパーファン(Superfan)を音楽産業の重要な成長機会として指摘し、K-POP芸能事務所のファンダムプラットフォームを代表的な先進事例として取り上げた。14) その結果、K-POPは音楽的な成功を超え、ファンダムビジネスと収益化体系の先導的モデルとして世界的に高い評価を得ている。

また、エンターテックは、こうしたK-POP産業の進化を牽引する原動力として、AI・メタバース・バーチャルコンテンツなどの先端技術とアーティストIPの融合を通じて、ファンダムを基盤とする消費エコシステムを継続的に拡張している。ここに韓国政府の体系的な育成政策と官民協力を基盤としたグローバル進出戦略が加わることで、K-POPは一つの文化現象を超え、持続可能な産業モデルとして定着しつつある。

今後、K-POPが世界の主流文化としての地位を確固たるものとし、新たな市場を開拓していくためには、技術革新と創造的なコンテンツ制作はもちろんのこと、産業エコシステム全般の持続可能性をともに強化していくことが重要な課題となる。

朴 知惠(パク・ジヘ) (jihye519@kiet.re.kr) 専門研究員
韓国産業研究院(KIET) 人口戦略研究室

1) ifpi(2026), 「GLOBAL GLOBAL MUSIC REPORT」, p.6.
2) https://www.khan.co.kr/article/202502021148001
3) HSコード 8523491040
4) 輸出入貿易統計, https://tradedata.go.kr/cts/index.do#
5) https://www.ifpi.org/rose-and-bruno-mars-apt-crowned-ifpis-biggest-selling-global-single-of-the-year-2025/
6) https://www.billboard.com/charts/billboard-global-200/(アクセス日: 2026.4.24.)
7) https://www.billboard.com/music/chart-beat/bts-swim-global-charts-april-25-1236227080/
8) https://www.unicornfactory.co.kr/article/2025121415404514091
9) https://news.mtn.co.kr/news-detail/2026022613353145156
10) https://www.mt.co.kr/society/2025/12/08/2025120315501371527
11) 文化体育観光部 報道資料(2025.12.16.)「2026年、『K-カルチャー』すべての国民が享受し、世界を魅了する」
12) https://www.hani.co.kr/arti/culture/music/1254550.html
13) https://mobile.newsis.com/view/NISX20260423_0003603884
14) Goldman Sachs(2024.5.1.), 「Music in the Air」, p.22~24.

<本寄稿文の内容は、KOTRAの編集方針と一致しない場合があります。>

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